データドリブンエコノミーとは?新たなデジタル革命の到来

2022.04.01

これまで経験や勘に頼って意思決定が行われてきましたが、デジタルの発展に伴い、ソーシャルメディア、Webサイトなどのデジタル上で得られるデータを基に行われるようになりました。

しかしAIやIoT、クラウドが開発された現代では、アナログから得られる情報をデータ化し、ビジネスに活かすことで大きく収益を伸ばせる可能性があります。

この記事では、データ化したアナログ情報、リアルデータをビジネスに活かす「データドリブンエコノミー」について紹介します。これまで注目されてこなかったリアルデータを活用することで大きな変革を起こせる可能性が大幅にアップします。ぜひ参考にしてみてください。

データドリブンエコノミーとは

データドリブンエコノミーとは、これまでに蓄積してきた、またこれからも蓄積し続けていくデータや情報を分析し、分析結果をビジネスで活用し、企業・産業・社会を変革していく一連の経済活動を指します。

インターネットが普及し、従来データといえばネット上から得られる「ウェブデータ」がほとんどでした。そしてウェブ閲覧履歴、購買履歴、ソーシャルメディアの個人関連データなどを活用した、Amazonや、Twitter、Instagram、Facebook(現Meta)などのIT企業が大きな成長を遂げました。

しかし、データドリブンエコノミーではネット上のデータや情報だけでなく、リアル世界のリアルデータが大きな鍵を握るのです。ここでいうリアルな世界とは、私たちが今生きている、いわゆる「現実の世界」のことで、デジタルではない、アナログで行われている活動をデータ化し、ビジネスに活かしていくことを意味します。

これを可能にしているのが、無線通信、クラウド、センサーなどの情報通信技術です。これらの技術がここ数年で大幅に進化し、成熟したことで「アナログ」が「デジタル」と接続できるようになり、そこからリアルデータを取得できるようになりました。そして近年注目されている、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)によって、リアルデータの収集、分析に拍車をかけているのです。その結果、IT業界だけに関わらず、様々な業界で変革が起き、新たなビジネスモデルがたくさん生まれました。

例えば、世界最大手自動車メーカーの一つであるFord*1出典:https://www.ford.com/support/category/fordpass/は、車を売るだけではなく、顧客のモビリティ(移動手段)を支援するためのアプリを開発しました。モビリティはデータドリブンエコノミーで変革が行われている業界の1つです。

同社は、駐車場の検索と支払、旅行中の車のレンタルやシェア、サービスの予約などをサポートするFordPassと呼ばれるアプリを開発しました。

インターネット接続機能を備えた車の製造、自動運転の技術開発、車に搭載したセンサーなど、リアル世界での利用者のデータを収集し、分析することで利用者の移動手段について詳しく理解することができるようになりました。

Jian Wei Hoh, Global Head of. Business Design, Strategy & Analytics at Ford Motor Company.|Ford x Amplitude Story

従来であれば、リアルな情報をデータ化することができなかったため、駐車場の検索や支払いなどもアナログに行う必要がありました。しかし、データドリブンエコノミーが実現することで、FrodPassの事例のように、日常生活がますます便利になる世界が訪れるのです。モビリティ以外でも、例えば医療・健康の業界でもリアルデータを収集しており、人々の健康のために活用されています。リアルデータを集め、分析することでこれまでは病気になってからの「治療」が主でしたが、あらかじめ病気を防ぐ「予防」へと移行しており、より健康で過ごせる社会へとなりつつあるのです。

データドリブンエコノミーの特徴

データドリブンエコノミーは、従来のエコノミーシステムとは何が違うのでしょうか?その特徴を2つ紹介します。

・データ価値が異なる
・新たな価値を生み出すフィードバックループ

データ価値が異なる

データドリブンエコノミーで重要な鍵を握るデータですが、データは貯蓄するだけではなんの価値も生みません。有効に活用できて初めて価値を持ちます。

データの特性から、同じデータでも活用する人によって大きな価値を生む可能性もあれば、そのデータから全く価値を見出せない可能性もあるのです。そこでこれまで企業では、データサイエンティストだけがデータを扱ってきました。しかし、データサイエンティストだけでは、変化の早い社会において即座に必要なデータを分析し、ビジネスに活かすことが難しくなってきている現状があるのです。

