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シェアは実は1.6%!「PayPay」のプラットフォーム化戦略を解説【DXニュース】vol.4

2021.10.21

DXニュース第4回に取り上げるニュースは「コード決済“一強”となったPayPayが迎える転換期」。それでは、はじめましょう!

決済回数を上げることに注力した「PayPay」そして群雄割拠の時代が続きそうなキャッシュレス決済

キャッシュレス決済

三石所長(当時。以下、三石):「DXニュース」第4回! ニュースプレゼンターは、前回に引き続き、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野):よろしくお願いします!

三石:今回は「河野さん厳選! 2021年8~9月 TOPニュース」の4本目ですね。
(※編集部注・河野さんが他にピックアップしたニュースについては、こちらの記事をご覧ください!)

河野:はい、4本目は「コード決済“一強”となったPayPayが迎える転換期」です。

この記事は、前半は記者が北海道旅行でPayPayを利用して「地方への浸透」を実感したレポートで、後半はそれをふまえてPayPayの「現状の戦略と今後」について考察しています。
今回も、僕の視点から注目ポイントをまとめてみたので、こちらをご覧ください。

PayPayニュースの要点まとめ

河野:PayPayは2021年6月時点で登録者が4000万人を超えていて、前年比で決済回数が1.8倍、取扱高が1.7倍と、1年間で倍近く伸びています。

PayPayを運営するソフトバンクの宮川社長は「決済回数」にとにかくフォーカスしていて、「これをいかに伸ばすか」に注力しているそうです。これは僕らで言うところのノーススターメトリックですよね。

三石:なるほど、ノーススターメトリックですね。これは重要なキーワードなので、後ほど改めて深堀りしましょう。

河野:はい。PayPayを運営するうえで評価軸はさまざまあるなかで「決済回数」にフォーカスしているということは、「いかに普段使いでPayPayを定着させていくか」を重視しているのだと思いました。

三石:その通りでしょうね。

河野:この記事でちょっと面白かったのが、「SPACER」というコインロッカーは、Suicaなど、さまざまなキャッシュレス決済で利用できるのですが、PayPayも使えるロッカーだけはPayPayの小さなシールが貼ってあったそうです。

三石:なるほど。これはPayPay側が資金を出して行っているんですかね?

河野:僕もそう考えています。そして、あえてそれを実施する意味としては、おそらく先ほどの「いかに普段使いでPayPayを定着させていくか」を実現するための“露出行為”であり、そのためのトライアルであると記事では分析しています。

三石:なるほど。今後どういう結果が出てくるのか気になりますね。我々も参考にしたいです。

河野:さらに、記事の続きを紹介します。PayPayは、2021年第1四半期取扱高が1.2兆円。これは四半期なので1年間に換算する際に単純に4倍して考えると4.8兆ぐらいになります。相当の規模まで育ってきましたよね。

三石:さすがですね。

河野:……って、思いますよね!? ですがなんと、日本の年間最終消費支出300兆円なので、決済全体からPayPayのシェアを見ると、約1.6%に過ぎません! また、クレジットカードや電子マネーなどを含めた日本のキャッシュレス決済比率は30%で、その中でPayPayを見ると5%程度です。

三石:あれっ、そうなんですか!? 記事のタイトルでは「コード決済“一強”」とあるけれど、シェアはまだまだ1.6%なんですね。

河野:そうなんです。だから、まだまだこれからキャッシュレス決済は群雄割拠の時代に突入していくんだろうなと感じました。ちなみに、タイトルの「転換期」は、8月末にPayPay加盟が「有料化」になったことを指しています。

KGIとKPIに次ぐ新しい目標指標? 本質的な価値を定量化する「ノーススターメトリック」

三石:ありがとうございます。面白いニュースでした。それでは振り返って、途中で出てきた「ノーススターメトリック」の話、これは非常に重要な考え方なので、改めて解説をしていただけますか?

河野:はい。ノーススターメトリックは「KGIとKPIの両者を繋ぐもの」と考えられます。KGIは基本的に売り上げに置かれることが多く、KPIも売り上げに繋がるものを設定しがちです。でも、ノーススターメトリックはちょっとアプローチが違って、その製品やサービスが消費者たちにもたらす「本質的な価値は何か」ということを定量化するものです。

三石:なるほど。それを示すわかりやすい具体例はありますか?

河野:僕がノーススターメトリックを説明するときによく使うのが「Netflix」です。Netflixはサブスクモデルなので、消費者がどれだけ多くの時間を見ても利益は変わりません。でも、Netflixは「どれだけの時間を費やしてくれたか」をノーススターメトリックに設定しているんです。

三石:面白いですね。企業には、経営、開発、サービス、企画、担当オペレーターなど、立場やミッションが違う人がたくさん集まっていますが、ノーススターメトリックは全員が同じ1つの指標を追う、というものですね。

河野:その通りで、それがとても重要です。PayPayを例に挙げると、その部署の仕事が直接売上に関係なかったとしても「決済回数を増やす」というノーススターメトリックに繋がるのであればやろう、というふうに関係者全体のベクトルが1つに向きます。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

ノーススターメトリックは非常に重要な考え方。

サービスがもたらす「本質的な価値」を見極め、

部署に関わらず社員全員でその指標を追うもの。

売上を奪い合う市場内での戦いから、多方面の収益化を期待するプラットフォーマーとしての戦いへ

プラットフォーマー

三石:あとはビジネスモデルでいうと、たとえばPayPayの運営元(※)となるYahoo!はユーザーの行動データを集めて、それを使ってマネタイズ(収益化)していて、それが人となりを把握するための1つの手段になっていますよね。PayPayも決済のシェアではまだ1.6%ですが、そういうところも狙っているんでしょうか?

(※編集部注・正確には、PayPay株式会社はソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合弁会社です)

河野:その通りだと思います。決済回数を増やせば手数料が増えるので売上もアップするのですが、そういうところは一切出てきてません。三石さんのおっしゃる通り、決済回数を増やして日常使いに浸透すれば、それだけデータ量が増えるので、そうすれば“PayPayだけでなく他のサービスでもマネタイズできる、と考えているのだと思います。

三石:そうですよね。やはり、戦い方が決済市場の何%を獲る、という短絡的な領域だけじゃなくて、プラットフォーマーとしてのビジネスになっていっているんですね。ありがとうございます! とても面白い記事でした。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

現在は、企業の戦い方が「売上シェアを獲る」という“短絡的な戦略”

ではなく、プラットフォーマーとしてのビジネスになってきている。

―――次回の【DXニュース】では、引き続き、河野さんが厳選ニュースを解説!アパレル業界初と言われる、企業価値が1兆円を超える未上場企業「SHEIN」の正体について解説していただく予定です。ぜひお楽しみに!

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