データサイエンティストに必要な3つのスキルとそれぞれの勉強法

2022.01.27

ここ数年でよく耳にするようになった「データサイエンティスト」。その重要性から優秀なデータサイエンティストを雇う、または育てるという企業が増えました。データサイエンティストの平均年収は600万〜700万円と言われています。さらに海外では1000万円を超えることは珍しくなく、高収入を目指して勉強を始める人も大勢います。

しかしデータサイエンティストになるのは決して簡単とは言えず、必要なスキルも多くあります。

そこでこの記事では、データサイエンティストに必要なスキル3つと、それぞれのスキルの勉強方法について紹介します。データサイエンティストを目指している方はぜひ参考にしてみてください。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、ビジネスの様々な場面でデータに基づいて合理的な意思決定ができるようにデータを専門的に扱う人のことです。ここ数年でデータサイエンティストが注目を浴びるようになった背景には、従来「勘」や「経験」に頼って行っていた意思決定では結果が出せなくなったという点があります。そのため顧客のデータ、特に性別や年齢、地域などの属性データではなく、どのような行動をとっているのか、という行動ベースの顧客データの分析結果を基に決定を下すことが重要とされてきているのです。

大容量データの分析、特に相関関係などをみる多変量解析には統計学の知識や、データベースの知識が重要です。

このような背景からデータを専門的に扱うデータサイエンティストの重要性が唱えられるようになりました。

データサイエンティストに必要な3つのスキル

データサイエンティストを目指すにはデータを扱うスペシャリストとして、大きく下記3つのスキルが必要とされています。

  1. データサイエンティストスキル(統計学・機械学習など)
  2. データエンジニアスキル(プログラミングなど)
  3. ビジネススキル

データサイエンティストスキル(統計学・機械学習など)

データサイエンティストスキルとは、統計学や機械学習などデータ分析を行うために必要なスキルのことです。集めたデータの中からどのようなことが見られるのかなど、パターンを見つけ出せるかどうかが大きくビジネスを左右する要因ともなります。

データエンジニアスキル(プログラミングなど)

データエンジニアスキルとは、蓄積されたデータの抽出・分析・データ連携・データベース構築などを行うスキルのことで、プログラミングを駆使しなければいけません。特にSQL・R・Pythonなどの言語を必要とします。

SQLはデータベース構築の際に必要なプログラミング言語ですので必須となりますが、開発を仕事とするエンジニアになるわけではないため、データ周りの業務が行える程度のレベルなど、抑えておくべきポイントを抑えることがデータサイエンティストを目指す上で大切になります。

ビジネススキル

上記でも述べたようにデータサイエンティストが分析したデータはビジネスの重要な意思決定の場でも使用されます。そのため、マーケティング視点、経営者視点で物事を見られるスキルも必要です。データを抽出し、分析まで行ったが、その後どのように活用すれば良いのかを考えられなければ意味がありません。

実際にはデータサイエンティストの定義は明確ではなく、企業によっても異なります。そのため、データを抽出して、分析するだけが業務となっているデータサイエンティストも多いのが実情です。それでもデータサイエンティストとして生計を立てていくことを考えるのであれば、ビジネス視点を兼ね備えていることは大きなポイントとなります。

データサイエンティストに必要なスキルの勉強方法

それではデータサイエンティストに必要なスキルをそれぞれどのように勉強し、取得していくのがいいのか、勉強方法について紹介します。

まず、勉強に取り掛かる前に目的を明確にしましょう。

データサイエンティストは膨大なデータを扱い、数字に強くなければいけません。そのため特に文系の方が勉強する際には、勉強の目的が不明確であれば、なかなか進まずモチベーションを保つのが困難となり、途中で放棄してしまうことも少なくありません。

なぜ勉強をしたいのか、なぜ勉強をしなければいけないのかを明確にし、少しでもモチベーションが下がる要因を排除していくことが大切です。

データサイエンティストスキルの勉強方法

データサイエンティストのスキルである統計学や機械学習のスキルを身につけるためには、まずは無料で学べるサイトを利用するのがいいでしょう。どれだけ目的を明確にしても、何事にも向き不向きがあります。そのため、まずは手軽に無料で利用できるサイトで試しにどのようなものなのかみてみます。その際には細かいことは理解しようとせずに全体像を把握する感じでさっと流し見をします。

