この記事は2020年12月16日に開催された「いざ実践! CRM / One to Oneマーケティングの最新事情」のウェビナーレポートです。
スピーカー
株式会社ディレクタス 代表取締役 岡本 泰治 氏
株式会社リクルートを経て1993年ディレクタスを設立。航空会社や自動車メーカーなど大手企業のEメールマーケティング戦略を立案・実行し、近年ではマーケティングオートメーション(MA)の導入支援やシナリオ設計、MA導入後のOne to Oneクロスチャネル展開設計など、常に最新のソリューションと長年培ってきたノウハウをもとにOne to Oneマーケティングを推進。
株式会社EVERRISE取締役 伊藤 孝 氏
ソフトウェア開発会社にてプログラマとしてキャリアをスタート。物流や会計などのプロジェクトに携わった後、2006年に現経営陣とともに株式会社EVERRISEを創業し取締役就任。起業後もアドテク領域で多数のプロジェクトで実績を積み、現在は主にコンサルティング営業を担当。
株式会社ロケーションバリュー 取締役CMO 三石 剛由
1999年日本電気株式会社入社。携帯電話の商品企画部門にて次世代端末の企画・メーカー公式サイトを立ち上げ。2001年、創業直後の株式会社D2Cに入社。モバイル広告立ち上げ期において企画営業に従事し、市場拡大を牽引。営業企画部長、おサイフケータイを活用した新規事業開発、放送連動事業部長、事業開発部長を担当。その後大手通信会社で会員ロイヤリティプログラムのデジタルマーケティングの実務責任者を担当。2019年、株式会社ロケーションバリューに入社。CMOとしてマーケティング戦略と新規事業を担当。
いざ実践! CRM / One to Oneマーケティングの最新事情
モデレーター三石
本日はダイレクトメールのCRMからデータドリブンのCRMの導入・支援まで数多く携わっておられる株式会社ディレクタスの岡本様、そしてテクノロジーを追求し続け攻めのDXの活用支援、技術コンサルティング及び・支援まで行っている株式会社EVERRISEの伊藤様の2名をお招きしてパネルディスカッションを行っていきます。
それではまず、株式会社ディレクタスの岡本様からお話をいただきます。
One to Oneプッシュチャネルの活用
岡本
よろしくお願いいたします。今回はCRMの中でのOne to Oneのコミュニケーションの設計の仕方や考え方についてお話しできればと思います。
そもそも、CRMは顧客との関係を管理して継続的に購入をしてもらう、という考え方ですが、昨今、Personal Dataの取り扱いにおける規制の強化とLTVが最終的な企業の利益につながるという考え方が普及したことから、重要度が高まってきています。
CRM的なコミュニケーションとは、つまりデータによるコミュニケーションです。
IDに様々なデータが紐づくことでリッチになっていき、様々なチャネルでコミュニケーションができます。その中でもメール、LINE、アプリなどのOne to Oneができるプッシュチャネルが特に重要です。
これまでは購入するまでがAcquisitionと考えられてきましたが、データを使ったOne to Oneプッシチャネルが活用できるようになったことで、サイト訪問までがAcquisitionで、その後はCRM的なRelationship Managementを行うようになり、CRMの領域が拡大しています。
CRMの中で使用するOne to Oneプッシュチャネルは、従来から使用されているDM、Eメールと、最近主流になってきたLINE、アプリなどのメッセージ、プッシュ通知機能の4つに大別することができますが、どれが古い、どれが効果的というものはなく、使い方や位置付けによってきちんと効果を出すことが可能です。
しかし、チャネルをどう位置付けるかという考え方は2つあり、考え方によっては新しいチャネルは大きな意味を持ちます。
新しいチャネルをどう位置付けるのか、ということで得られる効果は全く異なるのです。
また、DM、Eメール、LINE、アプリは全てOne to Oneプッシュチャネルではありますが、それぞれ持っている特性が全く異なります。情報到達率はアプリの方が優秀ですし、逆に、保存性で言えばDMの方が優秀といえます。メールは検索して探さなければいけないのでプッシュチャネルではなくなってきています。
これらの特性の違いを理解することがもちろん重要ですが、それだけではなく、パーミッションを維持するために、顧客にとって本当に必要な情報を必要なときに届ける「接客・サービス」の思想でコミュニケーションをとることも重要になります。
顧客とのコミュニケーションがうまくいっていない(反応が悪い)という企業は、コミュニケーションの内容が適していない場合が多いです。プロモーションの側面が強いと、顧客のパーミッションは簡単に切れてしまいます。コミュニケーションをとるとき、そのコミュニケーションで顧客がどう思うのか、実際に店員として接客するときに同様の情報の提供の仕方をするのかなど、顧客の目線に立ってコミュニケーションの内容や頻度を考える必要があります。
