• トップ
  • セミナー
  • 訪日マーケティングDX〜テクノロジーで解放する日本のポテンシャル〜

訪日マーケティングDX〜テクノロジーで解放する日本のポテンシャル〜

2024.07.16

よろしくお願いします。アゴダの大尾嘉と申します。本日は「訪日マーケティングDX~テクノロジーで解放する日本のポテンシャル~」というテーマでお話しいたします。

アゴダインターナショナルジャパン代表取締役 大尾嘉 宏人氏

最初に自己紹介させていただくと、1994年から社会人をやっています。30年前に凸版印刷という会社に入りました。このころは公衆回線でパソコンをインターネットにつないでパソコン通信をやったり、遅い中でブラウジングしたりしていた時代です。まだWindows95はありません。

いつも自己紹介でお話しするのは、私が社会人としてネットに出会った年と、Amazonがアメリカで誕生したのが同じ1994年です。そこからネットの世界でずっと仕事をしています。詳細は割愛しますが、海外で戦略的な投資案件を扱い、その後は2007年にいまの楽天グループに転職し、国内外で楽天がM&Aした会社のポストマージャーインテグレーション(PMI)や経営改革などをやってきました。この中で、日本とアメリカ、海外をいろいろ経験してきました。

そして、2020年の3月、奇しくもコロナ禍の緊急事態宣言が始まった年ですが、アゴダに参加して、現在は日本・韓国・台湾といった北アジア地区の統括をしております。

本日は3つのテーマでお話していきます。1つ目はアゴダとは何か。2つ目にトラベルとインバウンドの傾向を数字やグラフなどのデータを踏まえてご紹介します。最後、3つ目にデジタルのポテンシャルということでお伝えします。

アゴダ(agoda)とは?

最初にアゴダについて紹介させていただきます。わりと全国で流れていますが、バナナマンさんを起用したアゴダのテレビCM、ご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょうか? 2年連続で放送しており、アゴダのブランド認知にかなり貢献してくれています。

アゴダという会社は、Booking Holdings Inc.グループの1社です。Booking Holdings Inc.は、Booking.com、agoda、Priceline.comといったブランドラインを持っている会社です。

アゴダでは、日本国内で5万軒以上のホテルや旅館、世界では400万軒以上の施設を扱っています。そして、宿泊室数、いわゆる宿泊予約数のランキングでは、昨年は世界で2位にポジショニングしています。

アゴダはアジア中心のOTA、オンライントラベルエージェンシーになりますが、そこで世界2位という実績を出すだけのトラフィックを集められている理由のひとつに多言語化があります。いまアゴダは39か国語でサービスを展開しています。ほぼ世界の人口すべてをカバーしているという状況です。

多言語化によって、皆さん自分が馴染んだ言語で自由に旅行を楽しんでいるという状況です。これは大事なことだと思っています。海外に行く時、日本語でホテルを予約できて、日本語でフライトを予約できて、日本語でアクティビティも予約できて、母語でコミュニケーションできると、やはりすごく安心感があると思います。それをしっかりと実現しています。

アゴダのオフィスは、アジアを中心に26か国にあります。社員は7,000人近く、開発メンバーが非常に多く、テクノロジードリブンな会社になっています。そして、会社では96か国の方が働いており、日本のオフィスにもいろいろな国籍の方がいらっしゃいます。そして、先ほどの通り、39か国語、そして、約200万施設を掲載、200か国に対してサービスを展開しています。

私たちはIT企業なので、いわゆるカスタマージャーニー、ユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスを非常に大事にしています。そこで目指しているのは、1つのアプリ、Webでもいいですが、1か所でフライトもホテルもアクティビティも、それから公共交通機関といったものもシームレスに予約できる世界です。そして、旅の計画を立てる時、予定の確認をする時、旅行の途中でアクティビティを追加したい時、そういった時にこのアプリに来れば、自由に計画の変更や追加ができるというものを目指しています。

コロナ禍での日本における取り組み

ここから日本の話になりますが、先ほどの通り、私が入社したタイミングでちょうどコロナ禍がありました。「ステイホーム」ということで、一気に誰も移動しなくなった時期です。当時、日本の国内ユーザー向けに温泉リゾートチームを作るということをやりました。当時の状況はインバウンドのお客様はいらっしゃらず、東京・大阪・福岡・札幌・沖縄といったところには誰も来ません。それであれば、日本人が行く温泉地、そこの旅館やホテルなどの施設予約をもっと強化しましょうということを取り組みました。

