経済産業省が「2025年の壁」と提唱したことで、多くの日本企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むようになりました。しかし、DXの定義は具体的なものではなく、100の企業があれば100の解釈の仕方があります。そのため、DXに取り組んでも思うように進まない、となかなか結果を出せずにいる企業も多いようです。
そこでこの記事では、DXを学ぶためにおすすめする15の書籍について紹介します。
DXの概要を理解し、今よりも深いポイントでDXを進めていきたい担当者、マーケターの方はぜひ自社に合う書籍を見つけDX成功を目指してみてください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の基礎知識
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、「デジタルを駆使してイノベーションをもたらすこと」を意味しています。単にIT化と思っている方も多く見受けられますが、その点こそ日本企業がDXを上手く進められていない原因ともなっています。
DXについてはこちらで詳しく説明しています。
DXの成功事例についてはこちらの記事で解説しています。
DXを書籍で学ぶメリット
おすすめの書籍を紹介する前に、なぜ本でDXを学ぶのか、メリットを見ていきましょう。
DXを本で学ぶ最大のメリットは、専門的な知識を得やすいという点です。DXに関する本の著者はDXコンサルタント、アナリスト、教授、DX推進者など、様々な業界の専門家の視点で書かれているものが多くあります。
そのため、自社にあったDXの書籍を見つけることができれば、DX成功へ大きく近づくことができるでしょう。
また、DXの概要だけではなく、コンサルタントが著者の書籍であれば、経験談に基づいて執筆されていることもあり、今現場で実際に起こっていることやなぜ失敗に陥ってしまうのかなど、足枷となりうるポイントについて理解することができます。
しかしDXの書籍はあくまでも参考程度に過ぎない、ということを忘れてはいけません。DXとは方法・手法であり、そこがゴール(目的)ではないのです。まずはDXを通して何をしたいのか、を明確にし、書籍からそのヒントとなるものを見つけ出し、試行錯誤しながらも進めていくことがDX成功へ導くために欠かせないプロセスであると言えるでしょう。
DXを深く知る!おすすめの書籍15選
1. 『DXスタートアップ革命』【発売日:2021年07月08日】
20社のDX成功事例を3つの軸に分けて徹底解説しています。
1つ目が「伝統産業へのデジタル技術投入」
2つ目が「岩盤市場のデジタル変革」
3つ目が「コロナ禍を逆手に取ったイノベーション」
さらに図を用いて、DXのビフォーアフターを比較できるようになっているため、一度読み終えてから、さっと復習することも可能です。
また3つ目の軸である「コロナ禍を逆手に取ったイノベーション」は、現在進行形で経営に苦しんでいる企業にとっては、そこから抜け出す大きな手がかりとなりうるかもしれません。
2. 『ルポ 日本のDX最前線』【発売日:2021年6月7日】
IT後進国と呼ばれる日本において、3行政機関、政府CIO補佐官、経済産業省、金融庁+7社、コープさっぽろ、トライアル、イカセンター、セブン銀行、コーセー、アクロエンタテイメント、コナミデジタルエンタテイメントを取材し、その実際の現場では何が起きているのか、実態に迫ったルポとなっています。
3. 『グロースマーケティング(Growth Marketing)』【発売日:2021年4月23日】
DX時代において、DX化が先行し、その内容が伴っておらず失敗に終わっている企業が多いという現実があります。DX時代において世界で勝つために、GAFAMも実践しているといわれる、企業・製品をグロースさせるためのマーケティング手法グロースマーケティングやビジネス指標ノーススターメトリックについて紹介している書籍です。
プロダクト成長のために何から取り組めばいいかわからない、データを有効活用したい、デジタルマーケティングの成果が出なくて悩んでいる、DXをどう進めていけばいいかわからない方におすすめの一冊です。
4. 『DX戦略立案書』【発売日:2021年1月16日】
フレームワークを用い、どのように進めていくべきかに焦点を当てている本です。ビジネススクールのトップ校の一つである、コロンビア大学大学院でファカルティを務めた著者が、デジタル経営の実務分野で世界的に権威があり、この分野における10年の研究と教育、コンサルティングの実績に基づいて、顧客市場、競合他社、データ、革新性、顧客価値の5つの要素に分解しながら、デジタル戦略を解説している一冊です。
5. 『いまこそ知りたいDX戦略』【発売日:2021年4月23日】
なぜDXが失敗に終わるのか、をDXの最先端をいくシリコンバレーでも事例から学ぶ一冊です。本書では、日本企業のDXがうまくいかない最も大きな原因はそもそも「DXとは何か」を理解していないまま進めてしまっているという点であると説明しています。
そこからDXを進める上で障壁となる「何から手をつければいいかわからない」「なかなか実現のフェーズに進まない」「リソースが足りない」の3つの点について紹介しながら、DXを推進するための考え方やフレームワークを紹介しています。
6. 『RPAで成功する会社、失敗する会社』【発売日:2021年7月20日】
RAP(Robotic Process Automation)導入時に重要なポイントを「費用対効果」、「業務選定」「運用体制」の3つに絞り、それらのポイントについての解決策を提示している一冊です。
