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マイレージアプリ「Miles」に出資したJALの企業戦略【DXニュース】vol.10

2021.12.22

今回取り上げるニュースは、「シリコンバレー発、“エコな移動で得する”マイレージアプリ日本上陸。JALが出資した理由とは」です。それでは、はじめましょう!

大注目の「移動がポイント」になるアプリ「Miles」

三石所長(当時。以下、三石) 「DXニュース」第10回です! ニュースプレゼンターは、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!

三石 今月の1本目に取り上げるニュースは「シリコンバレー発、“エコな移動で得する”マイレージアプリ日本上陸。JALが出資した理由とは」ですね!

河野 はい、みなさんご存じ、今注目のマイレージアプリ「Miles(マイルズ)」のニュースです。シリコンバレーから登場した、移動手段と距離に応じてポイントが貯まるというアプリですね。三石さんは使っていますか?

三石 使ってますよ!

河野 僕もインストールしました。さて、まずはいつも通り、僕の視点からこのニュースの注目ポイントをまとめたので、ご覧ください。

マイレージアプリ「Miles(マイルズ)」注目ポイント

河野 Milesのユニークなポイントとしては、移動手段と距離に応じてポイントが付くものの、飛行機が0.1倍、車が1倍、自転車が5倍、徒歩・ランニングが10倍と、エコな移動であればあるほど、ポイントが付与される点です。

三石 面白いですよね。なぜポイント付与率の低い航空会社のJALがMilesに出資したのか、とても気になるところです。

河野 まさにそこが記事の内容になっています。そこはちょっと後回しにして、もう少しMilesの説明を続けますね。このアプリは、位置情報を常に許可にするところがポイントで、そうすることでユーザーの行動全てを補足することができるというわけです。

三石 常に許可、僕もしてますね。

河野 そうすることでAIが移動手段を自動で判定し、ポイントに換算し、ユーザーに付与されます。さらに「CO2をいくら削減しました」という通知が来るので、ユーザーは良いことをした気分になるところもポイントですよね。貯まったポイントは百貨店や動画配信サービスなどで使えるようになっています。

三石 ユーザーの属性はどんな感じなんでしょうか?

河野 はい。現在、ユーザー数は既に140万人越え、男女比6:4、20代から40代前半までが大半ということでした。

Milesは新たな広告モデルを確立する確率する可能性がある

河野 いよいよ、三石さんも気になっている「JALがMilesに出資した理由」です。航空会社は空港から空港への移動しか補足できませんよね。でも、Milesであれば、空港を出た後に顧客がどこに行ったかを知ることができる、ということが出資をした理由だったそうです。

三石 なるほど、ありがとうございます。Miles Japan CEOの高橋正巳さんは、フジテレビのYouTube番組「#シゴトズキ」で、我々が提携させていただいている企業の社長さんとの対談動画に出ていたので見たんですよ。

(※編集部注:詳しくは、 「#シゴトズキ」チャンネルの「Miles(マイルズ)日本上陸!Uber Eatsの次に流行るサービスに?」の回をご覧ください!)

三石 高橋さんは、学生時代の多くを海外で過ごし、ソニーに新卒で入社した後、シリコンバレーでベンチャー企業の発掘・投資を経験し、さらにUberが日本展開したときの最初の社長をやられていた方なんですね。Uberはアメリカの成功事例があると言いながらも領域としてはまだ確たるものになっていないところにチャレンジしていらっしゃって、アグレッシブな、パッション的なリーダーシップを発揮される素晴らしい方でした。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

ポイント付与率の低いJALがMilesに出資したのは、空港を出た後に顧客がどこに行ったかを知ることができるから。

河野 この動画内でMilesのマネタイズについて語ってました?

三石 語ってました。スポンサードになってまして、アンダーアーマー、ファミリーマート、JALがついていて、結局は広告ビジネスモデルだと思うんですよ。

河野 やっぱりそうですか!

三石 広告の対価やコンバージョンしたときのレベニューシェアなどになっているのかもしれませんが、儲かるレベルにどうなっていくのか、今までの広告モデルにないタイアップ型、エンゲージ型のモデルになる気がするので、非常に注目ですよね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

Milesは、今までの広告モデルにない、新たなビジネスモデルを築く可能性がある。

河野 僕は広告自体でマネタイズできるといいなと思っています。期待したいですね。

大企業がマーケティング活動を通して社会活動を発信する時代

マーケティング

三石 JALさんが注目している「乗客が空港の後にどこ行ったか」という情報をパートナーとして参画するともらえるところは興味深いですね。Milesさんが管理画面で「JALさん、このユーザーは沖縄に行った後、こういう行動してますよ」と。

河野 それを管理画面で見られるようにして、有料で開放したり。それは理にかなっているし、いいですね。

三石 我々のドコモグループでも、「dヘルスケア」のユーザーサービスの一機能で、スマホを持ち歩いてアプリをチェックするだけでdポイントが貯まる「歩いておトク」というサービスがありますよね。他に位置情報を活用したビジネスは、ゲームとして楽しめるポケモンGOなど、いろいろな切り口がありますが、これは位置情報を提供すればポイントをもらえる“正攻法”ですね。

河野 今おっしゃったことがズバリで、正攻法ですよね。位置情報を提供することって、ユーザーにとってはリスクがある。本当は明かしたくない情報なわけです。そのため、渡すからにはそれに対する見返りが必要で、今まではそれが“その場でしか味わえない何か”であったりしたわけですが、Milesは簡単にポイントがバックされるという。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

位置情報を使ったビジネスはさまざまあるが、Milesは位置情報提供のリターンが「ポイント還元」という“正攻法”のタイプ。

三石 そういうことですよね。FacebookやGoogleもそうですけど、こういうユーザー行動を自分で切り売りしていく感じのものは、コンテンツを無料で使える代わりにデータを取られちゃっていて、それをプラットフォーマーが料理していただく、というものに近い感じですよね。

河野 確かに。三石さんもMiles使ってるんですよね。どうですか?

三石 今開いたらゴールドステージになっていて、1298マイル貯まっていることがわかりました。うれしいですね。これを機にいろいろ使っていこうかな。

河野 僕もMilesは入れているんですが、位置情報を常にオンすることに抵抗があって……。でも、めちゃくちゃ話題になってますよね。それはやはり、SDGsの観点で多くの人がCO2の排出量に敏感になっていて、誰でもそこに貢献できるところが1つのポイントかなと思います。

三石 マーケティング活動でCO2削減への貢献を発信したいという大企業は多いですよね。なのでたとえばJALがMilesを通じてCO2削減に貢献しましたとか、Milesが仲介してそのポジションつくれると、普通の広告ブランディングではないポジションが取れるかなと考えています。ボルヴィックがやっていた1リッターフォー10リッターや、パタゴニアなど、そちら系ですよね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

マーケティング活動を通してSDGsなどの社会課題を発信したい大企業は多い。Milesがその仲介企業になりうる。

河野 ちょっと前だとエシカル消費。今も続いてますけど、ああいうことですよね。

三石 そうですね。以前、Mr.モリスギからZ世代は社会的課題にかなり敏感というのを聞いて、腹落ちしました。僕らは歳を重ねてきているのでアレなんですけど、Z世代は地球の気温が上がるなどは自分事なんですよね。危機意識が違いますよね。

河野 逆に大人のほうが、感度が低いですよね。

三石 今回のニュースも面白かったです。ありがとうございました!

―――次回の【DXニュース】で取り上げるニュースは「ファミマの『デジタルマーケティング戦略』、役員に聞いたファミペイの絶大効果」。引き続き、河野さんが解説していきます。お楽しみに!

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