また、当時もう1点行ったのは、日本のお客様、日本の施設特有の予約の仕方への対応もあります。

たとえば、日本で旅館やホテルを予約しようと検索していくと、豪華な夕食メニューの写真だったり、夕食のオプションメニューだったりが出てきます。これは海外ではあまりない文化で、海外でホテルを予約するとディナー「有」「無」のひとつです。しかし日本においては、旅の宿での料理はひとつの大きな楽しみです。この楽しみをユーザーに伝えたいということで、バンコクの開発拠点で日本向けにカスタマイズの開発をして展開しました。

他にも、子供料金、また人数に合わせた宿泊料金も日本特有です。海外でホテルを予約する場合、部屋という“箱”を予約する概念で、宿泊人数は関係ありません。1人で泊っても、2人でも3人でも料金は変わりません。しかし、日本の場合は“おもてなし”があり、食事や様々な準備が人数にあわせて変わるので、料金も変わります。そして、子供も5歳以上なのか、もっと幼児なのか等で、食事付きがいいのか、寝具は布団だけでいいのかといったものも調整できるように機能を開発しました。

このような日本向けの機能、そしてチームを作って、満を持して2022年にバナナマンさんのテレビCMを始めたというのがコロナ禍でのアゴダの取り組みです。

トラベルとインバウンドの傾向

ここからは数字をいろいろと使いながら、インバウンドのトレンドについて紹介していきます。

スライドでは、個人旅行と団体旅行という旅行形態のトレンド、そして、宿泊の予約方法に関するトレンドを紹介しています。(スライド非公開)結論として、コロナ禍が終わってから、個人旅行および非対面式のオンライン予約が急激に伸びています。

まず左側のグラフ、これはパッケージ型の団体旅行と個人旅行の比較をしています。個人旅行が急激に、ほぼ100%近く成長して、逆にいわゆるパッケージ型の団体旅行が急激にシェアを落としています。

また、右側のグラフを見ていただくと、OTA(オンライントラベルエージェンシー)が非常にシェアを伸ばし、従来型の旅行代理店といったものがシェアを減らしていることが分かります。

なお、グラフはシェアの比率で、実際には2022年からインバウンドが戻ってきて、全体の総額が増えていますので、必ずしも絶対額で減っているわけではありませんが、シェアとしてはこういう傾向があります。

また、ホテルや旅館などの宿泊施設などが自社サイトを充実させ、旅行者が直接宿泊施設のサイトで予約するという動きも増えています。

ここからはアゴダ内のデータを使って、日本とアジア、両方の話をしていきます。

まずは日本からの旅行者の話になりますが、アゴダ内での検索数の実績を2023年とコロナ禍前の2019年で比較すると、国内旅行は3倍以上、海外旅行も83%増加と倍近くになっており、それだけ積極的に旅行の需要が増えていることが分かります。

また、次にアゴダのユーザーから見て、日本はどうか?ということで、アゴダ内の人気観光地ランキングを見ると、国別では日本、都市別では東京ということで、アジアで最も人気がある目的地になります。

国別にいうと、1位 日本、2位 タイ、3位 インドネシア、4位 マレーシア、5位 インドという結果ですね。これはアゴダがアジア中心の会社であるということも反映した結果です。人気のある都市に関しては、1位 東京に続いて、2位 バンコク、3位 ソウル、4位 クアラルンプールで、5位に大阪が入っています。

また、国内旅行先の検索データで、人気が急上昇している先を見ると、1位 福岡、2位 広島、3位 仙台、4位 神戸、5位 富士河口湖となっており、東京や大阪などよりもいわゆるローカル都市の人気が急上昇しています。いまこの傾向は本当に強くなっていると感じます。

インバウンドの目的地として、東京・大阪・福岡・札幌・沖縄といったところは元々非常に多くなっています。しかし、最近は「どうやって見つけてきたのかな?」というローカル都市のホテルや旅館に予約がどんどん入っています。

見つけ方として、よく聞くのは「友達や知り合いのインスタを見た」「YouTubeで見た」といったもので、目的地の都市や施設が提供しているコンテンツではなく、いわゆるUGC(ユーザージェネレーテッドコンテンツ)で情報が共有されて日本にやってくるという傾向が強くなっています。

次は、日本に来る方々がどこから来ているかというデータです。日本の場合は、地理的に近い韓国・台湾・香港がトップ3です。そこから、4位 タイ、5位 シンガポールに続いて、6位にアメリカも入っていますが、主にアジアの方々から日本は人気があります。

先ほど申し上げた通り、2022年に温泉リゾートチームを作りました。そういった温泉地も2023年にはインバウンドでの訪問者が増加しています。スライドは2019年と2023年で比較して、インバウンド訪問者が増加しているエリアです。草津、熱海、松山、南小国、由布、湯沢と、日本の中での目的地が変わってきているということがデータにもでていると感じます。