費用対効果については、単純な「時間削減」だけに着目しないこと、業務選定は、「業務」ではなく「行動」に重きを置くこと、運用体制については、「情報システム部門」ではなく「事業部門」が先導に立ち進めていくこと、としています。
RPAを導入しようと考えている、導入したが失敗に終わってしまった企業などにおすすめの書籍です。
7. 『サブスクリプションシフト DX時代の最強のビジネス戦略』【発売日:2020年1月14日】
DX時代に必要な新しいビジネスを生み出すための考え方や働き方、生産性などを通して、SaaS /サブスクリプションが急成長する仕組みについて解説された本です。
第一部では「DXについて」3つの視点から紹介し、SaaSについて考え、
第二部では「SaaSがなぜ急成長するのか」について3つの公式を用い説明し、
第三部では「SaaSの作り方と創造性の高め方」について紹介し、
第四部では事例を用いて、どのように成長したのかを紹介しています。
SaaS /サブスクリプションを導入し、変革を目指す、新しいビジネスモデルで大きく飛躍を目指す方におすすめの一冊です。
8. 『企画立案からシステム開発まで 本当に使えるDXプロジェクトの教科書』【発売日:2020年3月16日】
DXを上手く進めるためのノウハウについて、経験を基に解説している一冊です。
DXプロジェクトが従来のものと何が違うのか、どんなプロセスが必要になるのかなど、進める上で重要となるポイントについて説明しているため、DXとは何か、などの入門書ではなく、実践書となっています。
DX担当者やDXを進める上で重要となる経営層の方達におすすめの一冊です。
9. 『イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)』【販売日:2019年10月10日】
DXの概念やなぜ日本企業は上手く進めていないのかなど、DXの概念についてイラストを用いDXトップコンサルタントが解説しています。
実践編ではないためDXがどのようなものであるのかをより深く知りたいという方におすすめです。
10. 『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』【発売日:2019年:3月12日】
デジタルによって世界がどう変わるのか、デジタルが真に意味しているものは何なのか、などデジタルが今後もたらす世界について述べながら今後日本が進むべきデジタル化の「道しるべ」について解説しています。
全てがオンラインになる「アフターデジタル」での生き残り方について知りたい方向けの本です。
アフターデジタルの続編「アフターデジタル2 UXと自由」が既に出ていますが、デジタル企業の「戦略」、表面的な取り組みの奥にある「本質」に迫る内容となっており、DXの中級者向けとなっていますので、まずは本書から読み始めることをおすすめします。
11. 『マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX』【発売日:2021年8月21日】
日本企業のDXは「IT化」が目的となってしまって失敗に終わるケースが多く、日本企業が陥りがちなポイントについて、これまでに携わってkちあ経験を基に業界別に整理されています。
なぜDXが必要なのか、そしてどのように推進していけばよいのかまで解説されており、経営層、DX担当者におすすめの一冊です。
12. 『DXの思考法 日本経済復活への最強戦略』【発売日:2021年4月12日】
具体例を用いながらデジタル社会がどのような仕組みになっていくのかを解説した一冊です。自分たちで望ましいDXを作り出すための本で、経営者、経営幹部におすすめとなっています。
13. 『戦略論とDXの交点: DXの核心を経営理論から読み解く』【発売日:2021年7月30日】
DXと企業戦略、事業戦略の関連などを経営理論から解説した一冊です。会社名を公開した上で、DX変革に至るまでのプロセスや組織課題が説明されており、経営者だけではなく、全てのビジネスパーソンが読んで価値のあるものとなっています。
14. 『担当者になったら知っておきたい 中堅・中小企業のための「DX」』【発売日:2021年8月6日】
この本の著者である、中小・中堅企業を対象にコンサルタントを擁する船井総合研究所デジタルイノベーションラボが現場で活用している「DXジャーニーマップ雨」を中心に、導入方法、導入プロセスの進め方など、「失敗しないDX」を具体的に説明している一冊です。
豊富な事例を用いて解説しており、中小・中堅企業の経営者におすすめとなっています。
15. 『未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション』【発売日:2020年6月16日】
DXはただのIT化ではなく、企業が生まれ変わり、変革を続けていくことだとし、「斬新型イノベーション」と「不連続型イノベーション」の両面、また実践と環境整備の両面で進めていくことをおすすめしている。
環境整備には企業内の変革が求められ、その際「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」の5つがポイントを通してトップダウン、ボトムアップの両方で進めていくことが重要であるとしています。
DXの基礎と、その道すじを学びたい方におすすめの一冊となっています。
まとめ
DXといっても、その定義や見方は業界、企業によって異なります。
まずはDXを目的とすることを止め、「DX=IT化」という概念を取り払い、自社にあったものを見つけ出し、試行錯誤しながらも一歩づつ進めていくことが重要です。
デジタル技術を用いて、顧客体験を充実させ、顧客満足度向上をはかるための改革をはじめましょう。