そして、どのチャネルをどう使うのか、ということを考えるとき、最初はクロスチャネル運用(複数のチャネルを有機的に組み合わせて使用すること)を考えますが、これは現実的とはいえません。プロモーションに時間的余裕がある場合は別ですが、顧客や顧客のステータスによってチャネルを使い分けるのは短期間では非常に困難だからです。かといって、マルチチャネル運用(全てのチャネルを全面的に展開する)にも負荷がかかります。
チャネル運用は「どのセグメントに」「どんな行動変容をして欲しいのか」というターゲット設定と目標設定をして、しっかり戦略を立てることが重要になるのです。
モデレーター三石
ありがとうございます。すぐに使えそうなハウツーの話もありましたので、是非参考にしていただければと思います。
続きまして株式会社EVERRISEの伊藤さんお願いします。
攻めのDXと効果的なデータ活用
伊藤
よろしくお願いいたします。当社では、「データを用いた可視化、スピーディーな意思決定」「デジタル化による既存サービスの提供価値向上」「顧客エンゲージメントからみたコミュニケーションの改善」「新しいデジタル社会に合わせたビジネスモデルの変革」を実現するために、攻めのDX(デジタルトランスフォーメーション)に関してシステム開発やCDPツールの提供など、テクノロジーの面からデータ活用の支援を行っています。
本日は、顧客データ統合で実現できること、実際に統合するためにどんなシステムが必要なのか、最後にどういう体制で統合していけばいいかという3点をお話をさせていただきます。最終的には顧客データ統合の推進方法をご理解頂くことが目的です。
1点目の顧客データ統合で実現できることについてです。先ほど岡本様からも話がありましたが、ここ5年ほどはOne to Oneでのコミュニケーションの重要度が高まっており、多くの企業が様々なチャネル、データ、ツールを活用して顧客とのコミュニケーションを最適化しようと努力してきました。しかし同時に、さまざまなデータやチャネル、ツールを導入したことでそれぞれが紐づかず、結果データを活用しきれないという問題が発生しています。
この問題を解決するためにデータの統合が必要です。データを統合することで、セグメントの絞り込みが精緻にでき最適なコミュニケーションを図れるだけではなく、データの欠けをなくし、成形されたデータを管理できるため、データ分析も容易になるのです。
2点目に、こうした統合データはどのようなシステムで実現するかをお話しします。
実際にデータを統合するのは非常に難易度が高く、また、データ統合をするためには「データレイク(データを貯める箱)」「ETL(Extract/Transform/Load)(データの入出力、加工をしやすくするツール)」「DWH(Data Warehouse、分析用のデータベース)」「アクセスログ収集(行動ログの収集機能)」の4つの機能を有したシステムが必要となります。
これらの機能を搭載しているのがCDPです。CDPを使用すると、
- データの名寄せや統合処理が簡単にできる
- 集計処理機能を搭載しているため、データが使いやすい
- セグメントを複雑な条件で抽出することができる
- 外部ツール・システムとの連携が簡単に実現できる
など、個々で行うと難しい工程も容易にできるようになるのです。
3点目に、データ統合プロジェクトを進めるうえでの体制についてです。
CDPを使用するとデータの統合が容易にはなりますが、社内で実際にデータ統合のプロジェクトを進めるためには体制を整える必要があります。今回は実際の事例を用いて解説していきます。
プロジェクトを進めていくにあたり、まずチームの構成はプロジェクトの管理・責任者以外に「Bizチーム」と「Devチーム」の2チームに分かれることが多いです。
Bizチームは主に業務開発や実行支援を行うチーム、Devチームは製品評価、導入開発を行うチームで、それぞれのチームの中でも役割を分けて配置します。
また、これらのチームにどのようにリソースを配分するのか、ということも重要です。コンサルティング・システムベンダー・ツールベンダーなど外部にアウトソーシングすることをお勧めしますが、丸投げしてはいけません。社内調整や意思決定を行う機能は社内で、具体的なツールの選択や専門的な知識を有するコンサルティング機能は外部でなどと、それぞれの要件や割けるリソース、予算などによって上手に役割分担することが、円滑にプロジェクトを進める上で非常に重要なのです。
モデレーター三石
伊藤さん、ありがとうございました。それでは、ここからはロケーションバリュー三石から「グロースマーケティング」についてお話ししていきます。
顧客理解とスピーディーなアクション「グロースマーケティング」
三石
