Web3で限界集落がよみがえる!?【海外Hot Info】vol.13

2021.12.21

今回は前回に引き続き、「Web3」とその世界がもたらす大きな変化と可能性について、株式会社トラストバンクの森杉育生さんにお話を伺いました。

たった8つのNFT文字アイテムから、巨大な世界が生まれた。「Loot」に見る、クリエイターの価値の向上

三石所長(当時。以下、三石) 前回のお話もすごく刺激的でした! 今日もよろしくお願いします。

森杉さん(以下、Mr.モリスギ) よろしくお願いします!

NFT

三石 前回は、Web3によってユーザー中心の世界がやってくるというお話を伺いました。まだ普及しているとは言いがたいかもしれませんが、これからどんどんプラットフォームが不要になっていく気がします

Mr.モリスギ 実は、さらに可能性の広がる事例があるので今回ご紹介します。ちょっとまだ僕も完全には理解できていないんですけど、本当にプラットフォームっぽいものがないNFTプロジェクトができたんですよ。「Loot」というRPG風コンテンツなんですけど。
最初にある人が、文字が8つだけ並んでいるNFTを公開しました。こういうやつですね。

Loot
引用:Dom Hofmann(ドム・ホフマン)氏のTwitterより

三石 これは……どういうことですか?

Mr.モリスギ RPGで使うようなアイテムの名前のセットでして、冒険者が必要とする8つの装備(胸、手袋、靴、頭、腰、ネックレス、指輪、武器)を1つのバッグにいれているということを表しています。この8つの文字アイテムが1セット(=バッグ)で、NFTになっています。このバッグを8,000個のNFTとして、ユーザーに公開しました。
そうすると何が起きたかというと、この状態だと文字しかないのでイラストを作る人が現れました。イラストはNFT化してマーケットに流します。そうすると「じゃあ自分も」といって、イラストを描く人がたくさん現れました。
さらに、レンガや木材のような「素材」もアイテムとして生まれていきました。

三石 すごい流れですね。

Mr.モリスギ さらに、NFTを組み合わせたり、参照したりして、家や地図などのNFTが生まれました。こうしてものすごい連鎖反応が起きて、キャラクターや町などの世界が生まれていったんです。

三石 最初はたった8個の文字列しかなかったのに! プラットフォームもないわけですよね。

Mr.モリスギ ありません。これは完全に、ボトムアップでコンテンツの世界が生まれた、おそらく世界初の事例 です。

三石 「Loot」の持ち主は誰なんですか? 最初に8つの文字列を作った人ですか?

Mr.モリスギ これは、ブロックチェーンやビットコインのようなものをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。ビットコインを作ったのはサトシ・ナカモトという人だと言われていますが、彼がビットコインの所有者かと言われると違いますよね。

三石 確かに。それにしても、Lootのここまでの動きは予測できません。

Mr.モリスギ NFTはブロックチェーンプロトコルを使って売買できるので、難しいことをしなくても、オープンなNFTマーケットで誰もが売買できるんです。
最初から相互接続性があるので、たとえばLootの中で作ったNFTが現実世界において、ARのアイテムとして使えたりもします。こうした互換性も注目されている理由だと思います。

三石 これは、クリエイターにとっても大きな環境の変化につながる気がします。クリエイターとして良いアイテムを生み出せたら、皆に「こんないいものができたんです!」といって売るとお金が儲かる。そんな仕組みが現実的に可能だと。
「制作クリエイターに対するリターンが少なすぎる」というのは、ずっと言われている問題で。アニメーターなんかが典型的な例ですが、ものすごい労働集約型なのに年収が低い。だけど好きだからやっているという、いわゆる不遇な環境にいるクリエイターが多いと思うんですよ。
ところがこの仕組みに乗っかれば、クリエイター側が主役になれて、アウトプットさえ出せればどんどん利益を得ることができる。クリエイターファーストの時代になるということですね。

Mr.モリスギ もうすでにその時代は来ていると思いますよ。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

Web3の世界では、コンテンツを生み出せるクリエイターの価値が正当に評価されるようになる!

行政がビットコインを住民に配分する!? マイアミとニューヨークで今起きていること

三石 こういう仕組みを分かっていたら、ビジネスを立ち上げるときにもかなり少ないコストで始められるんじゃないですか? そもそも、インターネットが登場してスタートアップにかかるコストと時間が大幅に削減されましたが、Web3の世界はそれを超越している。Web3の世界では、やる気とアイデアさえあれば、本当に何でもできる世界ですね。

Mr.モリスギ そういうことです。そして、行政にもすでに動きが出てきています。

三石 行政? 全然想像できない。どういうことですか?

