今回はアメリカZ世代のソーシャルメディア事情について、前回に引き続きMr.モリスギにお話を伺いました。
アメリカのZ世代の利用率が高いのは「TikTok」
視聴時間数ではYouTubeを抜いている!
三石所長(当時。以下、三石):今日もお時間頂きありがとうございます! Mr.モリスギには前回 、アメリカのZ世代の特徴についてお話いただきました。今回は、アメリカのZ世代が使用するソーシャルメディアについて、さらに踏み込んでお話を伺いたいと考えています!アメリカのソーシャルメディアの最新の利用状況を知りたいです!どうでしょうか?
森杉さん(以下、Mr.モリスギ):YouTubeやInstagramは引き続き強いですね。ただ、とくにZ世代においては、TikTokの利用率も高いのが特徴です。平均視聴時間数で言えば、TikTokがYouTubeを追い抜いています。
また、日本ではあまり普及していませんが、ユーザーが個人やグループに写真や動画などを投稿できるSnapchatもよく使われています。
三石:日本と少しだけ、使用しているソーシャルメディアに違いがありますね。私たち日本人がよく使うソーシャルメディアといえば、LINEやFacebook、TwitterやYouTubeなどが主流ですよね。日本では特にLINEの利用率が群を抜いて高く、若者からシニアまで、あらゆる年代の人がスマホにLINEを入れて利用しています。その他、日本のソーシャルメディア事情と明確に違う点はありますか?
Mr.モリスギ:日本だと人口の80%が使用しているのはLINEですが、アメリカではそこまでLINEは使われておりません。むしろFacebookが、77%程度だと言われています。
またアメリカのソーシャルメディアというよりは社会背景の特徴としては、さまざまな人種で構成されている点や、日本に比べると新たなプラットフォームが次々に生み出されるため、世代交代による偏りが強い点などが挙げられるのではないかと考えています。
三石:なるほど。そうなると、アメリカではFacebookを使って連絡を取ることが多いんですかね?
Mr.モリスギ:日本でも似たような使い方をしている方はいると思いますが、アメリカでは、1人のユーザーがさまざまなSNSを複数使ってコミュニケーションしています。たとえば動画なら、YouTubeとTikTokをどちらも使って配信したり、閲覧するのも当たり前です。さらにZ世代ではスタートアップが提供する新たなプラットフォームを次々に取り入れるので、コミュニケーションのルートは多様化しています。チャットなら、Snapchat、WhatsApp、Facebook Messengerもそれぞれ使っている友達グループが違うので使いわけるというように、「動画コンテンツならこれ」「チャットならこれ」という使い方はあまりしていません。
≪三石所長(当時)`s Memo≫
アメリカのZ世代はTikTokを愛用している。
またコミュニケーションはさまざまなSNSを複数使いこなしている
Z世代は日米どちらもFacebookはあまり使用せず。ただしMessengerは頻繁に使用!
三石:アメリカでのFacebookの利用率はいかがでしょうか? 日本では、Z世代を始めとする若い世代からは「親世代が使っているSNS」として敬遠されがちですよね。
Mr.モリスギ:これはアメリカでも同様で、Z世代はFacebookの利用率が落ちてきています。ただFacebookが開発したチャットや通話ができるアプリ「Messenger」は別で、知らない人とやり取りしやすい、つながりやすい点が評価されていることから、Z世代もMessengerは利用しています。
三石:そうなんですね。Facebookは近年様々な機能が追加されていますが、Messengerの他に使用されているものはありますか?
