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顧客獲得コストを下げる「同盟ネットワーク」の仕組みと成功事例【海外Hot Info】vol.15

2022.01.20

前回に引き続き、高騰する顧客獲得コストと今注目されている対策方法について、株式会社トラストバンクの森杉育生さんにお話を伺いました。

中小企業が顧客獲得コストを下げるためには、「同盟ネットワーク」を作ること!-Boltの成功事例

三石所長(当時。以下、三石) 今回もよろしくお願いします! 前回は、顧客獲得コストの高騰で、企業の顧客獲得の施策が変化しているというお話でした。今回も続きをお伺いしていきます!

森杉さん(以下、Mr.モリスギ) よろしくお願いします!

同盟メディア

Mr.モリスギ 前回は、顧客獲得コスト(CAC)が跳ね上がっているために、マーケティングや広告ではなくオウンドメディアのコンテンツ強化への動きが出てきているというお話でした。特に資金力のある企業は、買収であったり、新事業立ち上げリソースを集中的に充てて、それを実行しています。
今回は、資金力があまりない中小企業の戦い方がテーマです。

三石 資金力があればオウンドメディアのコンテンツ強化も簡単ですし、巨大メディアの買収もできますもんね。しかし中小企業が同じことができるかというと、できない。中小企業には中小企業の戦い方があると。

Mr.モリスギ はい。それが「同盟ネットワーク」です。簡単に説明すると、中小企業や中小規模のブランドがパートナーシップ、いわゆる徒党を組んで戦うという戦略です。中小企業や中小ブランドのネットワーク構築をプラットフォームで支援する事例として、「Bolt」の事例を最初に紹介します。
わたしたちはよくECサイトで買いものをしますが、Boltは、買いたい商品をカートに入れて決済するプロセスを最適化するソフトウェアを提供している会社です。
ポイントが、「ワンクリックチェックアウト」と呼ばれる機能です。

三石 どのような機能なんですか?

Mr.モリスギ 決済するとき、個人情報を入力しますよね。Boltでは、チェックボタンをクリックするとその情報が保存されて、Boltを使っている他のECサイトで決済するときにもその情報が使えるんです。

三石 ユーザーは、毎回わざわざ入力しなくていい。一度保存しておけば、その情報をいろんなブランドで利用することができるというわけですね。
企業というか各ECサイトにとっては、CACが下がるというメリットがあると。

Mr.モリスギ Boltのチェックアウト機能を使ったことがあるユーザーは1,000万人以上。うち60%以上がワンクリックチェックアウトを利用しているので、CACの削減効果はかなり大きいと思います。

三石 素朴な疑問ですが、個人情報の取扱は大丈夫なのかな、という不安が我々ユーザー側としては生じるわけですが、その辺はいかがですか?

Mr.モリスギ Boltもその辺は意識していて、不正検知を行ったり関連するホワイトペーパーを作成して外部に情報を公開するなど、しっかりした対策は行っているようです。

三石 なるほど、それを聞いて安心しました。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

資金力が潤沢ではない中小のブランドは、ネットワークを構築することでCACを下げている

独立型ECサイトの課題である認知度の低さや広告コストの高さを解決する-CO-OP commerceの成功事例

ECサイト

Mr.モリスギ もう1つの事例がCO-OP commerceです。最近、各ブランドがAmazonなどのインターネットショッピングモール型ECではなく、自社でECサイトを作って運営する形態が伸びていますよね。たとえば「Shopify」なんかが良い例です。

三石 自社でECサイトを作って、ShopifyなどのECプラットフォーム上で開設するということですね。

Mr.モリスギ ShopifyはAmazonを超えるかもしれないと言われているくらい勢いがあります。ただ、逆にECサイトでうまくいっているところは少ない。広告を始めとして、CACが高いのも課題です。

三石 Amazonや楽天のようなモール自体の知名度を武器にできませんからね。自分のブランド力で勝負するしかない。

Mr.モリスギ なかなか投下資本の回収ができないブランドも多い中、救世主的存在になりつつあるのがCO-OP commerceなんです。
やっていることはシンプルで、あるECサイトで買いものをして決済が完了すると、関連する他社ブランドなどが画面に表示されるようになっています。

三石 Amazonなんかでもありますね、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」みたいな。でも、そうすると他のECストアに顧客を取られてしまうという懸念もあります。

Mr.モリスギ そこがうまいところで、パートナーネットワークの仲間ブランドのことを自社ストアでプッシュしてあげればあげるほど、自分のECサイトもパートナーネットワーク内で露出が増えていく仕組みなんです。
決済完了画面に表示された他ブランドでユーザーが購入するとブランド側がポイントを獲得できるようになっていて、そのポイントを使ってCO-OP commerceのネットワーク内での露出を高めることができます。

三石 なるほど、面白いですね! Growth Labもnoteという媒体を使ってコンテンツを提供していますが、そうすると読者の方が他の記事を読んだときにGrowth Labの記事が取り上げられたり、その逆もあったりして。
我々コンテンツの提供者側もCACを下げられるし、note側も豊富なコンテンツをユーザーに提供することができる。ユーザーも興味に沿ったコンテンツを探すコストが省けるということで、うまいシステムだなと感じていました。

Mr.モリスギ 意外にECサイト関連でこうした取り組みをしている事例って、ないんですよ。

三石 ECサイトはnoteなどに比べて、他に顧客が流れてしまうことに対する警戒心が大きいのかもしれません。ただ、確かに流出もあるけど他店からの流入もあると。むしろ流してあげることで、自社の露出も増える。

Mr.モリスギ ポイントは、一度決済完了している顧客が対象だというところですよね。購買前なら機会損失につながるけれど、購入後だからいいでしょう、という。しかも購入完了ページというのは、ユーザは「購入する」というタスクを完了し、緊張が緩和されるので、他の商品を気にかける余裕がでてきます。タイミングとしても非常に良いですよね。
実際にCAC(顧客獲得単価)が57%下がり、CO-OP commerceネットワーク経由のユーザ訪問の80%が新規となる事例も出てきています。CAC削減という意味では、かなりの効果を出していると言っていいと思います。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

CO-OP commerceでは、自社サイトで他ブランドを紹介することでお互いが利益を得る仕組みが確立している。顧客を囲い込む戦略とは真逆の「三方よし」でCAC削減にも高い効果が出ている

三石 今回もありがとうございました! 顧客獲得コストを下げる施策として、資産が潤沢な大企業と中小ブランドでは、戦い方が違うということが分かりました。
次回は、どんなテーマでお話いただけるんでしょうか?

Mr.モリスギ 次回は、Web3のところでもお話しした「分散自立組織(DAO)」について、もう少し深掘りしてお伝えしていきたいと思っています。

三石 次回も楽しみです!

―――次回の【海外Hot Info】では、「分散自立組織(DAO)」について引き続き森杉さんにお話を伺います。次回もぜひお楽しみに!

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