第1回目は、アプリ市場と利用動向を分析する「SmaRepo」のデータをもとにした「業界毎の平均MAU(Monthly Active Users/月間アクティブユーザー)率」をチェックしながら、“アプリの可能性”を探ります。
アプリ同好会メンバー、それぞれの得意分野は?
三石所長(当時。以下、三石) さぁはじまりました、DearOne「アプリ研究会」による座談会の第1回。まずは各メンバーの得意分野を見ていきましょう!
河野監督(以下、河野) いいですね!
三石 塚田さんは「マッチングアプリ」! 個人的にマッチングアプリには注目しています!
塚田 僕だけ超具体的ですね(笑)!
三石 次、小嶋利さんは「新しいもの全般」! DearOneの中でも自他共に認める、一番アプリをいじくった人。人生で一番アプリに時間を費やしている人ですね。
小嶋 範囲が広いですね(笑)! 頑張ります!
三石 そして、細川さんは「既存クライアント」!
細川 あ~、最近はちょっとな~(笑)。
三石 ここからはダーッといきます。小笠原さんは「新技術、クライアントの声」!
三石 小野木さんは「他社事例」!
三石 橋井さんは「UIUX観点」!
三石 濱田さんは「技術観点」!
三石 ささきさんはSNSや映画情報などの「若者コンテンツ担当」!
三石 赤木さんは「データ観点、技術観点」!
三石 松本さんは「動画サブスク、海外ネタ」!
三石 そして、最後に森田さんはDearOneが提供するアプリ市場と利用動向分析サービス「SmaRepo(スマレポ)担当」!
森田 今回、SmaRepoに関する資料を用意してきました!
三石 おぉっ、素晴らしい! 早速、みんなで見ていきましょう!
スーパーが1位でコンビニが3位。その差は「コロナ」?
森田 SmaRepoのデータをもとに、今年2021年1~8月の「業界毎の平均MAU(Monthly Active Users/月間アクティブユーザー)率」を算出してみました。これにより、どの業界でアプリが最もアクティブに使われているかがわかります。
河野 面白そうですね。
森田 「業界毎の平均MAU率」のランキングを見てみると、1位が食品スーパー(71.78%)、2位がドラッグストア(70.40%)、3位がコンビニ(66.46%)で、このあたりが「アプリをよく使われている業界」ですね。
河野 食品スーパーが1位は、お店の会員証があるから購買頻度が高くて、みんな色々な店舗に行くから、かな?
塚田 そうですね。でも、それで言うと、最も行く頻度が高くて、幅広いユーザーさんに使われていそうなコンビニの方がそれより下で3位かぁ、と思いました。
河野 うーん、スーパーは行きつけのところがあるから?
細川 でも、スーパーとコンビニは生活圏一緒じゃないですか。その中で、この差って何ですかね?
小笠原 たぶん、その差の原因は「コロナ」だと思います。買い物に行く回数を減らしたいから、あえて品数が少ないコンビニに行く必要がなくなったんですよね。いわゆる「まとめ買い」をするようになりました。
特にGMS(General merchandise store/総合スーパー)系はドラッグストアやカフェなど、いろいろなものが揃っている傾向がますます強まっているので、スーパーに行くのかなと。
河野 なるほど~。
細川 コロナの文脈でもう1つ言うと「EC」に注目してますね。ネットスーパーを使うためにアプリを入れている人が多い可能性もあると思います。
赤木 確かに、自分もコロナ禍で初めてスーパーのアプリを使いました。最初の緊急事態宣言がはじまったぐらいの時で、あの頃は外に出ちゃいけない加減がわからなかったから。だからECで米や水を買っていましたね。使ってみると便利だから、1回利用するとリピートするんですよね。
YouTuberの紹介が影響大?アパレルも6位と健闘!
塚田 アパレルはスーパーやコンビニのように、通常は毎日使わないですよね。ランキングでは54.18%で6位と、なぜこんなにMAU率が高いんですかね?
ささき 女性YouTuberが、「GRL(グレイル)でこの秋おすすめ!」というような感じで、いろいろなブランドを紹介しているんですよ。SHEIN(シーイン)やユニクロとか、どれも低価格で買える洋服ブランドなので、YouTuberの女性が「3万円で何点買いました!」と報告しているのをよく見かけますね。
河野 へー、そうなんだ!