顧客ニーズを正確に捉えて、ニーズに適した施策を行うためには、社員各々がデータにアクセスでき、有効活用できる環境を整えることが重要となってきます。

新たな価値を生み出すフィードバックループ

データドリブンエコノミーでは、現実世界の情報を、IT技術によってデジタル世界でデータ化します。収集されたデータは分析することで価値を生み出し、企業や産業、社会を変革するためのフィードバックとして重要な役割を担っているのです*2出典:https://diamond.jp/articles/-/198554

企業は分析された結果をフィードバックとして意思決定や、改善の際に活用します。その結果は再びデータとして収集された後に分析され、企業のもとにフィードバックされるのです。

このような、現実世界の情報をデータ化、分析し、分析結果(フィードバック)を基に現実世界、またはデジタル世界でさらに改善を試みる、という試行錯誤のループがデータドリブンエコノミーの特徴であり、強みとなっています。

データドリブンエコノミーのポイント

急速に広がるデータドリブンエコノミーですが、押さえておくべきポイントを3つ紹介します*3出典:https://natwestbusinesshub.com/articles/the-datadriven-economy

・理想の世界はまだ過渡期
・匿名性
・同意を含む倫理的考察

理想の世界はまだ過渡期

データドリブンエコノミーにおいて、個人情報、データが担う役割はとても重要です。データドリブンエコノミーでは、その重要な役割を果たしているデータは企業が消費者から収集します。しかし、提供しているはずの消費者は今はまだその恩恵をほとんど受けることができていないのです。

データプライバシーに関する消費者の態度に関する2015年のDMAの調査*4出典:https://marketing.acxiom.com/rs/982-LRE-196/images/DMA-REP-DataPrivacy-US.pdfでは、「新しいデータ経済におけるブランドと消費者の関係から最も利益を得るのは誰なのか、非対称性が認識されている」と観察されています。さらにイギリス・ロンドンに本拠を置く商業銀行、ナショナル・ウエストミンスター銀行(Natwest)が行った調査でも、アンケートを受けた80%がデータ共有から一般的に最も恩恵を受けるのは企業であると述べており、消費者が最も恩恵を受けると述べているのはわずか8%でした。

なぜこの様な事態になっているのでしょうか。それは、現在はまだ理想の世界をつくるための過渡期だからです。データを集めるインフラは整いはじめていますが、上手く活用する事がまだできていないのです。

例えば、データを上手く活用することで個人の趣味趣向、ニーズに適したサービスや情報を発信することができますが、まだそこまで出来ていない企業が多いのが現状です。

それ以外にも、上記で触れたような病気になりづらい身体作りや、自動走行技術による交通事故、渋滞の減少など、データドリブンエコノミーによって日々の生活を便利で豊かなものにすることができるようになるのです。

匿名性

多くのデータ・情報が収集され、AIなどの技術の進歩に伴い分析結果がますます正確になっている中で、消費者にとっては、多くの様々な情報が収集され、分析されるということに不安を感じるかも知れません。しかし、個人データやプライバシーの保護に関しては、個人情報保護法やGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)で厳格に規定されているため匿名性を保ったまま活用される事になります。

ここで重要となってくるのが「匿名性」です。

収集したデータを「個人」として分析・管理するのではなく、匿名にすることで個人としては特定されず「顧客A」のような形で、管理されます。企業は個人のプライバシーを尊重しつつも、データから価値を見出せるよう、顧客一人一人に対して最適な体験価値を提供することができるようになります。

