プロダクトインテリジェンスとは? 

2021.01.13

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本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社ロケーションバリューが翻訳、転載しております。

プロダクトインテリジェンスとは何か、また、なぜ重要なのか?「デジタルリーダー」たちは、いかにしてこの新たなカテゴリーのソフトウェアを駆使し、顧客のコンバージョンとリテンションの実現につながる優れたプロダクトエクスペリエンスを構築しているのか? Amplitude 社の CEO Spenser Skatesが本投稿で具体的に解き明かします。

プロダクトインテリジェンス・ソフトウェアは、組織のチームが顧客データを生かし、優れたプロダクトエクスペリエンスを創造するのに役立ちます。現在、従来型の企業はデジタルトランスフォーメーションへの投資を加速させ、私たち消費者は日々の生活でデジタル製品を使う時間が激増しています。こうしたなか、消費者と、消費者のためにプロダクト(製品)を開発するクリエイターたちとの関係性に、大きな変化が生じています。

プロダクトインテリジェンスとは、こうした変化に対応するものです。すなわち消費者とプロダクトとの関わり方の変化、また、企業が顧客を維持し、喜ばせ、顧客エンゲージメントを確立するべく展開する競争のあり方です。さらに、プロダクトインテリジェンスは組織における部門横断型のチームが複雑な行動データにアクセスし、それを理解し、行動に移す手法の変化にも対応しています。

これらの変化、ならびに自社のロードマップ上におけるプロダクトインテリジェンスの最適な位置づけを理解することで、顧客を維持し、プロダクト主導の持続的なグロース(成長)を後押しすることができます。また、組織のチームは自らの仕事にいっそう深く関与するようになり、オフィス外にいる人々、つまり顧客を支援するための新しく創造的な方法を発見することが可能になります。

すべてはここから始まります。

選択とエクスペリエンス

プロダクトインテリジェンスについて理解するには、まず、私たちが使っている製品との個人的な関係性を探る必要があります。

今日、プロダクトを使用する私たち一般人には、従来よりも多くの選択肢があります。さらに、今やほぼ常にインターネットに接続した状態です。タブレット、スマートウォッチ、携帯電話、仕事用のノートパソコン、テレビ、自転車、コンソール、車などはほんの数例です。選択肢と触れるスクリーンが豊富に存在することで、私たちはエクスペリエンスにうるさく、高慢になっています。私たちがプロダクトに求めるものは多岐にわたります: 私たちを楽しませ、仕事の効率を上げ、個人同士をつなぎ、情報を提供し、喜びとインスピレーションを与えてくれること。さもなければ、私たちはプロダクトを放棄し、新しい製品を試すでしょう。プロダクトはおしなべて、消費者のロイヤリティを獲得する必要があるのです。

購入者の 73% が、「ロイヤリティ」につながる要素の第 1番に「エクスペリエンス」を挙げています。ロイヤルカスタマーは、再購入する可能性が 5 倍となっています(ガートナー<英語>

したがって企業は次のような手段で競争し合い、私たち消費者のロイヤリティ獲得を図っています。私たちのオンライン(およびオフライン)の暮らし全体において差別化されたエクスペリエンスを提供するとともに、データを活用し、私たちが愛用するプロダクトと私たちとの複雑な関係性を、より深く理解することに努めているのです。

上述の変化は、銀行、メディア、ヘルスケア、消費財など多くの業界を横断してうかがえるようになっています。Burger Kingのテックプロダクト管理担当バイスプレジデント Ellie Javice氏※はこう語っています。

「私たちはハンバーガーの販売会社です」「製品はハンバーガーであり、ウェブサイトではありません。とはいえ、消費者にとっての関連性を保つためには、ワッパー(ハンバーガーの商品名)を売るだけではなく、はるかに多くの努力を要します。今日では、バーガーキングというブランドと関わる消費者のエクスペリエンスについて熟考することがかつてなく大切です。消費者にとって関連性が高く、有意義かつ感情面でのつながりを築けるような体験です」 

※Restaurant Brands International社(傘下にBurger King)

高リスクと結果の重要性

では、遅れを取った企業の運命は?

まず、顧客を失います。そのため、新たな顧客を引き付けるため、さらに資金を投入せねばなりません。新しい顧客を維持しようと、必死でお金をかけます。しかし、いずれにせよ顧客は去り、企業は市場シェアを失い、さらに後れを取ります。一方、社内では士気や「影響力がある」という意識の低下、また、受け身の意思決定が増えるという現象が発生してしまいます。多くのリスクをはらみ、結果は甚大。最悪な自己補強スパイラルに陥ってしまいます。

進むべき道は?

