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ECブランドの実店舗展開を支えるスタートアップ「Uppercase」「LEAP」をご紹介!【海外Hot Info】vol.37

2022.09.14

今回の「海外Hot Info」も、「ゴーストリテイラーによって変革するリテールビジネス」について、株式会社トラストバンクの森杉育生さんにお話を伺いました。

ECブランドの実店舗展開を支えるスタートアップ事例② 立地計画/バックオフィス支援型: Uppercase

安田 今回もよろしくお願いします! 今回は下記の記事の続きとなります。海外でECが続々と実店舗展開に踏み切っている背景や①のb8ta(ベータ)については、こちらの記事 をご覧ください。

森杉さん(以下、Mr.モリスギ) 今回もよろしくお願いします!

店舗展開

Mr.モリスギ 安田さん、実店舗を成功させるために大事なポイントって、なんだと思いますか?
 
安田 色々あると思うんですけど、やっぱり欠かせないのは立地でしょうか。どこにお店を出すかによって、売上やブランドってかなり左右されるように思います。
 
Mr.モリスギ そうですよね。今回紹介するUppercase」というスタートアップは、まさにその立地計画をアシストしてくれる企業なんです。たとえば、「New Yorkエリアのこの通りに出店したらいいんじゃない?」とか、「このエリアに出店したら、これくらいの売上が見込めますよ」というようなコンサルティングまでしてくれます。しかも、それがUppercaseが独自にデータ収集するネットワークを構築しており、そのデータ分析に基づいてより精度の高い意思決定をすることができます。

安田 興味深いですね!
 
Mr.モリスギ 「Uppercase」は不動産業者と直接コネクションを持っています。だから隠れた物件も含めて、いつどこでどんな物件が空くのかという情報も教えてくれるのです。
しかもそこで終わりではなくて、必要なアポイントも手配してくれます。物件の見学やテナント交渉、契約締結、保険支払というような、面倒なバックオフィス業務を全部やってくれるんです。
 
安田 それはすごいサービスですね。実際にはどのように活用されているのでしょうか?
 
Mr.モリスギ 事例としては、New Yorkの下着ブランド「Thinx」があります。この「Thinx」の期間限定ショップのローンチの際は、立地、店舗コンセプト、デザイン、改装、店舗オープンという、一連の流れを2週間で実施しています。
しかも、月間で3000人以上の来訪者数を達成しているんです。
 
安田 すごいですね! お話を聞いていると、立地戦略がすごく強そうですね。
 
Mr.モリスギ 立地選択は、店舗運営の成功の半分以上を占めるくらい重要ですよね。しかも、こういうデータドリブンで場所を選ぶことの重要性を、彼らはちゃんと理解しています。
たとえば、「XXXという属性のペルソナの人が多いです」とか、「近辺に競合や同じ属性のユーザーが通う店舗もありますよ」「この住所のこの物件に出店したら、予想される収益はXXX円/月になりそうです」ということも教えてくれるのです。
 
安田 普通は、面積が何平米でとか、家賃がいくらみたいな話になりがちですよね。「この近辺はこういうペルソナが住んでますよ」というような視点で教えてくれるのは、すごく参考になりそうですね。

≪安田`s Memo≫

Uppercaseは単に賃料や面積などの従来の条件だけでなく、競合の存在やペルソナ層なども含めた提案をしてくれる!

実店舗展開を支えるスタートアップ事例③ フルパッケージ型: LEAP

店舗展開2

Mr.モリスギ 最後がLEAPです。これは本当にすごくて、実店舗の運営に必要なあらゆる機能を提供しているんですよ。まさにゴーストリテイラー(裏で店舗に関するアレコレをやってくれるプラットフォーム)と呼ぶに値しますね。今、かなり話題になっているスタートアップです。

安田 実店舗の運営に必要なこととしてすぐに思い浮かぶのは、立地、店舗スタッフ、カスタマーサポート、非接触決済、店舗受け取りサービス、返品対応とかたくさんありますが、LEAPはこれらを全て提供しているんですか?
 