同意を含む倫理的考察

あるWebサイトへ訪れた際、プライバシーポリシーへの同意を求めるポップアップが出てきて同意ボタンをクリックしたことがある人がほとんどでしょう。

倫理観は人それぞれ異なるため、当事者の一部が倫理的に問題があるとする中で、別の当事者はそう思わないということが起こってしまいます。個人情報の収集、利用、分析の倫理を考える際、必ずしも全員の意見が一致しないということです。

多くの場合倫理観に境界線は存在せず、存在するとしてもその境界線は態度や行動によって変化する可能性があるのです。

データを活用しようと試みるほとんどの方は「正しい」ことをしたいと考えているかもしれませんが、その「正しい」も場所、時間、状況によって変化してしまい、何が「正しい」のかは必ずしも明確ではないのです。

しかし企業は、「正しい」が明確でないからこそ、データの倫理的な使用に関する優れたポリシーを持ち、実施することで、より良い世界の構築を目指しています。

現在はデータ収集に関する同意などに注意を払っている人はそれほど多くないでしょう。しかし、SDGsが掲げられ環境に優しい製品を選ぶ人が増えているように、データがますます価値を持ち、活用される世の中になっていくにつれて、個人が持つデータへの倫理観も高まっていく可能性があります。

そのため、データが収集された後、どのように管理され、何に使用されるのかを、企業側は明確にする必要があり、消費者は自身でしっかりと確認する必要があります。

データドリブンエコノミーの将来

データドリブンエコノミーの将来性は明るいと言えるでしょう。今はまだ、進化が早すぎて制度・規制が整っていない状態ですが、新しい高度な技術が発展していくと共に、データの価値もますます高まっていくと予想されます。データは「新たな通貨である」とも言われており、今後も社会において重要な役割を担うことは間違いないでしょう。

データドリブンエコノミーは過渡期であり、IT業界で働いている人、企業の責任者、様々な社会問題に興味を持ち常に新たな情報を取得する人などの中では少しずつ認知されつつありますが、一般的にはまだまだ広まっていないという現状があります。

しかし、これは裏を返せば、まだまだブルーオーシャンであるということです。データドリブンエコノミーを理解し、その特性に合ったビジネスを展開、または施策を打っていくことで、競合他社よりも先を進めるようになるでしょう。

これからもIT技術が発展するのに伴い、ますますデータの価値が高まっていくことは否定し難く、今からリアルの世界とデジタルを繋ぎ、リアルデータを貯蓄していくことで、まもなく到来するデータドリブンエコノミーの波に乗れる可能性が高くなります。

データドリブンエコノミーを学ぶおすすめの書籍:データ・ドリブン・エコノミー デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する【発売日:2019年4月4日】

画像引用元:ダイヤモンド社
画像引用元:ダイヤモンド社

ここまでに紹介したデータドリブンエコノミーについてもっと詳しく理解したい方におすすめの書籍があります。東京大学大学院工学系研究所教授である、森川博之氏が書いた「データ・ドリブン・エコノミー デジタルがすべての企業・産業・社会を変革する」です。

この本では、あらゆるモノがデータ化される現代で、何が起こっており、企業や個人はどう対処すれば良いのかをIoTの第一人者である森川氏が事例を踏まえながら説明しています。

データを活用して、ビジネスを大きくしたい、顧客ニーズを満たし、もっと満足してもらえる商品を開発したい、と考えている人におすすめの一冊です。

まとめ

データドリブンエコノミーとは、デジタル上の情報だけでなく、リアル世界の情報をもデータ化し、分析結果を基に企業や産業、社会を変革しようとする一連の経済活動のことです。まだ制度や規制はまだきちんと整っておりませんが、これからもますますデータの重要性は増していきます。IoTやAIなどが普及している現代において、アナログ情報は容易にデジタル化することができ、従来は捨てざるを得なかったアナログ情報を活用することで、大きな変革をもたらすことも可能です。

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