当社では販促CRM、OMOを行っており、「データの蓄積および接点構築」「会員軸でのデータ分析による顧客理解」「顧客理解に基づく個別コミュニケーション」の3つの要素が重要と考えて、アプリ開発サービス「ModuleApps」、グローバルNo.1の行動分析ツール「Amplitude」等のサービスを提供しています。また、日本の企業はDX実行人材の企業内確保が課題となることが多く、単なるツール提供ではなく、環境整備や導入、戦略や目標設計、施策実行・サービス改善、実務運用支援などを「プロフェッショナルサービス」としてトータルで提供しています。
その中でも今回は、データ活用における重要な4つのステップ「ためる」「整える」「分析する」「つかう」の4つポイントを、「顧客理解」という観点から解説していきます。
データを活用するためには「ためる」「整える」の設計・環境整備の段階、「分析する」の顧客理解の段階、「つかう」の施策展開のそれぞれのステップをしっかり踏むことが重要です。
「設計・環境整備」は、データを使って顧客理解をしていく中で一歩目として重要なです。データを「ためる」「整える」段階で最も重要なことは「テーマ(やりたいこと、目標、仮説)を最初にしっかり立てること」です。
テーマを決めず、いきなりデータを手当たり次第集めてしまうと途中で何をしたらいいのかわからない、着手するべきことがわからないと言った状態に陥ってしまいます。こうした事態を避けるために、まずはしっかりテーマを設定し、社内でコミュニケーションをしっかりとり認識を合わせていきましょう。
必要なデータを明確化する際には、データ抽出を依頼するマーケターと依頼されるエンジニアの間で、ほしいデータの認識が合わないということも往々にして発生します。マーケターは店舗購買直前の行動が見たい、というのですがエンジニアはそれに対してセッションの定義を教えてほしい、というちぐはぐな回答になったりします。こうしたデータ利活用のポイントを整理するためにはデータPMという役割が必要です。
また、設計・環境整備の段階で行う「タクソノミ設計」が何より大切な工程となります。タクソノミ設計とは、サービスをAAARRモデル等のフレームワークに沿って分類し、全体像を把握して、それぞれの顧客の行動指標を設定するステップです。このステップは、社内、クライアント側と密に議論を重ね、非常に時間をかけて行います。このステップを踏むことで、「分析する(顧客理解)」がスムーズに行えるようにします。
「分析する(顧客理解)」の段階で最も重要なのはスピードです。現在はVUCAの時代といわれており、何が起きるかわからない、不確実性が多い、顧客の行動変容が早いとされています。このような状況の中では従来のPDCAでは時間がかかってしまうため、PDCAではなくOODAループに則ってスピーディーに施策を実行していくことを推奨しています。
そして顧客理解のための分析の方法ですが、企業やサービスによって多岐に渡り、それぞれ単体では正しい顧客の理解はできません。目的に応じて方法を使い分けることが重要です。
今回は行動コホート分析(行動軸でユーザーを分析する方法)にフォーカスしましょう。
従来のマーケティングではデモグラフィック変数、サイコグラフィック変数を用いており顧客像の解像度が荒い状態でしたが、今後は、行動変数を用いて顧客の行動をより高い解像度で捉えることが必要不可欠です。これが正しい顧客理解です。
また、データを取り込むときもクロスチャネルで複数のソースから集め、一意にユーザーを名寄せし、使用できる状態にしてから分析を行う必要があります。
当社が導入・運用支援を行っている「Amplitude(アンプリチュード)」では、ユーザー行動を素早く把握し、次のアクションや戦略立案の推進に生かすことが可能です。Amplitudeできる顧客理解の具体的な内容を、15種類のチャートの中から本日は2つ、デモでご紹介します。この15種類のチャートはグロースに成功している企業の行動分析手法をテンプレート化したものです。
(デモンストレーションによる製品紹介)
1つ目は「リテンション(継続率)」の分析。どのような顧客行動が継続率に寄与しているのかを確認することができます。今までデータサイエンティストに依頼してSQLで抽出していた作業を視覚的にすぐに把握できることが最大の特徴と言えます。
2つ目は「パスファインダー」、ユーザーの行動軌跡の分析です。ユーザーがログインしてからの行動の軌跡をグラフィカルに見ることが可能です。最も多くのユーザーがとっている行動「ゴールデンパスファインダー」すぐに見つけることができ、更に先ほどのリテンションと照らし合わせることで、実際に有効なのか、といった観点から分析し、UXの改善などに生かすことが可能です。
これらを含めた15のチャートを使用することで瞬時に顧客行動を分析、顧客理解ができるのです。また、クラウドサービスですので様々な職種の人がデータを活用することも可能です。
今まではデータサイエンティストがSQLを書いて苦労しながら分析レビューするのがやっとでしたが、Amplitudeは投入したサービスの良し悪しがクリック操作による条件指定などの簡単な操作でリアルタイムに状態が把握できます。
