近年日本でも耳にするようになった「グロースハック」。海外の大手IT企業で取り入れられ、その多くが業績を大きく伸ばしたことから日本でも認知され、グロースハックを担うグロースハッカーと呼ばれる人を置く企業も増えてきました。
この記事ではグロースハックを勉強し、事業を大きく伸ばすためのおすすめの本11選を紹介します。グロースハックに興味を持っている、グロースハックを担当することになったけど何から始めれば良いのかわからないという方に読んでいただきたい本を集めていますので、ぜひ参考にしてみてください。
グロースハックとは
グロースハックとは、Growth(成長)とHack(手法)からなる造語で、プロダクトの持続的成長を促すための手段・戦略自体がプロダクト自体に組み込まれている、ということを指しています。
例えばSNSでは、シェアなどユーザーが友達に紹介しやすい機能を搭載している、などがグロースハックが意味するところです。
グロースハックについては「グロースハックとは?サービスを急成長に導くマーケティング手法」で詳しく紹介しています。
また最近よく聞くデジタルマーケティング戦略グロースマーケティングの根幹の一つでもあります。詳しくは、こちらの「グロースハックとグロースマーケティングの違い」でご確認ください。
グロースハッカーへおすすめの本11選
1. 『グロースマーケティング(Growth Marketing)』【発売日:2021年4月23日】
まずは、本記事執筆時(2021年12月末)に、Amazon Kindle「グローバル・マーケティング」カテゴリにおいて堂々ベストセラー1位に輝いていた『グロースマーケティング(GROWTH MARKETING)』をご紹介します。
グロースハックするために理解しなければいけない、グロースハックの上位に位置するマーケティングの概念「グロースマーケティング」について、事例を用いて紹介しています。本書ではグロースマーケティングとは「企業・事業・製品・サービスの持続的成長にフォーカスしたマーケティング活動」であると定義しています。
グロースハックをするためには「行動理解(Behavioral Analytics)」「高速で施策を繰り返す(Rapid iteration)」「的確な目標・指標設計(Business Impact)」を大切にしており、特に、属性軸での顧客分析ではなく、行動を軸とした分析が重要であると提唱しています。
また最先端の指標設計ノーススターメトリックについても詳しく解説。書籍購入後には「ノーススタメトリック設計シート」と、「タクソノミー設計シート」を無料でダウンロードが可能です。
グロースマーケティングを理解した上で、より効果のあるグロースハックをしたい方におすすめです。
2. Hacking Growth グロースハック完全読本 【発売日:2018年9月18日】
グロースハックを生み出したと言われているショーン・エリスがFacebookのPMを務めるモーガン・ブラウンと共にグロースハックについて紹介している一冊となっています。2部構成となっており、第1部では「グロースハックの基本」、第2部では「グロースハックの実践」について解説しています。
TwitterやAirbnb、Dropboxなどグロースハックに成功した海外事例も紹介しており、より具体的にイメージできる構成です。
「グロースハッカーの育て方」についての内容もあり、データに基づいた仕事をするグロースハッカーになりたい方はぜひ読んでおきたい本となっています。
3. 『いちばんやさしいグロースハックの教本 人気講師が教える急成長マーケティング戦略「いちばんやさしい教本」シリーズ』【発売日:2016年1月22日】
グロースハックとは何か?どのように進めていけばいいのか?など具体例を用いて初心者にでもわかりやすいように解説している一冊です。
タイトル通りやさしいが、やさしいだけではなく理解し、実践にも繋げやすい内容となっており、初心者からグロースハックの担当者になった方、概念だけでなく実践するためのヒントを得たいかたなどにおすすめの本となっています。
4. 『グロースハック 予算ゼロでビジネスを急成長させるエンジン』【発売日:2014年3月20日】
グロースハック思考に必須のフレームワークである「AARRR(Acquisition、Activation、Retention、Referra、Revenue)」や、グロースを目指すために必要となるグロースエンジン(マーケティング施策の実行・検証・改善のサイクルを回すこと)に触れながらグロースハックの概念について解説している一冊です。
AARRRのセクションではそれぞれ具体例を用いて説明しているのでイメージしやすくなっています。
グロースハックを成功に導くために必要なAARRRやグロースエンジンについて理解し、お金をかけずに事業を成長させたいと考えている人におすすめです。
5. 『グロースハッカー 第2版』【発売日:2015年2月19日】
2013年末に発行された「グロースハッカー」の第2版で、グロースハッカーの手法とマインドセットをわかりやすく解説しています。グロースハックについての深いポイントで理解することを目的とした一冊なので、一から学びたいという方にはおすすめではありません。