では、上述とは異なる展開は、どのように実現するのでしょう? 最高水準のデジタルチームには、こうした課題に取り組む上で、以下のような共通点がいくつかあります。

f:id:growth-marketing:20210108180910p:plain概念を変え、技術的な課題をクリア

このような行動を実践する企業は、収益と顧客ロイヤリティの向上(および解約率の低減)、イノベーションの加速など、様々な成果を上げています。一方、こうした活動を展開することが難しい企業は、収益成長率が 32% 低く、他社に追いつくのも遅れます。
McKinsey The business value of design: デザインのビジネス上の価値 <英語>)

最善策の概要は以上です。では、いかに実行に移すのでしょう?

まず、カルチャー(企業文化)面でのシフトが必須です。企業は各チームが直接、顧客にアクセスできるように図り、意味のある定性および定量的なインサイト(知見)を提供することから着手すべきです。次に、価値のある知見を得るため、セイフ・トゥ・フェイル(Safe-to-Fail、失敗しても安全な環境における)と称する小規模な実験を行う権限を、チームに与えます。チームが知見を理解するには、データリテラシーが必要です。これらの変化を進めるにあたり、「デリバリー」チームという概念は捨て、「問題解決」チームという考え方に置き換えるべきです。

こうした大きな(かつ、重要な)カルチャーシフトに加え、技術的な実行の段階でも厄介な課題が多数、存在します。例えば、デリバリーと実験の加速、多様なデータソースやカスタマージャーニー上の異なる時点からの大量のストリーミングデータ、ツールやサービスからなるエコシステム全体との相互運用性、さらに、ID データ検証・照合、ユーザー管理などです。しかも、多数のチームがセルフサービスを利用できる必要があります。

こうした状態がすでに実現している企業の方には、共感いただけるでしょう。そうでない場合(あるいは、企業としてこの方向性を取り始めたばかりの際)、社内の誰かしらがおそらく心配をしているでしょう。

ここで、プロダクトインテリジェンスの出番です。

プロダクトインテリジェンスとは?

プロダクトインテリジェンスは、組織のチームが顧客データを用いて優れたプロダクトエクスペリエンスを構築し、ユーザーのコンバージョンとリテンションを実現するのに役立ちます。デジタル体験に影響を与える全チームを対象とする、統合された使いやすいソフトウェアです。このため、各チームは顧客をより深く理解し、最適なプロダクトエクスペリエンスをより素早く提供し、目に見えるビジネス上の成果を上げることができます。

では、プロダクトインテリジェンスは、ビジネスインテリジェンス(BI)、マーケティングアナリティクス、データビジュアライゼーション(データ可視化)、CDP(顧客データプラットフォーム)などと、どのような違いがあるのでしょう? それはつまるところ、「製品が満たすニーズ」です。

例えばマーケティングアナリティクスは、広告費用および初期のコンバージョンの最適化に、徹底的に重点を置いています。キャンペーン、ページビュー、直線型のファネルが焦点です。BI は広範性を特徴とし、様々なビジネス上の意思決定を支援するため、事業運営全体にわたり一般化したレポートを作成する傾向があります。データ可視化は、むろん、データの「見える化」を実現するもの。ガートナー社によると、顧客データプラットフォームは「データ収集、プロファイル統一、セグメンテーション、アクティベーション」が中心です。

そこに、プロダクトエクスペリエンスという要素が重視されるようになりました。プロダクト主導によるグロースの促進は独特な取り組みであり、これに伴う固有の課題の解決には、新たな種類のプロダクトが必要になります。プロダクトインテリジェンスの活用は、以下の3つの独特な要素に取り組むことに他なりません。

  1. 複雑なエクスペリエンスの結果、生成される極めて複雑な行動データ(変動する期間や多様な文脈を横断)。
  2. 部門横断型の製品チームとグロースチーム、および各チームから構成されるチームが「リアルタイム」でやりとりし、コラボレーションを行う。
  3. デジタルチームがいかに迅速な行動を取るか。また、その行動の影響を理解するために必要な知見。

鋭敏なプロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアであれば誰もが認識しているとおり、異なるニーズを持つ人すべての要望に、それぞれ応えることは不可能です。製品開発には特有の要件が伴うため、独特なアプローチが必要です。

組織のカルチャーシフトを促進

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プロダクトインテリジェンスはカルチャーシフトを促進

プロダクトインテリジェンスにおける 2 つの重要原則

さて、様々なデジタルチームとの取り組みを経て、重要な原則が 2 つ浮かび上がってきました。

1:アナリティクス、顧客データ管理、実験と行動ターゲティングを切り離してしまっては、製品エクスペリエンスの大々的な最適化は期待できません。

最高のチャート、アナリティクス、データ探索ツールがあっても、有用で信頼でき、理解しやすく、かつアクセス可能な適切なデータがなければ、苦労することになります。また、整理されたタクソノミーと適度なガバナンスは、隠れた「能力増強要因」です。ただ、そこで終了、ではありません。全体的な目的は、行動を起こし、より優れた意思決定を行うことです。