行動理解後の施策の実行に関しては、「知る」「打つ」「企てる」の3つで整理しています。特にAmplitudeを使うと、分析結果を「打つ」アクションと「企てる」アクションへシームレスにつなげることができます。顧客を知るだけで終えるのではなく、すぐにアクションすること、プロダクト自体の見直し、改善などに生かすことが重要となります。
これからのCRMで意識すべきこととして、「行動分析」「高速に施策を繰り返す」「的確な目標・指標設計」の3点を挙げております。こちらは私たちが提唱するビジネス・サービスを持続的に成長させるためのマーケティングフレームワーク「グロースマーケティング」の3つの軸でもあります。
パネルディスカッション
①テクノロジーと人材の関係
モデレーター三石
それでは残り30分ほど、テーマに沿ってパネルディスカッションを行っていきたいと思います。まず最初のテーマは「CRMに関して最近注目していることは?」です。まず、岡本さんからお願いします。
岡本
はい。そもそもCRMは元々ITの分野の話だったのですが、ここにマーケティングコミュニケーションの領域も重なってきて、今ではその領域が思った以上に大きくなってしまっていると考えています。
CDP含めデータ、チャネルなど様々なツールや技術が進化していますが、これらを実際にどうやって運用していけばいいのか、という点が最も気になっているところですね。
理屈ではシームレスにつながっていると理解できていても、全てのカスタマージャーニーの中で実現するには途方もなく、プッシュ通知一つとっても大変な作業です。実際にどこまで運用が回るのかは未知。いかに運用を回すのか、ということがこれからの課題だと思います。
今は非常に領域が巨大化・複雑化してしまっていて、人材側のデータの統合・運用のノウハウがまだ追いついていないんだろうなと思いますね。
モデレーター三石
特に事業会社ではよくある話ですが、デジタル人材が不足しているから運用まで業務委託することがあります。自社とパートナーとの間でどうやって業務を分けていけばいいのか、何を基準に考えればいいのか…。
岡本
ノーコードの時代とか言いますけど、本質は人材育成ではなくシステムが進化する必要がありますよね。
伊藤
それに関してはすごく反省しています(笑)。
使う人材に負荷をかけてしまっているのはテクノロジー側の怠惰だなって…。
モデレーター三石
先ほど伊藤さんは「Biz」と「Dev」に分けるというお話をされていたかと思いますが、実際にどうすればうまくいくでしょうか。
伊藤
Biz側は少量のデータでもうまくいくかどうかの検証をやってもらって、またDev側も実際に運用を回せるのか、という点をスピーディーに検証していく必要があると考えています。
なので、Dev側の人材も育っていく必要がありますね。
②データ統合・整形出来をつけるところ
モデレーター三石
続いてはデータ統合や整形・加工をする各工程で具体的に何に気をつければいいのかお話いただけますでしょうか。
伊藤
データの正確性や定義そのものは合っているのか、というところは気にします。
最初に目的に合わせて様々なところからデータを集めるのですが、いざ統合してみるとデータが欠損していたり、照合できなかったりということがかなり頻繁に発生します。
これが早い段階で分かればまだいいのですが、後から分かってしまうと本当に取り返しがつかなくなってしまうので、すごく気を付けていますね。
モデレーター三石
その検証をする人材、というのはやはりデータサイエンティストやエンジニアなど担当を決める、ということが大切なのでしょうか。
伊藤
データを見るという点でデータサイエンティストなどの人材も大切ですが、社内の人材である程度業務のこと、システムのこと両方がわかる人としっかり中身を検証してくことが大切です。
③実際、One to Oneマーケティングはどこまで実践が進んでいるのか
モデレーター三石
続いて「実際、One to Oneマーケティングってどこまで実践が進んでいるのか」についてお願いします。
岡本
進んでいると言えば進んでいますが、本当にやりたかったことができているかというと別の話になります。KGIやKPIを設定して、それに向けて近づいていくということができているところは少ないと感じますね。ちゃんと使える運用ノウハウやツールが無いんじゃないかなと思います。
モデレーター三石
ただ、さすがにここ5年くらいでCRMやOne to Oneはかなり進みましたよね。
岡本
一気に進み、企業間の差が開いていると思います。本当にうまくいっている会社のノウハウは外部に公開されないので、差が開いていっているのが実態だと思います。
④ファーストパーティーデータと広告との連携
モデレーター三石
ファーストパーティーデータの時代といわれていますが、CRMと広告の連携や注力する部分などについてお二人から自由にご意見を聞かせていただければと思います。まず、伊藤さんいかがでしょうか?