FacebookやTwitter、Amazonなど世界を代表する企業のグロースハック成功事例や、グロースハッカーへのインタビューなどから、幅広い視点でグロースハックについて理解できる本です。
6. 『「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』【発売日: 2019年8月8日】
タイトルの通り、人がついやってしまう行動の仕組みと手法について体系的にまとめられた一冊です。知らず知らずのうちに夢中になってしまうサービスのような「人の心を掴む商品・サービス」の作り方を、スーパーマリオ、ドラクエ、テトリスなどの誰もが遊んだことのある人気ゲームを用いてわかりやすく紹介しています。
持続的な成長を促すための手法であるグロースハックには、つい使いたくなるUI、UXデザインが大切となってきますので、ぜひ読んでおきたい一冊です。
7. 『Lean Analytics ―スタートアップのためのデータ解析と活用法』【発売日:2015年1月24日】
コストを抑え、最低限の品質のサービス、製品、機能を持った試作品を時間をかけずに開発し、顧客の反応を見ながらニーズを反映し改善を施していくマネジメント方法である、リーンスタートアップについて紹介している一冊です。特に本書ではリーンスタートアップが提唱する構築、計測、学習ループにおける「計測」にフォーカスし、具体的な例を交えながらスタートアップが成長するための「計測すべき数値」について解説しています。
事業を成長させるためには的確な指標・数値設定が重要となりますので、グロースハックをするためには読んでおきたい本です。
8. 『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』【発売日:2014年5月23日】
なぜユーザーはFacebook、Twitter、Instagramにハマってしまうのか。人がハマる仕組みについてケーススタディーと「フック・モデル」と呼ばれるフレームワークを用いて紹介しています。フック・モデルは4ステップで構成されています。
ステップ1「トリガー(きっかけ)」では、人に行動をとらすための引き金のついて、ステップ2「アクション(行動)」では、アクションのしやすさと、アクションを行うための心理的動機2つを用いて、特定のアクションが発生する可能性の高め方について、ステップ3「リワード(報酬)」ではユーザーを惹きつけるための欲望を生み出させ方について、ステップ4「インベストメント(投資)」では、ユーザーに少しの仕事をさせて改善を行わせることで、当たらなフック・サイクルを作り出す確率を高める方法について解説しています。
顧客を惹きつけ、事業成長を目指している方にはおすすめの本です。
9. 『A/Bテストの教科書』【発売日:2015年12月9日】
Webサイトやサービスの改善時などによく用いられる「A/Bテスト」について詳しく解説している一冊となっています。本書は3つのPartに分けられています。
まずPart1ではA/Bテストの正しい始め方について紹介しています。なぜA/Bテストが必要なのか、テストの流れなどの基礎について紹介しています。Part2ではA/Bテストを成功させるコツについて、ワークフローに従って解説しています。Part3では実践的なガイド33個、テスト事例を23個用いて、すぐに使える実践ワザについて紹介しています。
グロースハックをするためには常に細かな改善が必要となりますので、A/Bテストの効果を最大限発揮させたい方におすすめの本です。
10. 『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』【発売日:2017年8月1日】
最も影響のある経営思想家トップ50に選ばれたこともある、クレイトン・M・クリステンセンが「人はなぜ買うのか」を解き明かした一冊です。人がモノを買う行為のメカニズム、予想可能で優れたイノベーションの作り方について解説しています。イノベーションの成否を分けるのは顧客データや市場分析、スプレッドシートに現れる数字ではなく、数値では測れない消費者のメカニズムについての考え方が重要であると説明しています。
本書では「顧客が『商品Aを選択して購入する』ということは、『片づけるべき仕事(ジョブ)のためにAを雇用(ハイアー)する』ことである。」とし、これをジョブ理論と提唱しています。
なぜ人は買うのかを把握し、予測可能なイノベーションを作りたい方におすすめの一冊です。
11.『行動を変えるデザイン ―心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する』【発売日:2020年6月11日】
人の行動を変えるものとして一般的に法律・規範・市場・アーキテクチャの4つがあると言われており、本書では4つ目のアーキテクチャ、「自然と行動してしまう仕組み」について解説している一冊です。
わかりやすいフレームワークと事例を用いて、人の行動を変えるサービスを構築するためのプロセスと実行する際に重要となるポイントについて具体的に紹介しています。
まとめ
グロースハックは海外、特にアメリカを中心に注目を集めているマーケティング手法の一つです。まだ比較的新しい方法ですので、これからも数多くの書籍が出版されていくことでしょう。日本での認知度はまだ高くありませんので、この際に勉強し、先を行くマーケターを目指してみてください。