デジタルマーケティングのポテンシャル

ここからはデジタルマーケティングのポテンシャルについて話していきます。

冒頭にお話しした通り、私は社会人になって30年間、ずっとITの世界にいます。ITは、Information Technologyということで、“テクノロジー”であったり、“情報技術”であったり、いろいろな定義があります。ただ、私の中でのITは、サービスや物など、何らかの付加価値を提供するサプライヤーがいて、それに対して、サービスを受ける、あるいは物やサービスに特定の価値を見出す消費者がいて、それをどうやって結びつけるか。

ITを使って情報を整理して、テクノロジーを使って届けてあげることによって、サプライヤーと消費者が出会う。その出会いを促進することで経済も活性化しますし、同時に生み出された価値が消費者に届くことによって、満足度があがったり、発見があったり、生活が豊かになったりする。このサプライヤーと消費者をつなぎ合わせるものがITだと思いながら、30年間ずっとやってきました。アゴダもそれを実現している会社だと思って、4年前に入社しました。

いまの話で何を伝えたいかというと、情報技術を上手く使って、コンテンツ、アゴダの場合は、ホテルであったり、旅館であったり、民泊であったり、フライトであったり、アクティビティであったりします。コンテンツをしっかりと入れるだけで、何もしなくても予約が入ってくる状態が生み出せています。

この「何もしなくても入ってくる」という仕組みを作っているのがITであり、テクノロジーです。裏側には、ビッグデータであったり、AIだったり、A/Bテストであったり、いろいろな計算式であったり、Optimization(最適化)があったりします。

そして、そこにコンテンツとして、施設の情報、そして、料金、予約や在庫状況がどうなっているか、宿泊費は大人と子供で値段が違うのか、早割があるのか等々もしっかりと反映いただく。

これによって施設側は、デジタルではない世界と比較にならないぐらい、ITによってインバウンド、利用者の方とマッチングされて、予約が成立して、お客様がホテルにやってきて泊っていただけるということが実現します。

実際の数字は出せませんが、上記はある施設で2023年5月からアゴダで販売を開始いただいて、3カ月間の推移です。当然、通常の予約、オフラインでの受付、パッケージ旅行の中で紹介されているものもありますが、アゴダで販売して何が起きたかというと、飛躍的に国内、そしてインバウンドの予約が増えました。

施設側からすると、ITを上手く活用することで、マーケティングをする必要がなくなります。サービスにしっかりと集中して、サービスを良くする、品質を上げることに注力いただき、それ以外のところはコンテンツをいただければ、あとはITの力でマーケティングがしっかり自動化するわけです。

冒頭でもお話しした通り、アゴダでは39カ国語でサービスを展開していますので、ユーザーも親しんだ言語でサービス内容を知って、アクティビティを楽しんで、また、Webやアプリの操作の安心感を持って、日本に来ていただける体験を提供していますので、こうしたことが実現します。

なお、インバウンド予約のところに「長いリードタイム」とありますが、インバウンドは日本の観光業界の活性化にも貢献します。

日本人の方々は、普段は月曜から金曜まで仕事をされます。そして、金曜日の夜から、もしくは土日で旅行して、日曜日には帰ってきて、月曜日からまた仕事をされます。有給をとって平日にというところもありますが、メインは週末です。しかし、インバウンドは違います。旅行にきているので、1週間から2週間、しかも「平日の方が空いているだろう」「安いだろう」ということで、平日に利用してくれます。従って、観光業界、宿泊施設さんからすると、平日に部屋が動いてくれます。稼働率をあげるという視点では、インバウンドニーズと国内ニーズをうまくミックスしていくことが効果的だと思います。

最後に「It’s a small world! ~世界は小さい~」です。

私はアゴダに入社して、日本で仕事していますが、そこで感じている最大の印象は、「ITで世界が小さくなった」ということです。

飛行機も、今はいろいろな都市に就航していますので、行きたい都市にすぐ行けます。そして、多言語対応なども含めて、その都市や地域の素晴らしいものを、本当に“隣の街”に行くような感覚で味わえます。“隣の街”にいる人に対して「いらっしゃい」と誘って、来る側も“隣街にバスで行く”くらいの感覚でいける。世の中はこれくらい便利になったと思います。

そして、単に行くだけではなく、準備や計画に関してもITの力、UXの整備によって、FIT(いわゆる個人旅行)で、自分で自ら予約して、自分で好きな場所、好きな計画、好きなホテル、好きなフライト、好きなアクティビティを選んで、旅行を計画できるようになりました。

最後に宣伝になりますが、インバウンドでも国内でも需要はたくさんありますので、施設の方などはアゴダのプラットフォーム、ぜひご利用ください。以上になります。最後までご清聴ありがとうございました。

関連リンク

https://www.agoda.com/ja-jp

Wovn Technologies – 日本語サイトの多言語・自動翻訳

セミナーランキング

Recommended