LIFULLが提供する、日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」では、さらにユーザーに必要とされるサービスへの進化を目指して、ユーザー行動分析ツール「Amplitude(アンプリチュード)」を導入しました。
LIFULL HOME’Sのユーザー施策全般を管轄される大久保様、データ活用を推進される梁取様に、Amplitudeを知ったきっかけ、導入の決め手や導入後の変化、具体的な機能の使い方についてお話を伺いました。
課題
- データの抽出・分析に時間がかかるためユーザーの課題を早く発見できない
- データ分析の難易度が高く、ユーザーを深く理解することが難しい
効果
- チーム内のデータ分析工数最大90%カット
- 相対的に高度な分析ができるようになり、分析レベルが向上
- ユーザー行動を多角的に見て示唆や課題を見つける文化が社内に定着
- 数名での導入から、現在100名弱の分析体制構築
展望
- 幅広い領域の職種でのプロダクトアナリティクス活用
- 学習回数の増加と、施策の高速実行
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」
大久保様|
LIFULLは、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げ、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」をはじめ、介護や地方創生事業、世界最大級のアグリゲーションサイトなど、国内外で様々なサービスを展開しています。
日本最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」は、他の不動産ポータルに先駆けてハザードマップ機能をリリースする等、単に家探しができるだけでなく、ユーザー目線に沿ったサービス提供に注力しています。
2022年には「Gomez賃貸不動産情報サイトランキング」、「Gomez賃貸不動産情報スマホサイトランキング」、「Gomez売買不動産情報スマホサイトランキング」で総合1位の評価を獲得しています。
数クリックでどんな情報も分析できる、圧倒的な速さが決定打
Amplitude導入時のデータ活用に関する課題
梁取様|
これまでは、主にGA(GoogleAnalytics)を使用し、データを抽出して加工・集計することで課題を見つけていましたが、実際には、集計する処理の属人性が高くなり、抽出・分析・課題発見の全般に大きな課題を抱えていました。
高度なユーザー行動分析を行おうとすると、スキルのあるデータアナリストへ依頼せざるを得ず、業務の繁忙期には分析速度が上がらなくなってしまうという問題がありました。
Amplitudeを選んだ理由、導入の決め手
梁取様|
Amplitudeの“プロダクトアナリティクス”という考え方自体が新鮮だったため、他のツールと比較すること自体が無く、Amplitude一択でした。
また導入の決め手は、ユーザーの課題を発見するまでのスピードが劇的に短縮できた点です。DearOneさんにお願いしてPoCを実施し、効果を検証できました。
他社の分析ツールとの比較、使いやすいポイント
梁取様|
他の分析ツールとしては、BIツールのTableauやGoogleのDataStudioを使っていました。TableauやDataStudioは定点でモニタリングするようなケースにはとても適している一方でアドホックにユーザーの行動を分析するようなケースにはあまり向いていません。Amplitudeは課題発見までのスピードが圧倒的に速くなり、非常に使いやすくなりました。
大久保様|
私自身も、クリックするだけで見たいデータがすぐ見られることに驚きました。これは、Amplitudeのサイトに掲載されているキャッチコピー「3クリックでどんな情報も分析できます」というコンセプト通りだと感じ、使いやすさを実感しました。
衝撃の出会い、実装までのスピード感も決め手の1つ
Amplitude実装までのスピード感
梁取様|
弊社は数年前からCDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)を導入し、一からイベントやイベントに紐づくパラメータを設計してCDP内にデータを入れていました。CDPがAmplitudeと連携できたおかげで、サーバーサイドとAmplitudeとの連携が簡単にできたので、実装に殆ど手間がかかっていません。これもAmplitude導入の決め手の一つとなりました。