伊藤
そうですね、正直にいうとCRMと広告の相性は良くないのかなと思います。ファーストパーティーデータは母数が少ないので、広告で見込める効果が薄いんですね。
ただ、ファーストパーティーデータと広告を受けた顧客の生の声などを照らし合わせて広告のクリエイティブメッセージの改善をする、などには活用できそうだなと思います。
岡本
少し話はずれるかもしれませんが、まず、ファーストパーティーデータをマーケティングに利用する、という思想よりも、これからはより有益で、ソーシャルグッドな存在になっていけるか、という方向に進んでいくと考えています。
顧客からデータを預かって、それを顧客の望む形や有益なこと、例えばサービスの改善などに使用できるようにする、という思想がこれからの方向性だと考えています。
モデレーター三石
ファーストパーティデータが重要だという方向性は間違いなさそうですね。
⑤今抱えている課題と人材育成のポイント
モデレーター三石
ここで冒頭で参加者に投票してもらった質問「現在直面している1番の課題はなんですか?」の回答結果を見ていきましょう。
1位が「デジタル人材の確保や実行体制づくり」、2位が「保有データの活用」、3位が「DXの具体的な進め方(何から着手すべきか)」、4位が「ツールやパートナーの選定」、5位が「D2C(Direct to Consumer)への対応」となりました。
D2Cは話題にはなっていますが、まだまだその手前の段階、ということなのでしょうか。やはりどちらかというと足元の実行に関して課題を感じている人が多いようですね。
岡本
「データ保有の活用」は意外ですね。活用の中には「データの整備」も入っているんでしょうね。
伊藤さんもおっしゃっていたように、まず基本のところから課題を抱えている人が多いように見受けられますね。
伊藤
当社に寄せられる問い合わせもデータの整備やそれ以前の段階に対して課題を持っている企業からが多いです。ここがこれからの市場なのかもしれませんね。
モデレーター三石
デジタル人材の確保というのは恒久的な課題なのかな、と思うのですが、特に事業会社が社内のデジタル人材を育成するための成功要因などありますか?
伊藤
当社は開発支援という点で顧客と取引をすることが多いですが、社内の人材がいないという企業も多いので技術者の採用を増やすよう進言することがあります。その時に、採用支援の要望を顧客からいただくことはたまにありますね。
岡本
思い切った人事制度の変革を行なっている企業もいくつかありますね。専門的な人材育成に思い切って踏み込めるかがポイントなのではないでしょうか。
最後に
モデレーター三石
本日はご視聴いただきましてありがとうございました。
コミュニケーションの実行をご支援されているDirectusさん、構築のところを技術的な観点でしっかり環境整備していくEVERRISEさん、培ったアプリマーケをのみならず行動ベースの顧客理解を起点に速いスピードで継続的なサービス改善展開することで、企業のビジネスやサービスのグロースへの支援をしているロケーションバリュー、この3社の取り組みの紹介とディスカッションをさせていただきました。本日ご紹介差し上げた考え方や手法を参考にしていただき、いかに人間がしっかり実行できるか、形にできるかが、今一層これから重要になってくると思っています。
3社は実行支援を得意にしていますので、是非お気軽にご相談いただきたいと思います。