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「BeReal」「Poparazzi」などZ世代のソーシャル最新トレンド解説②【海外Hot Info】vol.35

2022.08.30

今回もZ世代に広がる新たなソーシャルメディアトレンドについて、株式会社トラストバンクの森杉育生さん(以下、Mr.モリスギ)にお話を伺いました。

―――世界各国の先進的な取り組みから、旬で“GROWTH”につながりそうな企業・サービスをご紹介する「海外Hot Info」。前回に引き続き、Z世代に広がる新たなソーシャルメディアのトレンドについて切り込みます。

Z世代向けSNS② 決まった時間にしか写真を投稿できない「BeReal」

安田 前回は、Z世代独特のSNSに対する意識と、Z世代に支持されているSNSとしてDispoをご紹介いただきました。今回も、よろしくお願いします!

Mr.モリスギ 今回は、さらに2つのSNSを紹介していきます。よろしくお願いします!
まず1つめが「BeReal」というSNSです。

これは今Z世代が最も使っているアプリで、2022年の初めから4月あたまにかけて、アクティブユーザーの数が315%伸びています。2022年5月の報道では868万ダウンロード、約300万のアクティブユーザーがいると言われています。
 
安田 かなり多いですね! BeRealには、どんな特徴があるんですか?
 
Mr.モリスギ BeRealの最大の特徴が、決まった時間にしか写真を投稿できないところです。
たとえば、10人ぐらいのグループがあったとして、休みの日の2時15分にそのグループの全員宛に、突然「今から2分間で画像をシェアしよう」みたいな指令が来るんですよ。しかも、フロントカメラとバックカメラが強制的に同時に動くので、メイクをしていなかろうが、部屋が汚かろうが、2分の間に写さなければいけません。
 
安田 急に通知というか、指令が来るんですか?
 
Mr.モリスギ そうです。しかも、その指令に従って撮った写真も共有されます。化粧もしてなくてダサい自分なんだけど、みんなでシェアしあってお互いに面白がるというか、「なんでそんなださいパジャマ着てるの?」みたいな、そういうイジり合いをしつつ楽しむような感覚のSNSです。

BeReal

安田 確かに、四六時中SNSを見てしまうという課題は解決できそうですが、この指令が来たときの強迫観念がすごそうな気もします。その辺はいかがですか?
 
Mr.モリスギ グループの質がすごく大事になってくるでしょうね。不特定多数に見られるようなプラットフォームだったら、絶対に誰も使わないと思います。仲の良い友達同士で、お互いにバカな姿を見せられるというのが、コンセプトとしてとても大事なところだと思います。

≪安田`s Memo≫

仲の良い友達同士で、お互いにバカな姿を見せて楽しめる「BeReal」。BeRealは、クローズドの場だからこそ成立するSNSといえる

Z世代向けSNS③ 友達しか自分の写真を投稿できない「Poparazzi」

Mr.モリスギ 次が、Poparazziです。これもアプローチはBeRealと似ていますが、こちらは、友達しか自分の写真を投稿できないというものです。

たとえば、安田さんがプロフィールの作成をしたいとすると、僕なり誰か他の人が安田さんの写真を撮ってタグ付けをする必要があるんです。そうすることで、はじめて安田さんのプロフィールが作られるというしくみです。
もちろん安田さんは、自分が気に入らない写真は「掲載やめてよ」とか「削除してよ」ということでコントロールはできるんですが、コントロールできるのはそこまでです。
 
安田 自分好みにかっこよく加工する、なんてことはできないんですね。
 
Mr.モリスギ 友達しかり他人が写っている画像って、あえて見栄えをよくしようとしないですよね。たとえば、僕が安田さんの写真をすごく加工して、たとえば背を高くしてシュッとしたりするモチベーションってないじゃないですか。
 
安田 ないですね。
 
Mr.モリスギ よくある、SNSで1人だけすごい加工してて周りから浮いているというのはよく見かけると思いますが、あの逆を行っているのがPoparazziです。友達のありのままを撮って共有したいという欲求を満たすものですね。 

安田 Poparazziを使うと、ありのままが出てしまいますね。これも、やっぱりZ世代には人気があるんですか?
 
