今回は、「新規会員登録完了者数を増やしたい」という目的で行った、グロースハックの事例をご紹介します。
ファッションECサイト「GRL」を運営する株式会社Gio様と、当社のプロフェッショナルサービスとして下記のようなお取り組みをさせて頂きました。
- Contentsquareの導入
- WEB来訪ユーザーの行動分析からサイト改善施策の考案
- 改善施策の実施
- 施策の効果検証
今回はこれらの取り組みの中から、2.3.4の内容を一部ご紹介します。
マーケットサイズとしては、ファッション業界のInstagramアカウント国内3位(2024年8月現在)で、MAUは500万人を超えるなど多くのユーザーを保有しているファストファッションの最先端企業になります。
マーケティング活動においても、AmplitudeやContentsquareをはじめとした最先端の分析ツールを取り入れ、データドリブンマーケティングを推進しています。
新規会員登録完了率を増やす分析
背景・課題
長年様々な分析・施策を行ってきた中で、会員登録を完了したユーザーの購入完了率は高いものの、そもそもの会員登録完了率が低いということが課題としてありました。
上のスライドは、新規ユーザーの商品閲覧から購入完了までの行動をファネルにしたものです。購入完了からさかのぼると、会員登録を完了したユーザーのうち購入完了まで至っているユーザーは53%と高いものの、その前段階の商品を閲覧したユーザーのうち、会員登録完了まで至っているユーザーはわずか3%と、かなり低いということがわかります。
ここから、新規会員登録完了率を増やすことで、購入完了率の向上へと繋がると考え、今回は新規会員登録完了率を向上するための分析を行いました。
分析概要
Contentsquareを使って新規会員登録ページを、下記の2つの観点で分析を行いました。
- 新規会員登録のフローで、ユーザーの動きを阻害する要因はないか
- 新規会員登録の前後で改善できる余地はないか
ジャーニー分析
まず初めに、ユーザーの動きを阻害する要因はないか、ジャーニー分析にて新規会員登録入力ページを起点としたユーザーの動線を確認しました。
ジャーニー分析とは、内側から外側にユーザーが辿った導線を、表示しているチャートになります。Contentsquareでは、特徴的な導線を辿るユーザーの動きをわかりやすく可視化してくれるため、簡単にユーザーの動きを把握することができます。
※ジャーニー分析例
デモ環境における実際のジャーニーチャートになります。ユーザーが辿った導線を内側から外側に向けて表示しています。
ジャーニー分析にて、ユーザーの導線を確認すると、緑のページ(新規会員登録入力ページ)を2回以上繰り返しているユーザーが約15%、3回以上繰り返しているユーザーが約3%存在することがわかります。
このような導線を辿っているユーザーには、何かしら動きを阻害している要因があるのではないかと着目し、他のチャートを使用しさらに深掘り分析を行ってみました。
セッションリプレイ分析
次に、新規会員登録入力ページを3回以上繰り返しているユーザーの実際の動きをセッションリプレイ機能にて確認を行いました。
セッションリプレイとは、ユーザーがサイトやアプリ上で実際にどのような動きを行っているのかを、動画形式で確認することができる機能になります。
※セッションリプレイ例
デモ環境におけるユーザーの、実際の動きを表示している動画になります。
実際に新規会員登録入力ページを繰り返しているユーザーのセッションリプレイを見てみると、何かしら入力項目にエラーが発生し、同じページに戻されており、その中で多くのユーザーが、入力ページに戻された後、上下に大きくスクロールを繰り返しているということがわかりました。
ここから何かしらユーザーにとって、離脱につながる要因があるのではないかと思い、実際のUIを確認してみました。
実際の入力ページのUIを確認してみると、入力ページにおいてエラーが発生し戻されたページには、現状エラー発生箇所にのみ文言が設置されています。そのため、下の方の項目でエラーが発生していた場合、スクロールをしないとエラーを確認することができないUIになっていました。
ここから一つ仮説として
「ユーザーはなぜ同じページに戻されてしまったのか分からず、離脱してしまっているのではないか」と考えました。
インパクト分析
Contentsquareでは分析による仮説を導き出した後、原因となるフラストレーションがビジネスにどんなインパクトがあるのかその影響度を確認することができます。今回であれば、エラーを経験しているユーザーの新規会員登録完了への影響度を確認しました。
このインパクト分析機能では、該当のユーザーのコンバージョン率、離脱率を確認できるのはもちろん、改善した際のコンバージョン率、増加する売り上げ金額など、ビジネスへの影響度を一瞬で計算してくれる機能になります。
そのため、施策実施の優先順位づけを行うことができ、一番改善インパクトが大きい箇所に改修コストを投下することができます。
インパクト分析で、「エラーを1回のみ経験しているユーザー」と「エラーを2回以上経験しているユーザー」で会員登録完了率への影響度を定量化しました。
その結果、「エラーを2回以上経験しているユーザー」は「エラーを1回のみ経験しているユーザー」と比較し、会員登録完了率が約7%、購入完了率が約3%低いということがわかりました。
そのため、エラーを経験しているユーザーに、エラー項目をわかりやすく表示し、2回以上のエラーを経験させないことが重要であるとし、UIの改修を行うことになりました。
ここまでのすべての分析と示唆出しに要した時間は、なんと15分でした。
仮説と改善施策
前述の通り「ユーザーはなぜ同じページに戻されてしまったのか分からず、離脱してしまっているのではないか」という仮説のもと行った施策として、エラー文言を上部に表示し、ユーザーにエラー原因をファーストビューでわかりやすく伝えるUIに変更しました。
施策結果:新規会員登録完了率が約5%向上
結果として、改修前後で新規会員登録完了率を約5%向上させることに成功しました。
このように、Contentsquareではユーザーの行動の要因、なぜそのような行動をとっているのか、なぜ離脱してしまうのかを瞬時に把握することができます。また、インパクト分析によりビジネスに与える影響度まで定量化できるため、優先順位をつけながら効率的な改善活動をサポートしてくれます。
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最後に
このようなデータドリブンな試みは多くの企業で始まっているものの、ノウハウやナレッジ、リソースが無いなどの理由でなかなか進まないとの声も多くいただきます。DearOneでは、Contentsquareなどのマーケティングツールの提供と、多種多様なノウハウやナレッジをもとに、様々な企業様のビジネスのグロースをご支援しています。
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