今回のDXニュース第25回は「2022年注目! 米国デジタルマーケティング 8つの最新トレンドとは?」こちらの記事の内容について深堀りし解説していきます。ちなみに前後編の前編です。
プレゼンターは、国内外のリテールテックを10年以上見続けてきた株式会社DearOne CEOの河野さん。それでは、はじめましょう!
2022年注目!「8つのトレンドキーワード」
安田一優(以下、安田) 今回から三石所長(当時)に代わり、私がお相手を務めさせていただきます。河野さんよろしくお願いいたします!
河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!
安田 今回取り上げる記事は何でしょうか!?
河野 はい、「2022年注目! 米国デジタルマーケティング 8つの最新トレンドとは?」という記事を紹介します!
ピックアップした理由は、 “アメリカのデジタルマーケティングでは何が流行っているか”は我々DearOneとして知っておくべきことであり、また、国内のマーケターのみなさんも興味があるだろうと思ったからです。
安田 確かに、この記事でピックアップされている8つのキーワードは、興味が湧くものばかりですね。
2022年の最新トレンドキーワード8つ
①AI
②ダイナミックコンテント
③音声検索
④VR・AR
⑤ヘッドレス
⑥LTV戦略・顧客生涯価値を最大化
⑦親指のためのデザイン
⑧Core Web Vitals
出典:Web担当者Forum「2022年注目! 米国デジタルマーケティング 8つの最新トレンドとは?
河野 このなかで、安田さんが聞いたことがないキーワードはありますか?
安田 そうですね。⑤ヘッドレス、⑦親指のためのデザイン、⑧Core Web Vitalsの対応、あたりは初めて聞きました。
河野 よかった、ピックアップした甲斐があります!
これらのキーワードは注目が集まっているので知っておくことが重要かなと感じています。それでは①AIからいきましょう。
安田 はい、お願いします!
①AIについて解説! アフタークッキー時代はCDPの抽出や選別にAIを活用しよう
河野 この記事では、ハートコア株式会社の神野純孝さんが「WebサイトやECで顧客体験を向上させるためにAIを使いはじめることが出てきているが、まだまだ少ない」とおっしゃっていて、僕はそこが気に入っています。
AIの活用範囲は確実に広がっているので、まさに我々DearOneの販促、プロモーション領域でも、もっと活用していきたいですよね。
この記事では「(WebサイトやECなど)そうした分野でいかにAIを広めていくかが当面の課題」とあります。僕らも普段仕事をしているなかで、AIをうまく使いこなすことが難しかったり、予算面でも投資できない状況があったりするので、確かにその通りだなと感じました。
安田 はい、AIがあっても使いこなせなければ意味がありません。
河野 そうなんですよね。そして、この記事では近年デジタルマーケティング業界の課題となっているCookie規制についても触れています。「サードパーティCookieが使えない時代になった以上、ファーストパーティCookieをフル活用するしかない」。
我々のような1st Party Dataを取り扱うデジタルマーケティングのプロフェッショナル集団としては、こういった傾向は追い風ですし、きちんと貢献していきたいと思いました。
さらに記事の続きでは、「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)に顧客情報を蓄積していく方向性に変わりはないけど、抽出や選別にAIを活用する格好」とあり、アフターCookie時代のAIの有用性について触れています。
安田 まさに僕らDearOneが毎日行っていることですね。DearOneが扱うプロダクト分析ツール「Amplitude」は、それこそチャートによってはAIを活用して1st Party Dataを分析しています。これを人間の力でやろうとすると、とんでもない労力が必要になります。
河野 その通り。AIは以前からずっと注目されてきましたが、今年も改めて注目トレンドになっているよ、という内容でした。
②ダイナミックコンテントについて解説!ターゲティングを適切に行い、必要な数のコンテンツで狙いをすまそう
河野 続いて取り上げるのは②ダイナミックコンテントです。これはユーザーのサイト閲覧履歴、購入履歴などに応じておすすめの商品が切り替わる仕組みですね。Amazonなどはアクセスするたびに変わっていたりして、先行して取り組んでいます。
河野 記事内には、次のような示唆がありました。ダイナミックコンテントを導入できない課題があるとしたら「細分化するときにコンテンツをその分作成しないといけない点」と。確かに100製品100パターンの素材をつくることは困難ですよね。
安田 大変な労力がかかりますね。
河野 以前、DearOneが提携している統合型カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を使ってくださるお客様の案件で、運用100パターンのクリエイティブをつくったことが実際にありました。その時にも実感しましたが、出し分けを細かくやろうと思えば思うほど、そこの道のりは困難になります。
河野 この記事の結論としては、①コンテンツの作成数は極力抑える、②そのためにはセグメンテーションやターゲティングを適切に行う。そうすることで、コンテンツを無制限につくらずに、最大公約数を狙う方式がいいんじゃないかとまとめています。
安田 なるほど!