Amplitude導入前は、タクソノミーというデータ定義を作成し、そこを連携させるまでのプロセスに時間がかかると聞いていました。ただ弊社では元々それをCDP導入時に行っていたので、すぐ試すことができ、たった1日で実データを投入して分析結果を確認することができました。
Amplitudeを知ったきっかけ
梁取様|
自分がAmplitudeを最初に発見したのは、実は、YouTubeなんです(笑)。
当時自分はCDPにデータを入れて、そこからそれをどのように分析効率を上げるか調査をしていました。分析効率が上がるようにユーザーの解像度を上げやすい設計をした上でCDPを導入していたのですが、ユーザーの行動分析をもっとQuickに行うとなると、もう1歩、何か足りないと思っていました。
分析効率を向上させる方法を調べていて。本当にものすごく調べて。
調べて調べて調べ尽くしていたところに、YouTubeでAmplitudeの動画がレコメンドされて。
お、なんだこれ!凄い!と思って、夜中だったのに思わず起きて見入ってしまいました(笑)。
それで「Amplitude」で検索したところ、DearOne(当時社名:ロケーションバリュー)を見つけたのです。弊社内では元々ドコモグループとお付き合いがあったため、当時の担当者にDearOneさんを紹介してほしいと頼み、そしてDearOneの担当者と「ちょっとこれ凄くないですか!?」という話をしました。
分析を少しでもやっている人なら、1分くらい動画を見れば凄さがわかると思います。
運用メンバー構成と心情の変化を教えてください
梁取様|
最初は3人で、導入時のPoCで携わったのはアプリチームと自分が所属するデータチームの数名でしたが、本導入して徐々に利用者が増えており先月(2022年4月)は90名以上がAmplitudeを使うようになりました。
メンバー各々がちゃんとAmplitudeを活用して、自分で意思決定して課題を見つけることができており、導入の判断は間違っていなかったと嬉しく思います。
ユーザーの行動分析の解像度が段違いに高まり、全体の分析レベルも一定UP
Amplitudeを活用することでの社内の変化
梁取様|
Amplitudeに標準搭載されている分析チャートはグローバルのベストプラクティスから得られたフレームだと聞いています。特にペルソナチャートやマジックナンバーを出すコンパスチャートは非常に高度な分析手法なので、データアナリストでもない人間が簡単にできるレベルではありません。
そういった分析がAmplitudeであれば誰でもできるようになりました。その結果、多くのメンバーが以前より高度な分析ができるようになり、分析レベルは上がったと思います。
また、ユーザーの行動から示唆を得たり、ユーザーの行動から課題を見つけるという、行動にフォーカスして様々な課題を多角的に見ていく文化が少しずつ醸成されているのは、データ活用を進める組織においては重要な変化だと思っています。
大久保様|
従来、弊社ではGAを使ってユーザーの分析をする取り組みがメインだったのですが、Amplitudeを入れた途端、急にユーザーの解像度が段違いに高まりました。私たちが見れていなかった視点での分析の観点が、非常に良いインプットになったのだと思います。
メンバーのAmplitude活用スキルの向上
大久保様|
GAという慣れ親しんだツールが使えなくなり、これからはAmplitudeという新しいツールを使って解析をするという流れが絶対に必要な状態だったので、一人でも多くのメンバーがそれに慣れることがとても大事だと思っていました。
そこで、Amplitudeが主催するプロダクトアナリティクスの実務能力を競うデータ分析コンテスト、「第1回 データモンスターNo.1決定戦」に私自身も参加することにしました。
蓋をあけてみるとLIFULLからは他にも複数チームが参加し、そのなかで私の所属するTeam LIFULL HOME’Sが優勝することができました。
私自身もそれまでAmplitudeをまともに触っていなかったので、皆にやれやれと言いながら自分が拙いのはどうかという想いがあり、データモンスターに参加する中で操作に慣れることができました。
分析の方法を調べたり学んでいくうちに、DearOneさんが提供している操作説明動画が大変勉強になり、これ良かったよと紹介し合う流れが生まれて、皆で学び合い褒め合うプロセスがチームに生まれました。
工数最大90%カット!数週間必要なチャート分析が数クリックで実現!