初めはわからないことしかなく、思うように進まないことがほとんどですので、躓いても立ち止まらずに最後まで読んでみましょう。

なんとなく全体像を理解できれば、書籍を用いて体系的に学んでいきます。書籍では詳しく説明されており、自分のペースで確実に進んでいけますが、ここでも1周目で理解し切ろうとせず、わからないことはわからないままにしてとりあえず進んでいきます。

また、特に機械学習を勉強する際には、動画を用いて行うことで、実際に何ができるのかをイメージできるので進めやすくなります。

データエンジニアスキルの勉強方法

プログラミング言語はまずPythonを勉強するのがいいでしょう。Pythonはデータサイエンスの標準的言語であり、最も人気のあるプログラミング言語であると言われています。

データ処理・分析・機械学習の活用、自動化システムの実装などデータサイエンティストの業務内容に非常に適しており、さらにコードの読み書きが他の言語に比べ容易にでき、特に初心者には学びやすい言語です。

まずは、Youtubeなど無料で提供されている動画で勉強してみるのがいいでしょう。

比較的簡単な言語とはいえ、初めてプログラミングを学ぶ方にはまず「プログラミング言語とはこういうものなのか」「Pyhtonでこんなこともできるようになるのか」とプログラミング、Pythonの全体図を把握することで、今後の目標、勉強の進め方がわかるようになります。

無料動画で全体像が理解できれば、実装していきます。

勉強のモチベーションを保つには、目に見えてわかる成果が最も大切です。自分でこれを作成したんだ!という自信が重要ですので、動画を見ながらでも、どんなに簡単なものでも作っていくようにしましょう。

ある程度簡単なプログラムが作れ「もっと深く勉強したい」「もっと短時間で集中して取り組みたい」という方には有料動画や、スクールに通うことでもっと効率的に進めるようになります。

既に働いている方なら仕事とスクールの両立はとても難しいでしょう。そういった場合には詳しい方に教わったり、有料動画などでの独学を毎日30分程度でも進めることがとても大切です。

プログラミングを学ぶ際に多くの方が挫折してしまうポイントは、「躓き、それが解決できない時」です。自分自身では乗り越えられない壁に直面した時に身近な人に助けてもらえる事でまた前に進むことができます。

ビジネススキルの勉強方法

ビジネススキルと言っても幅が広いです。データサイエンティストが必要とするビジネススキルには主に3つの項目があります。「コミュニケーションスキル」「クリティカルシンキング」「経営としてのビジネススキル」です。

  • コミュニケーションスキル

    ここで言うコミュニケーションスキルとは、情報共有の能力を磨くことを意味しています。あらゆる場面で効果的なコミュニケーションが求められていますが、データサイエンティストはデータに関する専門的な知識、言葉をわかりやすく説明しなければいけません。

    コミュニケーションスキルを向上させるためには、自らがまずしっかりと知識をインプットし詳細までも把握している必要があります。知識が浅いことについての情報を共有する際にはどうしても頭で考えながら話してしまうので、スムーズに伝えることができなくなります。

    そのため、データに関連する知識をインプットして、社内では誰にも負けないレベルを目指しましょう。その上で実際に声に出してみることが重要です。インプットをするスキルとアウトプットをするスキルは全く異なります。頭に入っているからと言って上手に伝えることができるかは違います。

    その後は練習あるのみです。同僚や友人に対して練習を繰り返してフィードバックを受けることで自分では気づかなかった良い点や、悪い点に気づくことができます。
  • クリティカルシンキング

    クリティカルシンキングもどんな職場でも求められるスキルですが、データサイエンティストにとってはさらに必要となります。データサイエンティストはデータを分析し会社が抱えている課題を見つけ出し、解決し、成長に繋がる施策を考えなければいけません。その際に、クリティカルシンキングのスキルを身につけておくことで、矛盾や漏れをなく物事の本質を見極め、問題解決や意思決定の効果を高めることができます。

