この記事は、2023年7月26日に開催されたAdjust Ignite Tokyoの一部セッションレポートです。
CTV広告を手がけるABEMA、フジテレビ、TVerの3社から登壇!
Adjust 佐々氏|
Adjust(アジャスト)でゼネラルマネージャーを務めている佐々と申します。本セッションは「CTV広告がアプリマーケの新定石に!〜いま急成長する新たなチャネルの活用事例と今すぐやるべきこと〜」と題してお送りしていきます。
本日のアジェンダは以下の通りです。
- 登壇者・サービス紹介
- CTV広告市場(国内・海外)
- CTV皇国のキーポイント
- 活用事例・インサイト
- 広告効果実証実験
- 計測・アシスト分析
- まとめと今後の展開
ABEMA 綾瀬氏|
ABEMAでシニアプロダクトマネージャーを務めている綾瀬です。サイバーエージェントに新卒入社しブログメディア「アメーバブログ」のマネタイズに関わってきました。その後AbemaTVの方に出向し、現在はABEMAの動画広告の商品開発に従事しています。
ABEMAについて少し紹介すると、「マルチモデル×マルチデバイス」という特徴のあるサービスです。リニア配信やオンデマンドに加え、オンラインライブをコンテンツ単位で購入・視聴できるペイバービュー(PPV)やプレミアム会員向けコンテンツの提供なども行っています。
また「プロコンテンツ・放送局品質」を掲げ、テレビ朝日様とも連携しながら、品質の高いコンテンツを制作・調達しています。
直近のトピックスとしてはネットフリックス様とのコンテンツ連携を発表、YouTuberコムドット様の興行を開催したり、それから海外のプロスポーツリーグを配信するなど、これらを通じてお陰様で5月に2,000万WAUを超えるサービスに育っています。
フジテレビ 野村氏|
フジテレビの野村と申します。プラットフォーム事業部長として、配信事業に加え、CS放送やFNNプライムオンラインなどを担当しています。また、こうした事業の傍らオリジナルバラエティ番組のプロデューサーなども務めています。
昨年のトピックスとしては、フジテレビのAVOD*1アドバタイズドVOD、広告付きのビデオオンデマンドのこと(TVer/FOD/GYAO)の再生数、UB(ユニークブラウザ)数、総視聴時間のすべての主要指標で民放1位だったため、「AVOD三冠」と発表させていただきました。
また見逃し配信では基本的に、ドラマなどの次の回までの1週間配信しているのですが、第4話以降の視聴数があまり変わらないというデータがあり、10月クールから1〜3話は常時無料で見られるようにするという施策を打ちました。
それが奏功し、またドラマ「silent」が爆発的にヒットしたこともあって、FOD有料会員が100万人を突破して今に至ります。
そして、FODアプリのダウンロード数がスマホ・CTV合わせて3,000万を突破し、結構な規模になりました。1,000万ダウンロードや2,000万ダウンロードを達成したとき以上に反響が大きく、メディアとして認知され受け入れられる指標は3,000万だったのだなと実感しました。
TVer 矢部氏|
株式会社TVerの矢部と申します。新卒でシステム開発会社に入社し、その後複数の企業でゲーム開発、DSP開発、SSP事業立ち上げなどを経て、2020年7月から、TVer広告プラットフォーム開発の責任者を務めています。
TVerは民放などがひとつになったテレビの新しいプラットフォームです。フジテレビ様からもコンテンツをご提供いただくなど、民放各局が制作したコンテンツを配信しているサービスです。
特に今は「約650番組が約7日間見放題!」ということで、野村様がおっしゃったようにドラマの1〜3話を常時無料で見ていただいたりしているので、SNSや口コミで広まり、4話以降のエピソードも再生される要因となっています。またリアルタイムのスペシャルライブ配信なども行っています。
また、現在の月間動画生成数が3.5億回。アプリダウンロード数に関しても6,000万を突破しています。月間ユーザー数も順調に伸びており、2,800万MUBを達成しています。
CTVも順調に推移しており、昨年の4月時点でのテレビデバイス再生比率が約24%だったのに対し、直近では31%という割合の方にCTVを利用いただいています。このように弊社としてはCTV領域をかなり重要視しています。
CTV広告市場(国内・海外)
Adjust 佐々氏|
CTV広告市場の現状について見ていきましょう。
ABEMA 綾瀬氏|
2月に弊社グループのAJAと、SMN様、デジタルインファクト様共同で出した予測によれば、基本的に順調に伸びています。
動画広告市場自体も大きく伸びる中で、CTVが占める割合が倍増しており、CTVが持つ大きなポテンシャルを示しています。
Adjust 佐々氏|