ささき 私も観るんですけど、若い子たちが「このYouTuberの服が気になる!見てみよう!」とアプリを使うんじゃないかなって思いました。
三石 まずはアプリを立ち上げて…ではなく、YouTuberのインフルエンサーからのメディア的なアプローチという流れですね。
河野 SHEINの名前が出てきたけど、もう若者に浸透しているの?
ささき してます、してます! ああいうプチプラのアパレルブランドは知られていますよ。イベントとかもYouTuberがたくさん行っていますよね。
三石 SHEIN……、何か聞いたことあるな……。
河野 いや、これ「DXニュース」で僕が解説したじゃない(笑)!
三石 そうだ! 今、思い出した!! 誰かから聞いたな~と(笑)。
河野 そこで詳しく解説してるから読んでほしいんですけれど、ファッション業界にも世代があって、これまでにファストファッション、ウルトラファッションと来て、今はSHEINのリアルタイムファッションになっている、というお話をしました。新しいアイテムを、毎日3000アイテムは出しているんだよね。
三石 そうでした。AIを使って洋服をつくってるんですよね。
(編集部注:河野さんが主にニュース解説してくださっている「DXニュース」では、第5回目に「SHEIN」について取り上げました。ぜひこちらもご覧ください!)
松本 ファッションのアプリに話を戻すと、YouTubeやInstagramで「今年はセンターにラインが入ったデニムが流行る!」と書かれているのを見ると、いったん手近なブランドで試したくなるから、とりあえずGRLのアプリを開いてカートに入れる、ということはしますね。
三石 なるほど。そういうUXの観点でいうと、小嶋さんどうでしょうか?
日本のアプリのUXは課題あり!?ヒントは「ベース」と「改善」
小嶋 UXがしっかり設計できている日本の企業アプリって少ないですよね。一方で、AmazonやUberEatsはUXも徹底的に設計されているから、“UXの差”はめちゃくちゃ開いちゃっているなと思っています。
河野 なるほど。
小嶋 そのギャップをどうやれば埋められるか、日本の企業アプリを開発する1パートナーとしては考えますね。実際のところ、開発のコストも人数も違うなかで「どういうUX体験をつくれるか」を日々考えないといけなくて。
三石 そのあたり技術的な観点では、濱田さんいかがですか。
濱田 技術的な観点からいうと、重要なのは「改善」かなと思います。Uberは確か、最初のアプリを2~3年と、時間をかけてしっかりつくっているんですよね。それだけベースがしっかりしているから、改善がスピーディーにできる。
河野 ベースの差がある。
濱田 アプリをリリースした後の細かい改善は一度では絶対に終わらないし、彼らは「どの改善が売上に繋がっているか」というところも重視しているので、そこをいかに取り入れていくかもポイントですね。
河野 僕はUberEatsのヘビーユーザー。ものすごい体験が気持ちいいですよね。あのUXを他のハンバーガーチェーンのアプリに搭載できるかというと、技術的には「できる」と思う。でも、ものすごくお金かかるわけじゃない。
三石 なるほど。
河野 そうすると、企業側も「これを実装したら、売り上げが上がるの?」という観点で当然見ますよね。でも、それ以外に「UXが気持ちいいからファンになる」という“ブランディング効果”も見てもらえるかな?
小嶋 いえ、コスト的にどうしても「売り上げが上がるかどうか」でしか判断できないと思いますね。
河野 そうだよね。その時に我々が開発する立場だったら、どう説明する?
小嶋 たとえば、最初から全体をつくりこむのではなく、コアになる体験ができる一部分だけをテスト的に開発して、ABテストなどをして、効果が証明できたらスタートする、という方法はありますね。
三石 面白いですね。
小嶋 お客様は意外と「どの機能が売上に直結していて、いくら売上が伸びたか」は気づけていなかったりするんですよ。アプリはプロダクトの付加価値ぐらいに思われているから、売上に直結するイメージがそんなにないんでしょうね。そこの運用をしっかりするだけで、まだまだアプリのMAU率は上げる伸びしろがあるはずです。
河野 うん、まだまだアプリでできることはたくさんあるよね。
三石 はい、ありがとうございます! 話は尽きないところですが、第1回から濃厚は話ができましたね。続く第2回は、みなさん個人のプライベートでのアプリの体験や感想などをもとに、トークをしていきたいと思います!
―次回の「アプリ研究会」も、お楽しみに!