Mr.モリスギ はい、そうです。ブランド側は、必要な機能を組み合わせて導入することができる仕組みになっています。一見ソフトウェアを売るような売り方のように思うのですが、ここには工夫があって、彼らは実際に物件を多数契約してネットワークを作っているんです。
 
安田 LEAPが店舗としての箱を持っていて、その箱の中にブランドが入っているということでしょうか。
 
Mr.モリスギ そうですね。たとえば、LEAPはニューヨークのある大通りに集中的に3店舗物件を持っています。その通りに来るお客さんに対して、収益を最適化できるようにブランドをグループ化して、同じ通りに店舗群として展開するというわけです。

複数の異なるブランドだけれどもある程度共通した顧客層が集まる地域をベースに、店舗群を作って展開することで、効率よく顧客を確保しつつ、ブランドの独自性を保つことを可能にしているんです。
 
安田 中の店舗が変わるときには、店舗の内装はそこまでいじらずに、看板だけを付け替えるようなイメージですか?
 
Mr.モリスギ 内装やデザインは全て変えているみたいですね。
実際に使っているブランドもかなりあって、今は60店舗くらい展開しています。

 
安田 そんなに!
 
Mr.モリスギ しかも、2022年末までに、昨年より400%増える250店舗展開を目指しています。
 
安田 なるほど。ポップアップストアのような短期的な展開なら、こうしたサービスを利用すると効率が良さそうです。
 
Mr.モリスギ ところが、短期的な店舗だけでなく、普通の長期的な店舗もたくさん出店しています。什器も店舗別に用意しているし、ブランドごとのコンセプトが損なわれないように、デザインもしっかりしている。普通の店舗と比べても、全く遜色がないんです。下記の LEAPのHP に書いてあるサービス一覧にもありますが、長期運営で必要な機能なサービスが提供されています。

安田 そこまでのものを提供するとなると、LEAPにすごく資金力が必要なんじゃないですか? やっていけるのか不安になりますが……。
 
Mr.モリスギ コスト構造がわからない部分もあるので外から見ると「大丈夫?」って思っちゃいますよね。ただ、先程の通り店舗群をある程度グループ化したり、顧客サポートで培ったノウハウを共通展開したりと1つ1つがフルカスタマイズにならないようプラットフォームとして強く意識して、コストの最適化を図っているとは思います。
ちなみに、LEAPを利用しているショップはアパレルが8割くらいを占めていて、あとはコスメのお店なども多いようです。相性が良い/悪い業態があると思います。
 
安田 アパレルのメーカーは特に、自分たちのブランドをダイレクトに顧客に届ける「面」としてリアルの店舗へのニーズが高そうです。それに、規模が小さくても生き残りやすいんですね。
 
LEAPみたいに小売りのノウハウがあるのなら、プライベートブランドを作って自社商品を展開するという、いわゆるメーカーに近くなるというのが日本でよく見かけるパターンだと思うんです。ところがLEAPのやり方って、商品にこだわらずに小売りの力だけで戦っている。そこがすごいなと思いました。
 
Mr.モリスギ 自らのブランドを一切持たないですからね。おそらく、彼らが「こんなブランドに申し込んでほしい」と設定しているターゲット層は当然あると思うんですよ。ただ、彼ら自身がそのブランドを決めることはないんでしょうね。
 
安田 相当目利きができないと難しそうですね。「私の力を利用してあなたの商品を売ってもいいですよ」みたいな、箱側の強さをすごく感じます。

≪安田`s Memo≫

店舗運営に必要なあらゆる機能を提供するLEAP。しっかりとした小売のノウハウを持ちつつも、自社ブランドを一切持たないというビジネスモデルが面白い!

安田 今日もありがとうございました! こうした動きが日本でも出てくるのかな、というところも気になりますが、その辺りはいかがですか?
 
Mr.モリスギ 日本ではまだ、LEAPのようにフルパッケージ型で実店舗出店を支援するようなスタートアップは私が知る限り見かけません。ただ、マルイがb8taを誘致するなど、立地観点ではゴーストリテイラー化も進んでいます。
日本でも需要はあるはずですから、いずれは類似のソリューションが出てくる可能性は高いでしょうね。
 
安田 楽しみですね。今日もありがとうございました!

―次回の【海外Hot Info】も、ぜひお楽しみに!

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