Mr.モリスギ 登録アカウントは500万を超えていて、ユーザの75%は14〜18歳、95%は14歳〜21歳です。Z世代の中でも、10代を中心に人気が出ています。
 
安田 面白い! ただ、人によって写真の量に差が出そうだなと思ったりもします。
 
Mr.モリスギ 人気のある子がよりたくさん写真を撮られるというのは、あるかもしれないですね。

≪安田`s Memo≫

自分で自分の画像を投稿できないという制約を付けることで、ありのままの自分たちが見られる「Poparazzi」は、10代を中心に人気を博している

これらのSNSは、便利さや効率の良さではなく、「制限」に価値を見出している

制限の価値

安田 これまで3つのSNSを見てきましたが、便利さのかけらもないというか、途方もなく不便というか(笑)。今までのSNSを使ってきた我々の感覚からすると、あり得ないと思ってしまいます。
差別化や提供するベネフィットと言うと、今までは「便利さ」だったり「効率の良さ」だったりしたと思いますが、今回は「制約」が付加価値であり、ベネフィットになっている。真逆ですよね。
 
Mr.モリスギ 個人的には、制約をつけないで放任すると、いろいろな問題が起こりやすい気がしています。やっぱり誰かがルールを作って制約をつけないと、取り返しがつかないことが起こってしまう。

現在のSNSは、徹底的に人間の承認欲求にチューニングされていて、かつ事業KPIに最適化されてしまっているんですね。資本主義なのでそれは当然の考え方ではあるんですが、社会に大きな悪影響を及ぼしてしまうのはやはり本質的には誤っています。

「共有地の悲劇」という話があるんですけど、釣り場でみんなが好きなように勝手に魚を釣ると、当たり前ですが、魚がいなくなってしまう。だけど、ルールを決めて、毎年の捕獲量はここまでにしようと決めておけば、魚は勝手に増えるので絶滅はしない。
 
安田 個人の最適化にはつながらないけど、人も魚が捕れなくて飢え死にすることはないのですね。
 
Mr.モリスギ はい。ルールを決めることによって、みんなで気軽に楽しく生きていくみたいな世界観が実現できるわけです。

これが、政府や行政、規制がある理由の一つでもあると思うんですが、サービスにおいてこういう考え方も持っておくと、おかしなことにつながりづらくなるんじゃないかと思います。
 
安田 資本主義の基本的なルールの中で企業自体が顧客を見たときに、自発的にその辺りの価値観を尊重できるような社会になると、すごく良いですね。
今日すごく思ったことですが、今の社会って、物理的にはかなり満たされていますよね。自分の子どもを見ていても思いますが、物欲があまりないんです。物も情報も、色んなものが安く簡単に手に入る。だから、物欲が満たされている人たちが多い。そうすると、暇を持て余してゲーム性を求めはじめるのかもしれません。
 
Mr.モリスギ まさにそうだと思います。ブランドが好きな若い子も当然いると思いますが、きっと僕らの時代よりその割合は下がっているでしょうね。
 
安田 そして暇になった結果、不便なものを楽しむようになっている。制約を設けることでゲーム性を持たせて、日々を楽しんでいるように感じます。
SNSから受けるメンタルの悪影響を取り除くという意味では、ソーシャルデトックス、デジタルデトックスという方法でもいい気がします。しかし、そうしないで制限を付け加えるというのが、面白いアプローチだと感じました。
 
Mr.モリスギ 楽しいとか解放されるとか、そっちに振り切った考え方をしないと、こういうSNSは生まれないでしょうね。

≪安田`s Memo≫

物や情報が無限に手に入る社会になり、物欲が減った結果、制限を楽しむという発想が生まれている

安田 今回も大変参考になりました。ありがとうございました! 
 
Mr.モリスギ 次回もよろしくお願いします!
 
―次回の【海外Hot Info】も、引き続き森杉さんにお話を伺います。ぜひお楽しみに!

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