    クリティカルシンキングを身につけるためには、まず第三者目線を意識して、客観的に物事を見る習慣を身につけることが大切です。また事実に基づいて説明しているのか、一個人としての意見を述べているのかを見極めることも重要となります。普段から多様な視点から物事をみる習慣をつけることで、枠にとらわれず、解決の糸口を見つけやすくなります。
  • ビジネス感覚

    ビジネス感覚とは、会社を経営する際に重要となるビジネススキルのことです。例えば、ビジネスとニーズについて理解する能力や、数ある課題の中から何を1番に解決しなければいけないのか、などのことです。

    データサイエンティストは、データや市場データを分析することで見えてくるこれまで誰も気づいていなかったような課題を抽出すればビジネスをより好転させるためのきっかけになります。

    こうした点で経営としてのビジネススキルが重要なのです。

    ビジネス感覚を身につけるためには、実践しかありません。書籍などでも経営者の考え方や、失敗・成功にまつわるストーリーを学ぶことができます。

    しかし、経営者全ての人に共通する考えを把握したからといって実際に会社を設立して、それでうまくやっていけるのかはまた別の話です。

    初めは書籍を通して経営とは何か、何が大切なのかについて勉強して、その後はそれを実践するために、会社の中でプロジェクトリーダーに立候補するなど、少しでも経営に近い経験を積んでいくことでビジネス感覚を身につけていくことができるでしょう。

あると差別化できるデータサイエンティストのスキル

ここまでで、データサイエンティストを目指す上で必須となる3つのスキルについてと、それぞれの勉強方法について説明しました。

最後に、兼ね備えていることで、データサイエンティストとしての市場価値をあげることができるスキルを2つ紹介します。

外国語(英語or中国語)

日本語以外の言語、特に英語か中国語を使用できると他のデータサイエンティストと差別化を図れ、市場価値を高めることができます。データなどのITに関する知識や技術は海外の方が大きく進んでいます。そのため、ネット上に転がっている多くの最新情報も英語で書かれているものが多いです。

そのため日本語の他に英語や、IT大国になりつつある中国の情報を先取りして得ることができることは大きな強みとなります。

資格

データサイエンティストになるために必要な資格はありませんが、取得することであなたがデータをしっかりと扱えるということを表してくれる3つの資格について紹介します。

  • 基本情報処理技術者試験/応用情報技術者試験
    データサイエンティストになるために役立つ資格の1つ目として「基本情報処理技術者試験」、その上位版として「応用情報技術者試験」があります。これらの資格はIT資格で唯一の国家資格となっており、情報処理の基本理論、プロジェクトマネジメント、SQLについて幅広い知識が必要となります。

    取得することで、データサイエンティストを全体的にしっかりと理解していることを示してくれる資格です。
  • オラクルマスター
    2つ目はオラクルマスターと呼ばれ、日本国内のリレーショナル・データベース管理ソフトウェア市場において1993年以来シェア1位を守り続けている「ORACLE」に関する資格です。

    オラクルマスターではデータベース管理、運用と、SQLの習熟度を問う問題が出題されます。試験レベルは「Bronze」「SIlver」「Gold」「Platinum」の4段階あり、Bronzeから順番に取得していかなければいけません。

    世界共通基準の資格となっているため、取得することで世界で戦えるデータサイエンティストであることを示してくれます。
  • データベーススペシャリスト試験
    3つ目は「データベーススペシャリスト試験」で、データベースの設計・管理・運用に特化した国家資格です。先ほど紹介した「応用情報技術者試験」よりもレベルの高い試験となっています。データベースに関してより深い知識を習得した人におすすめの資格です。

まとめ

データサイエンティストには「データサイエンススキル」「データエンジニアスキル」「ビジネススキル」の3つのスキルが必要です。データサイエンティストを目指すためにはまず、目的を明確にして、モチベーションを保てるようにすることが大切となります。

3つのスキルを勉強する際に、躓いても立ち止まらないことが重要です。特にエンジニアスキルであるプログラミングを勉強すると、問題を解決してもまた新たな問題が出てくる、それを解決してもまた出てくる、の繰り返しになります。

そのため、忍耐強く進めていくことも大切ですが、わからない時は素直に周りの人に聞くことも必要です。どうしても無理な時に頼れる存在がいるだけでも、進み具合が大きく変わりますので、「続けられる環境」を構築するようにしましょう。

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