海外に目を転じると米国市場だけで2022年、既に3兆円を超えています。これは日本と比較して約60倍の規模であり、2026年には5兆円超となる見込みですが、そのときは日本の約20倍とやや差を縮めるであろうと予測されています。
CTV自体の普及に関しては、2023年で3,000万世帯にまで広がっています。
続いてCTV広告のキーポイントを深掘りしていけたらと思います。
CTV広告のキーポイント
ABEMA 綾瀬氏|
CTVが提供する基本的な価値の一つは、大きい画面で視聴できることだと思います。
テレビサイズは、地上波の視聴が主流だった10年前には31インチほどだったものが、現在の平均的なサイズは45インチにまで大きくなってきています。
それゆえインターネットで配信されるCTVは、大画面で訴求できるデバイスだといえるでしょう。
またスマホを手に持った状態でテレビを見ることが当たり前になってきており、CTV視聴をきっかけに何かが気になったタイミングで検索する人が増えてきているので、そうした行動ともCTVは相性がいいと考えています。
Adjust 佐々氏|
TVer様でも高い完視聴率を記録されているそうですね。
TVer 矢部氏|
はい。CTVの事情はスマホと違って、1日当たりのテレビ視聴回数や、番組自体の「完再生率・視聴率」は比較的高いという特徴があります。
弊社調べでは「共視聴率」も高くなっており、TVerの平均利用人数は1.5人となっております。1人で見ることが前提のスマホと違い、CTVでは同時視聴という側面も強いのではないかと思います。
それを裏付けるように、2人以上でCTVを利用する割合は34.5%という数字も出ており、おそらく家族で見るなど、一緒に同時視聴してもらえるというのがCTVの強みではないかと考えています。
Adjust 佐々氏|
確かに、スマホだと見ている人は大体1人のはずですから、CTVだと2〜3人が同時に見ることも大いにあり得るわけですね。
CTVのキーポイントについて伺ってきましたが、大体以下の内容にまとめられるかと思います。
- 圧倒的なオーディエンス
- 共視聴
- 大画面
- 高い視聴完了率
- セカンドスクリーン(デュアルスクリーン)
- デジタル(ターゲティングと計測)
CTV広告の活用事例・インサイト
Adjust 佐々氏|
これらも踏まえて、いくつかCTV広告の活用事例・インサイトを見ていこうと思います。
ABEMA 綾瀬氏|
「ABEMA」では「TV for the Future」というサービスコンセプトを掲げているのですが、広告においても従来とは違う価値を提供できる新しい広告体験を再開発していきたいと考えています。
そのうちの一つがスライドにある「ABEMA Live Screen Ad」という広告商品で、これは「スプリットスクリーン」型広告と呼ばれるフォーマットです。例えば野球中継を視聴中に、画面の右端や下の方に飲み物の広告が表示されたりするイメージです。
Adjust 佐々氏|
これはアメリカで生まれた広告手法でしょうか?
ABEMA 綾瀬氏|
はい、日本ではまだ少ないと思います。スポーツ中継では従来のCMを入れるチャンスは短い休憩や切り替わり時などが一般的で、意外と少なかったりします。またそういったコマーシャルブレイクでは、一時的に視聴から離れるユーザーも一定数存在し、広告リーチの観点では機会損失であるとも言えます。
その点、この視聴中に訴求できる新しい広告フォーマットは、視聴者にしっかりリーチするという意味でいいやり方だと思いますし、ユーザーもある程度受け入れていくのではないかという調査結果も出てきているので、なかなかいい広告体験だと感じています。
Adjust 佐々氏|
このような新しい手法もどんどん開発されているんですね。
ABEMA 綾瀬氏|
ABEMAではアメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)の配信を行っていますが、例えば大谷翔平選手をキャラクターとして起用している企業の広告をスプリットスクリーン型広告として、野球中継内の大谷選手が投げたり打ったりしているシーンに連動して掲載することも可能ですし、ユーザー視点でも非常に楽しい体験を生み出せるのではないかと考えています。
続いて「リーチ力」についての広告効果のお話ですが、「通常コマーシャルブレイク」では、番組視聴者が100人いるとした場合、コマーシャルブレイクで視聴中断するユーザーによってCM視聴者は80人程度に減ってしまう傾向がありますが、ABEMA Live Screen Adの場合は100人なら100人にそのまま届けることができるので、とてもいい手法だと感じています。
それから、2022年に「2022 FIFAワールドカップ カタール」を配信したときのCTVの広告効果を見ると、スマホやPCと比べてかなり高い広告認知のスコアを出していたことがわかりました。
Adjust 佐々氏|
広告認知という言葉が出ましたが、TVer様の方ではいかがでしょうか?