Amplitude導入のPoCについて
梁取様|
PoC自体を行った時、施策に関しては当時DearOneの小島さんに伴走頂きました。
どういう風に分析を行い、示唆出しをして、施策に繋げていくか、といった手順・プロセスのフレームをご教授頂いたことは大変大きかったです。
そして実際にアプリチームで施策を考え、実施するということをPoC期間中に行いました。
結果自体は良くなかったのですが、非常に速くできることをアプリチームも実感していまして、アプリチーム単体では、集計にかかる工数が最大90%カットとなりました。
今までは、集計時にBigQueryやGAでデータを抽出・加工しており、Amplitudeの中にあるチャート分析をまともにやろうとすると、数週間かかるケースもありました。リテンションチャートも、まともに分析してGAやBigQueryのデータから同じことを再現しようとすると、複雑なSQLも必要になり数週間かかります。
しかもそれを定常的に行うことを考えると、仕組みを作らねばならず、結構ヘビーです。
それがAmplitudeでは数クリックで実現できるのです。
以前、TableauとRedShiftを繋げた時は非常に遅く、BigQueryに変えたら100倍ぐらい速くなったのでBigQueryが最強と思っていたのですが、Amplitudeはそれよりも更に速くて驚きましたね。
企画職のメンバーが、従来データアナリストに依頼しないとできなかった分析を自分でできるようになったおかげで、データアナリストは専門性を存分に発揮できる、より高度な分析業務に集中できるようになりました。
レコメンド機能、使ってみていかがですか?
梁取様|
他社ツールだと、レコメンドエンジンと一緒にウィジェットを埋め込んで描画するものが多く、結果的にそのモデルがどうだったかではなく、どれくらいのインプレッションやクリックが出たかだけのデータを返すのが一般的です。
一方Amplitudeレコメンドの場合は、APIを提供し、そのAPIからレコメンドすべきアイテムを返してくる形であり斬新でした。
Amplitudeは、APIで返ってきたレスポンスをいかようにも処理して表示ができるので、使い勝手が良いです。またレコメンドのモデルを作る際にも、数クリックでモデルを作れるところが非常に革新的です。
目的変数を決めて、そこに対するゴールを決めるだけなのですごく楽ですし、レコメンド精度もGUI上で確認できるので、非常に優れています。
Amplitudeを活用した改善事例
梁取様|
アプリではないですが、いわゆる先行指標を上げるための示唆出しと施策を、PoCが終わった本導入後から本格的に行い始め、少しずつ成果が出ています。
大久保様|
Amplitudeでなければ出てこない示唆を見つけた事例があります。
サイトに再訪したユーザーの行動分析をしたところサイト内で迷っているように見えました。そこで、示唆から得たUI改修をすることによって、サイト内を回遊してくれるようになりました。
そういった分析の観点は従来のGAでは到底生まれなかったものです。ユーザーセグメントにフォーカスして、そこだけ切り出した行動パターンを見て、という示唆出しや施策ができるようになりました。
今後Amplitudeをどのように活用されて行きますか?
梁取様|
今はサービス企画という職種がメインで使っていますが、Amplitudeのグローバルでのユースケースを聞くと、セールスやマーケッター、エンジニア、デザイナーといった幅広い職種の方々がデータを元に正しい意思決定やディスカッションを行い、プロダクトをスピーディに動かしていくといったことをされているそうです。当社も少しずつ範囲を広げていきたいです。
大久保様|
分析工数が削減できたということは、その結果を受けたプロダクト開発活動自体が数倍になるように思えますが、プロダクトのリリースがそれにあわせて数倍になってるかというと、まだそうではないのが実情です。分析プロセスが短くなったことに合わせて、他のプロセスも最適化する活動を今後やっていく必要があると思っています。
またプロダクトアナリティクスという考え方への変化に伴い、学習回数を増やして高速で実行できるようにすることが、これからのプロダクトチームで大事になる概念だと思います。
DearOneに今後期待することを教えてください。
梁取様|
まさに導入のタイミングから、DearOne小島さんを中心にいろいろな方々にご協力頂き、今の形があると思っています。
弊社サービスをもっとグロースさせていくために、弊社がまだできていないたくさんのことや、もっとこうした方がいいのではないか、といったご提案も含めて伴走して頂けると有難いです。
レコメンド機能に関してはまさにこれからだと思っていますので、たくさんのユースケースや活用の観点で様々なアドバイスを頂けると有難いです。
− インタビュアー後記
▼株式会社DearOne グロースマーケティング部 カスタマーサクセス 小島健一
弊社では、Amplitude導入から初期のご活用フェーズ、LIFULL様の戦略推進するうえでのAmplitudeの活用、分析などをご支援させていただきました。
メンバーの方々には、データ活用カルチャーが浸透しており、勉強熱心で情報収集アンテナが高い方が多く、あらためて素晴らしい企業であることを知る機会となりました。
グロースマーケティングに関する理解も深く、今後もLIFULL HOME’Sが成長していくと確信しています。引き続き、お役立ちできるよう尽力して参ります。