Mr.モリスギ:あとは、ニュースの閲覧、友達のプロフィールの確認、イベント調整ツールとしても使われています。セミナーの視聴や講演会といったようなしっかりしたイベントではなくて、たとえば「明日花火大会に行こうよ」とか「○○のイベントに行こうよ」というような軽いイベントの管理に、Facebookグループが活用されています。ただ、最近ではメッセージングもイベントの領域も「IRL」というZ世代向けのイベントオーガナイズツールが登場し、月間2000万人が1日1億メッセージの送受信するくらいシェアを伸ばしています。こうした流れもあり、FacebookのZ世代向けのシェアはこれからも落ちていくのではないかと思われます。
≪三石所長(当時)`s Memo≫
アメリカのZ世代もFacebookはあまり使っていない。
メッセンジャーアプリやイベント調整ツールとしては
現役で使用されているものの、そちらも競合が出てきている。
リアルタイムで盛り上がるのはやはりTwitter!アメリカではTwitchで動画もチャットも同画面で堪能
三石:Twitterはどのように活用されていますか? 日本では、スポーツやミュージシャンのライブ、映画を楽しむ人々がTwitterで「リアタイ(リアルタイムでツイートをして、ファン同士でコミュニケーションをとって盛り上がること)」する文化がありますが。
Mr.モリスギ:これはアメリカも同様ですね。多様な人種が暮らし、それぞれのセグメントで利用されるソーシャルメディアが異なるアメリカであっても、Twitterは「皆が集まっておしゃべりをする場」として機能しているのです。
加えて、同じような役割を持っているのがTwitchです。TwitchはAmazonが買収した動画配信サイトで、元々はゲームの実況プレイ配信などで主に利用されていました。Twitchはライブ配信中にチャットメッセージを送ることができ、動画とチャットを同じ画面で立ち上げることができます。こうした機能は今では珍しくなく、YouTube LiveやInstagram Liveでも同じことができます。しかしこうしたライブチャットカルチャーが根付いたのは、Twitchが2011年に創業して以来ライブ動画配信業界をリードしてきたことが大きく影響しています。
Twitchはコミュニティに参加してリアルタイムでチャットをしながら動画を楽しめる点に加え、多彩なアニメーションスタンプが使えることや、3rd Partyの開発者によって提供される様々なプラグイン(画面上で投票を行えたり、追加コンテンツを見れるといった追加機能を実装できる)など独自のコンテンツや世界観が評価され、今ではゲームの実況プレイ動画の配信以外にも、音楽などエンタメ関連のさまざまなシーンで活用されています。
三石:リアルタイムで同時視聴して盛り上がる風潮は、使用するソーシャルメディアが変わっても健在そうですね。
Z世代は抵抗があまりない!? 日米で微妙に違う「顔出し」文化
Mr.モリスギ:また、Z世代というよりアメリカ全体の特徴として言えるのが、「顔出しの敷居が低い」ことです。アイコンに自分の写真をさらすかどうかということですね。
三石:そうなんですね! 他の世代は、「インターネット上で顔や実名をさらすのは危険だ」という意識が強い気がします。
Mr.モリスギ:アメリカではYouTubeやTikTokでの動画配信においても顔出しをする人が多くいます。
Z世代に関してはこのことはアメリカでも日本でもあまり差は感じません。アメリカと日本が違う点は、30代以上の人でもアメリカの人は日本に比べて顔出しに抵抗がないことでしょうか。
アメリカではTwitterでも実名で登録して、顔写真を使う方も多いです。並行して増えているのがアバターやキャラクターの利用です。日本ではアニメ風のアバターを使っている人が多いと思いますが、アメリカはむしろリアリスティックな形状のアバターやキャラクターが好まれる傾向にあります。日本のVTuberとAppleやFacebookが提供しているアバターを見比べるとテイストの違いがよくわかると思います。
また最近は、1990年代や2000年代のファッションや文化のリバイバルもあり、アメリカでもドット絵っぽいデザインやアニメ風キャラクターも注目を集めていますね。顔出しだったり、アイコンだったり、オンライン上で自分をどのように表現するかはこれまで以上に多様になっていると感じています。
三石:Mr.モリスギのアイコンは、日米両方にウケそうなアイコンですよね。流石です(笑)!アイコンの画像にまで、世代や国柄が表れているんですね。今回もありがとうございました!
―日本と比較しながら、アメリカ、特にZ世代の人々がソーシャルメディアについてどのように捉え、どんな風に利用しているのかについてMr.モリスギにお話を伺いました。
次回はZ世代の利用率が高いTikTokにフォーカスし、月間平均視聴時間がYouTubeを超えたTikTokの強みや、TikTokから生まれたミュージシャンの事例などをご紹介します!