TVer 矢部氏|
弊社でも同じような調査をしたところ、やはりCTVの方が認知度が高いという結果が出ています。
このように、CTVはこれからどんどん伸びていくのでいろいろ実験をしていただければ、地上波テレビとの相乗効果につながっていくと思います。
フジテレビ 野村氏|
「地上波の広告価値が下がっているのではないか」といわれる一方、CTVの広告価値が上がっているということは私の方でも把握しています。
そんな中、地上波の広告価値をどう証明していくのかが重要で、そういう意味でAdjust様のツールに期待するところが大きいです。
CTV広告の計測・分析方法
Adjust 佐々氏|
次はCTV広告の計測・分析方法についてです。CTV広告についてよく聞かれるのが「どのように計測しているのですか?」という質問です。
AdjustではCTV広告の効果計測を行うCTV Advisionというツールを提供しています。このツールでは、CTVに広告が表示された後、アプリをインストールしてアプリが起動されるとAdjustのSDKが初回起動されます。このように「クロスデバイス計測」がIPアドレス等による確率的モデリングで実現されています。
やはりCTV広告はインプレッションベースということで、他の広告に比べて何度も目にして印象に残りやすいということもあったりします。
CTVのアシスト効果の分析については、Adjustのようなモバイルマーケティング分析ツールを扱っている事業者は、このアシスト効果に関するコンバージョンもKPIに置いています。
ただ、それ以前にCTV広告はユーザーへの認知の部分がとても強いので、必ずといっていいほどCTVの指標が出る前から、顕著な効果が出ているケースがほとんどです。
それゆえ、いろいろな見方ができるアシスト効果分析については、例えばアシストがあったのかなかったのかという比率や、アシスト力のある媒体・施策・クリエイティブの特定、CTV広告の他媒体へのアシスト分析など、さまざまな形でご活用いただけると思っています。
これはCTVに限った話ではなく、デジタル広告、QRコードや地上波などあらゆることで有効に使っていただけると考えています。
CTV広告効果の実証実験について
Adjust 佐々氏|
ここからはCTV広告効果の実証実験について、FOD様にかなり踏み込んだ実験をしていただいていますので、ご紹介いただけますでしょうか。
フジテレビ 野村氏|
皆様、CTVの広告効果が高そうだという認識はおありかもしれませんが、実際にどのくらい高いのかはお金をかけて検証してみないとわかりませんでしたので、「まず自分たちでやってみよう」ということで実施しました。
実はフジテレビのAVODのセールスにおいては、スマホ/PC/CTVは同じ単価であるといわれています。ただ「効果が高いなら、もっとCTVの値段が高くてもいいのではないか?」と思ったりもします。
そこでCTV広告を出稿すると、PCやスマートデバイスに比べてメリットがあることを証明したいと考えました。
まず、CTVのポストロールをアプリのインストール訴求に使えないかと考えたのが調査のきっかけです。
例えばQRコードを入れるかどうかや、入れ方によって効果が違うのかなど、そのクリエイティブも含めて検証してみました。
具体的にどうしたかというと、私がフジテレビで一人で製作委員会として担当していた「大江戸今昔めぐり」という古地図アプリにAdjustが実装されていたので、そのインストール数をKPIとして以下2種類の配信を行いました。
まずは4種類のCM素材をCTVのポストロール/ミッドロールに配信するもので、素材間比較とCMポジション間比較も後から追加しました。
また、比較用にスマートデバイスにも同様のCMを配信し、デバイス間比較・動画周りのL字枠比較などを追加したほか、通常のQRコードでのトラッキングも実施しました。
実際に素材を配信した「大江戸今昔めぐり」アプリというのは、江戸の古地図を現代の実寸に合わせて書き直し、現代地図と重ねられるようにしたものです。
スライドの左側が「L字あり、QRあり」、中央が「L字なし、QRあり」、右が「L字なし、QRなし」の通常版です。
これらのほか、QRコードを別の見せ方で出したものもあり、30秒の長いCMの前半が動画本編、後半がQRコードを含めたダウンロード案内という素材です。
スマートデバイス向けには「L字なし」と「あり」の2パターンを作り、どちらもclickableにしました。
検証結果に基づき配信は3期に分け、第1期から前述の全5種類の素材を使用して行いました。AdjustではQRコードだけでなく、インプレッションからのインストール数も計測できるので、計測時間を最大の72時間に設定してコンバージョン判定をしました。