Mr.モリスギ 独自のトークンやNFTを発行して資金調達するというのを、アメリカのマイアミやニューヨークではすでに始めているんです。
マイアミでは、行政がSTXというBitcoinベースのブロックチェーンの仕組みで資金を集めています。マイニングで得た報酬のうち30%は行政が政策のために使って、残りの70%はステーキングするんです。
そしてステーキングで得た報酬をビットコインに替えて、マイアミコインのウォレットを持つ市民に分配するという仕組みです。これも株式に似ていますね。

(※編集部注:「ステーキング」とは、仮想通貨を保有し、ブロックチェーンのネットワークに貢献することによって、報酬という形で利益を得る仕組みのことです。)

三石 株主配当のような感じですか! なるほど……。

Mr.モリスギ 行政が国から予算を取るのではなくて、世界中の人たちから資金を得られる仕組みです。たとえば、僕や三石さんが「マイアミが好きだから」という理由でSTX経由でマイアミコインを買ってもいいんですよ。

三石 そうなってくると、地域振興とか地方創生とか、そういったところにも個人が仮想通貨やNFTを通じて貢献できるようになっていきますよね。すごい、これは面白い!

Mr.モリスギ この仕組みはどんどん拡大していけると思います。たとえば、マイアミのように市が資金調達するだけじゃなくて、プロジェクトを立ち上げて資金調達を募るとか、政策についてトークンを投票して皆で決めたりとか。マイアミの市長は給料をビットコインで受け取ると発表していますし、面白い流れになりそうです。

三石 「今期はあまり良い政策がなかったから、給料は3万ドルでお願いします」といって住民が投票で市長の給料を決めるとか。そういったこともあるかもしれませんね!

≪三石所長(当時)`s Memo≫

Web3の仕組みを活用すれば、資金調達のチャンネルも無制限になる!ビジネスだけでなく、行政の仕組みにも大きな変化をもたらすかも。

世界中の人を巻き込んで、地方創生プロジェクトを成功させる。Web3ならそれができる

地方創生

三石 何も観光資源がないような地方って、日本にも世界にもたくさんあると思います。ただ、人口がどんどん減っているところでも、マイアミのような仕組みを使って自治体がお金さえ集められれば、活性化の道は残されているんじゃないかなと思います。むしろ、今以上に収益を得られる可能性があるということですよね?

Mr.モリスギ 観光資源がないところは、外に売れるものを作り出す必要がある。というのは大変なことですが、それができれば、可能性はあります。たとえば、ブルワリー(ビール醸造所)を作ってビールを特産品にするとか。日本だけではなくて、海外からも広く支援を集められるような体制が作れるとさらに強いでしょうね。

三石 なるほど。それは自治体だけではなくて、会社にも同じことが当てはまりそうです。

Mr.モリスギ すごく良いものを作っているのに全く知られていない会社って、日本だけじゃなくて世界中にあると思います。そういったものを知らしめて、ファンを増やしてトークンによる支援者やNFTのオーナーになってもらって、一緒に会社や地域を盛り上げていく。そんなプロジェクトは、Web3の世界観ならとてもやりやすいんじゃないでしょうか。

三石 アイデアを形にしやすくなる。今までは実現化が難しくて妄想の域を出なかったようなものが、もはや障壁がほとんどない。それがWeb3だと。

Mr.モリスギ そういう世界観を、HiDEさんなんかは本気で目指していると思います。

三石 企業が自治体や行政と協力して地域を活性化していくことができれば、自治体にとっても、企業にとっても、そこに住む人にとっても大きな恩恵があります。レガシー企業は、それがすごく得意な分野だと思うんですよ。

Mr.モリスギ Web3の仕組みはまだまだ新しい概念だととらえられているので、組経営者や役員を説得するのは難しいかもしれません。でも、だから敬遠したり距離を置いたりするのではなくて、そういった人たちも巻き込んで味方にしていってほしいですね。
行政分野でも、国主導だとなかなか進まないようなことでも、地方自治体から先進的な事例が出てくることもありますし。

三石 今少し思ったんですけど、Web3って、資産運用にも影響が出そうじゃないですか。たとえば今だと、100万円のうち30万円を株式投資に、30万円を国債にというようにポートフォリオを組みますよね。この中に、「マイアミのプロジェクトに投資しよう」とか「このクリエイターのNFTに投資しよう」といった選択肢が加わったりして。

Mr.モリスギ それはあると思います。というか、すでにその部分をビジネスにしている人も出てきていますよ。投資信託のファンドみたいなもので、仮想通貨とかNFTにも分散投資しようという。

三石 そうなってくると、お金の概念が大きく変わりそうな気がします。たとえば日本人って、「汗水働くことが正義であって、楽してお金を稼ぐのは悪だ」みたいな観念がすごく根強いじゃないですか。でも、賢く学んで投資することが個人の幸せにもつながるし、自治体やクリエイターなどを助けることにもつながりますね。

今回も、素晴らしいお話でした! 森杉さん、今日もありがとうございました!

―――次回の【海外Hot Info】では、「集客の多様化」というテーマで引き続き森杉さんにお話を伺います。次回もぜひお楽しみに!

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