河野 DearOneはお客様に「ダイナミックコンテンツをやりましょう」と言う立場なので、このように「コンテンツが足りない!」といった課題があるときは、私たちも「最大公約数を狙ってグループ分けして、必要な数のコンテンツだけつくりましょう」と提案するのがいいと思いました。この記事の通りです。
安田 そうですね。コンテンツをたくさんつくるのは、とても労力がかかりますもんね!
河野 そうなんです。ダイナミックコンテントをやったほうがいいことはデジタルマーケティングに関わっている人は皆わかっているので、それを実現するための示唆が含まれていて、いい記事だと思いました。
③音声検索について解説!ユーザーからの設問に、先回りして適切な回答ができる備えをしておこう
河野 ③音声検索は「今さらかい!」という感じもありますが、改めて注目されているそうです。この音声検索分野は基本的には3強で、Siri(Apple)、Googleアシスタント、Alexa(Amazon)に集約されています。ちなみに僕自身、Alexaがいないと生きていけなくなっています。
安田 河野さん、そこまで言い切りますか!?
河野 はい!! エアコンはリモコンがないから、Alexaがいないと、どうやってスイッチを入れるかわからないです。リモコンは全部しまっちゃってどこにあるかわからないから、Alexaがいなければエアコンはつけられないし、消せない。だいぶ生活に入り込んでます。
安田 私は古くて、リモコンを指で押したいタイプなのでそこまではハマってないですね。ただ、うちの娘はスマホにいつも語り掛けてますし、実家に帰ったら河野さんの家のようになっていたので驚きました。
河野 やっぱりそうですよね。とにかく、音声検索の利用が広がっているのは間違いないと思います。
調査によると、音声検索を利用するユーザーの84%が「質問をしている」そうです。確かにそう言われると僕も「アレクサ、今日雨降る?」とか聞いています。その前提のうえで記事に書いてあったことは、たとえば「CMSって何?」と聞かれたときにうまく回答できなければ「これはダメだ」とユーザーが離脱してしまうと。
安田 なるほど、望んだ回答がもらえなかったら、「聞いても意味ないじゃん」と思われてしまいますよね。
河野 そうですよね。だから、企業側は自社商品が音声検索されたときに適切な回答を返せるような備えが必要です。この記事はさらに先読みの話をしていて、音声検索がこの先にもっと使われるようになったときに、たとえばピザ屋を運営している会社だとしたら音声認識ソフトから発注できるようにするとか、メニューに対する質問に対して「マルゲリータってどんな味なの?」と聞かれたときに「具材は何と何で、こんな味でおいしい」と返ってくるようにするなどの備えが必要と指摘しています。
安田 確かに、そこで的外れな回答が返ってきちゃったら、買う気が失せますね。
河野 今はBtoCの話ですが、弊社のようなBtoB領域にもそういう時代が来るのであれば「DearOneってどんな会社?」とAlexaに聞かれることがあるかもしれません。そのときにどういう回答が返ってくるか、僕らも備えないといけない。今は備えられていないので、ちょっと考えさせられました。
安田 そうですね。今だとSEOで、テキスト入力に対応している企業が多いけれど、今後は音声検索に対応したキーワード設定を考えないといけないのかもしれませんね。
河野 本当にその通りで、Amplitudeがもっと使われるようになれば音声検索される可能性は出てくるはずで。BtoBの観点の音声検索は全く考えていなかったから、頭の片隅に入れておくべきだと感じました。BtoCビジネスの場合はすぐにでも考えたほうがいいですね。
④VR・ARについて解説!リアル店舗で生まれる”偶然の買い物”を再現できる可能性に注目
河野 さて、次はVR・ARですね。これもずっと前から言われていて、特に目新しいことはありませんが、「目的外のものを買うのは顧客行動としてある意味自然。これをECサイトで再現するのは難しいが、VR・ARなら実現しうると考えられている」という発言が目につきました。
ECサイトを利用した後に「余計なものを買いすぎた」と感じることはないけれど、リアルのお店に行ったときは誰もが一回は感じたことがあるところですよね。つまり、リアルのお店の場合は、目的外のものを買うのは顧客行動としてある意味自然ですが、これをECサイトで再現するのは難しいと。
安田 なるほど。
河野 でも、VR・ARなら実現しうると。今、メタバースやWeb3が注目されているのは、こういうところにあると思います。ECとは違ったリアルに近い状態なので、余計なものを買う状況が発生しうるんじゃないかとの予測です。
安田 偶然をきっかけに消費が生まれる、セレンディピティのきっかけになりそうですね。
河野 まさにそうで、セレンディピティがVR、ARなら発生する可能性がありますが、ECは目的購買だから発生しづらいんですよね。
安田 さっき出てきたダイナミックコンテントだけでも難しいでしょうね。
河野 はい。これらは言われれば当たり前のことだけど、文章にしてトレンドとしてまとめてくれたのは素晴らしいと思いました。
安田 その通りですね。さて、続きは後編になります。次回もよろしくお願いします!
―――次回の【DXニュース】で取り上げるニュースも、河野さんが解説していきます。お楽しみに!