4月21日〜5月7日に、1素材あたり10万インプレッション×5種類で50万インプレッション。ポジションはCTVがポストロール、スマートデバイスがミッドロールでそれぞれ配信を行いました。
結果はスライドの通りで、QRコードよりインプレッションの方が数字が大きい印象を受けました。
続いて第2期です。どのようなことをしたかというと、使用する素材は前回と同じで、広告効果は一次関数的に伸びていくのか、それともどんどん落ちていくのかを比較・検証してみるため、コンバージョン判定の時間を前回の3分の1である24時間まで短くしてみました。
配信期間は5月16日〜29日。配信数は1素材あたり10万インプレッション×10種類で100万インプレッション。今回はCTVもミッドロールのポジションも追加して配信しました。
検証結果はスライドの通りです。これだけ見るとインプレッションベースのインストール数が少なくなっているのですが、これは今回、72時間を24時間に短縮したからと考えていただければと思います。
これらを通してわかったのは、やはりポストロールよりミッドロールの方が、よりインストールしてもらえるということです。
それからインプレッションの数字を24時間の場合と72時間の場合で比較すると、後者の方が1.9倍と多くなることがわかりました。
スマートデバイスでは広告をタップしてインストール画面に遷移するわけですが、これだけインプレッションの効果が出ているとなると、「スマートデバイスでもインプレッションの効果が出ているのではないか」とも考えられ、追加で第3期の実験に入りました。
第2期までのシンプルな、通常のCMに接触してクリック、インストールする動作とは別に、以下の2つの成果のデータを取得しました。
- CM接触 → クリック → 放置 → 後にインストール
- CM接触 → 後にインストール
これらをいずれもインプレッションの成果と判定することにしました。
この第3期の結果を見ると、クリックよりインプレッションの方が約5〜10倍インストールされていることがわかりました。
他方、L字枠の有無はインプレッションベースでは正直あまり差が出ていませんでした。
このようにclickable広告を出すときには、インプレッションをしっかり計測した方が正確な数値が出せると思います。
参考までに、CTVはスマホよりはるかに在庫が少ないのですが、100万インプレッションも出ているとなると、当然「同じCMに度々接触しているのではないか?」という疑問が生じます。
そこで調べてみたところ、ユーザーのフリーケンシーは約1.07〜1.14でしたので、ほぼ1回のインプレッションで成果が出ているといっていいと思います。
最終的に、第2期の計測期間を72時間だったらと単純に仮定し、補正したインプレッションの数値も出してみました。
そこで出た結論は「CTVのミッドロールには価値がある」ということです。「L字あり、QRあり」のミッドロールが常時インプレッションが最も多く、次いで「L字なし、QRあり」のミッドロールもかなり高い数値が出た結果になっています。
Adjust 佐々氏|
本当にさまざまなパターンで試されていて、CTVの次の可能性を目の当たりにした思いです。
ポストロール、ミッドロール、L字枠、QRコードそれぞれの特色を踏まえ、今後どういう風に取り組んだらいいかを改めて教えていただけますか?
フジテレビ 野村氏|
まず、QRコードからダウンロードする人は一定数いますので、QRコードは絶対に出した方がいいです。
次に、CTVのミッドロールも当然出すべきです。そこへのQRコードの入れ方はクリエイティブによってさまざまあり得るので、L字かどうかなどはあまり気にしなくてよいです。
反対にあまり効果が出なかったのは、前半15秒が動画本編、後半15秒がQRコードというCMです。これは常時QRコードを出していたものに比べて、インストール総数も少なかったです。
最近、タクシー車内の広告などでも、最後にQRコードを出すものは少なく、常時表示しているものが多いと思います。それもおそらく、各企業が検証して、「こちらの方が効果がある」となった結果なのだろうと思います。
Adjust 佐々氏|
このような「クリエイティブをどうしよう」という検証は、あまり表に出てきていないと思いますが、こうした結果のご共有によってさらにCTVが活性化していくのではないかと思います。
ABEMA 綾瀬氏|
実はABEMAでもQRコードの出し方の検証をいくつか行ったことがあり、「CTVにおいてQRコードを入れたり、L字の広告内で表示することがネガティブになることはなさそう」という結果を得ています。
そういう意味では野村様のおっしゃる通り、基本的にCTVに出すときにはL字にした上でQRコードを埋め込む方が、安定した効果が見込めると思います。
反対に、スマートデバイスでL字にするのは微妙なのかなという印象を受けたのですが、いかがでしょうか?