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プロダクトインテリジェンス( 行動 – 知見 – データ)

プロダクトインテリジェンスには下記の重要な役割があります。

  • プロダクト分析: ユーザーの行動やクロスプラットフォームのデジタルジャーニーをモニタリングし、詳細に調べ、探索する、リアルタイムのアナリティクスです。製品について実行した「賭け」ともいえる活動の影響度が分かります。
  • 顧客データ管理: 包括的でありながらコードレスなデータパイプラインであり、データおよび同アクセス性を管理するツールを備えています。行動データへの、正確かつ制御された「窓」を構築します。
  • 行動ターゲティングと実験: Braze、Facebook、Intercom、Iterable、Salesforce 他 のプラットフォームとの統合。データを他のツールに簡単に移行し、パーソナライズされたエクスペリエンスを実現するとともに、即座に結果を分析します。頻繁に行われるリリースに適時対応し、各リリースがいかにエクスペリエンスの改善につながり、顧客の生涯価値(LTV)を高めているか、チームが理解できるようにします。

2:各種プラットフォームやその統合のみにより、優れたプロダクトエクスペリエンスを創造することはできません。

それを実現するのはチームであり、チームがさらに効果的にコラボレーションを行えるよう、支援する必要があります。コラボレーションは後からではなく、真っ先に重視すべきことです。
現代の製品チームは部門横断型であり、極めて協力的です。(意見などの)やりとりはスムーズでペースが速く、また、直線ではない形でおのずと前進していきます。従来のレポーティングや BI では、チームは事前に質問をまとめておく必要がありました。「チケット」を切り、待った後、レポートやダッシュボードが戻ってくるのです。製品に関る業務では、こうした待ち時間は耐え難いもの。急な質問や探索、素早い意思決定に遅れずについていく力が必要です。チームスポーツだからです。

「プロダクトマネージャーが共有したチャートをデザイナーがクリックして調査し、質問します」とPatreonペイトリオン)社のデータサイエンス責任者、マーラ・チャーチ(Maura Church)氏は述べています。「あるいは、データサイエンティストが別の方法でグループ化し、(特定の事象を)もう少し深く掘り下げます」

製品開発は反復的なものです。質問する、行動する、測定する、共有するというループが大切です。私たちのメンタルモデル(行動と結果のイメージ)におけるコラボレーションは、ダッシュボードやノートブックへのアクセス許可のみに終始するものではありません。学習ループを適切に回せるよう、チームを実際に後押しする必要があります。

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プロダクト分析により行動データを調査

この学習ループは組織全体に拡大、適用できます。インパクト(影響度)がより重視されるようになると、ネットワーク効果が働きます。まずは一部の個人やチームで進捗が見られます。他のチームは、何が起きているかに気づき、変化に参画したいと考えるようになります。

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最後に

プロダクトインテリジェンスは、組織の各チームが顧客データを生かして優れたプロダクトエクスペリエンスを構築し、ユーザーのコンバージョンとリテンションを向上させるために有用です。

これは、消費者の選択肢の増加、重要な差別化要因としてのエクスペリエンス、また、クロスデバイスエクスペリエンスに伴う複雑性を「利用する」という、見返りは大きくもリスクをはらむ課題への取り組みです。この「パズルを解ける」企業が、勝利を収めるのです。

結論を述べるにあたり、本投稿の原点に立ち戻りたいと思います。選択、エクスペリエンス、そして、つながりです。「人間的な視点」 — 私たちのお客様が「その顧客」をご支援できるようお手伝いすること — これこそ、Amplitude にとって極めて大切なことです。私たちは、プロダクトインテリジェンスの導入や活用の「道のり」において、お客様と連携させていただき、ご支援することを重視しています。

info.amplitude.com

詳細については、上記リンクよりダウンロードしてください。プロダクト主導のグロースにより、成功を達成している企業の事例をご紹介しています。

本記事はAmplitude社より許諾を得て株式会社ロケーションバリューが翻訳、転載しております。
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公開日:2020/5/6

Amplitude | CEO 兼 共同創設者
スペンサー・スケーツ (Spenser Skates)氏

スペンサー・スケーツは、Amplitudeの CEO 兼 共同創設者です。スケーツは Text-to-Voice(音声読み上げ)アプリの Sonalight(ソナライト)を開発中、より優れたプロダクト分析ソリューションの必要性を自ら痛感しました。このニーズを起点として Amplitude を設立。スケーツは、誰もがユーザーの行動から学び、さらに素晴らしい製品を開発できるよう、注力しています。

引用元:Amplitude社ブログ