フジテレビ 野村氏|
その辺りはもう少し追加で検証する必要があると考えています。もしL字をタップする人があまりいないのであれば、全画面で表示して、インプレッションでブランドリフト指標を上げていく方が効果が出るのではないかと思いました。
ABEMA 綾瀬氏|
テレビの場合は元々大画面なので、L字が入っても本来の動画素材の部分がしっかり認識できるのですが、スマートデバイスの画面上にL字を入れた場合に、本来訴求したい動画部分を理解してもらえるのかどうか、一度比較検証してみたいですね。
TVer 矢部氏|
ミッドロールに比べ、ポストロールは見られないというご指摘がありました。動画本編が終わったら、広告は見ずに消されてしまうというイメージもありますが、ただ結果を拝見するとポストロールにも一定の価値があるようにも見えます。
フジテレビ 野村氏|
スマホのミッドロールよりCTVポストロールの方が価値が出ていたりもしますので、穴場的な意味で、ポストロールの使い道はあると思います。
TVer 矢部氏|
おっしゃる通り、決してミッドロール一辺倒ではなく、ポストロールにも価値があることを示してくれているデータだと思います。
フジテレビ 野村氏|
ぜひアプリマーケターの方は、このデータからどんどん逆算して、いろいろな施策を試す際にご活用いただければと思います。
以上をまとめると、いずれのデバイスでもミッドロールの数値が高く「スマホミッドロール:CTVポストロール:CTVミッドロール=1:3.5:5.5」という結果が「大江戸今昔めぐり」アプリでは出ています。
それからテレビ局の社員として強調しておきたいのは、ここまでCTVの結果がよかったことに鑑みて「地上波広告の効果も同様に高いのではないか?」ということです。
数年前までは確実に、地上波で広告を打った方がプロモーション効果が出ていました。最近よく聞くのは「地上波の広告効果について、コンバージョンを計測できないので上司を説得できない」と敬遠されてしまうケースです。
地上波は確実に効果が出ると言えますが、金額が少ないとスマホの効果との違いがわかりづらくなってしまいますので、まとまったマーケティング費用を投入できる場合は、ぜひ地上波も含めた広告を活用して、大きな知見を得ていただけたらと思います。
Adjust 佐々氏|
フジテレビの野村様から、「地上波広告は効果がある」というお墨付きをいただきました。CTVの計測結果と同様、テレビCMの効果も視聴率とは異なる形で計測できるようになってきていますので、必要なときはいつでもご相談いただければと思います。
まとめと今後の展開
Adjust 佐々氏|
最後にまとめと今後の展開について、一言ずつお願いいたします。
ABEMA 綾瀬氏|
ABEMAとしては、いろいろご紹介したようにCTV上で見られるコンテンツの広告体験を作っていくことに引き続き注力していきます。
そのためにAdjust様との連携を進めながら、早く新しい広告体験を作り、提供できるようチャレンジしていけたらと考えています。
フジテレビ 野村氏|
ぜひCTV広告を皆様に試していただけたらと思いますので、今回ご紹介した施策も含め「こんなことをやってみたい」というご相談があれば、いろいろご協力できることがあると思います。
今回は3社で登壇していますが、その相乗効果なども含め、広告主様が広告を出しやすい商品を作っていけたらと考えています。
TVer 矢部氏|
TVerとしては今、CTVにかなり注力しているところです。一番重要な部分はやはり計測の部分で、そこをしっかり作っていけたらと思っています。
他社様やAdjust様を含め、共にどのようなものや指標を作っていけるのか、工夫していけたらと思っています。
スピーカー
AbemaTV|シニアプロダクトマネージャー 綾瀬 龍一氏
株式会社TVer|広告事業本部 技術統括 矢部 怜史氏
株式会社フジテレビジョン|プラットフォーム事業部長 野村 和生氏
adjust株式会社|ゼネラルマネージャー 佐々 直紀氏
関連リンク
*1 | アドバタイズドVOD、広告付きのビデオオンデマンドのこと |
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