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自販機管理会社の徹底したデータドリブン戦略を解説!【DXニュース】vol.14

2022.01.26

今回のプレゼンターは、国内外のリテールテックを10年以上見続けてきた株式会社DearOne CEOの河野さん。DXニュース第14回は、「知ってた? 自販機70万台からデータ収集、“選んでいる時間”も計測 コカ・コーラ ボトラーズジャパンがもはや“テック企業”だった」を取り上げて解説します。それでは、はじめましょう!

スポーツ施設の自販機で売れているドリンクが、スポーツ飲料ではなかった!?

自動販売機

三石所長(当時。以下、三石) 「DXニュース」第14回です! ニュースプレゼンターは、前回に引き続き、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!

三石 今回は、「知ってた? 自販機70万台からデータ収集、“選んでいる時間”も計測 コカ・コーラ ボトラーズジャパンがもはや“テック企業”だった」ですね!

河野 はい、これめちゃくちゃ好きなニュースでした! コカ・コーラ社の製品の製造・販売を行うとともに自動販売機の運営も行っているコカ・コーラ ボトラーズジャパンに着目し、自動販売機で得たデータをどのように活用しているか、という話です。

三石 面白そうですね!

河野 まずは僕なりの視点から注目ポイントをまとめましたので、ご覧ください。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン

河野 コカ・コーラで自販機と聞くと、Coke ONを思い浮かべますが、その話ではありません。同社のデータサイエンティストマネージャー(ベンディング事業本部)の松田実法氏は日本に6人しかいないGoogle Developer Expertの1人であり、この方がデータ分析を行っています。

三石 日本に6人しかいないんだ! 凄いですね。

河野 まず、データをなぜちゃんと活用しなきゃいけないか、という事例が1つ出ています。スポーツ施設に設置する自動販売機はアクエリアスなどのスポーツ系飲料が売れるだろうと思っていたところ、なんと実際にはホットのミルクティーなど、体を動かした後に飲むとは思えないものが売れていたそうです。

三石 へぇ、意外ですね。なぜだったんですか?

河野 調査したところ、保護者が待ち時間に自販機を使っていたからだそうです。これはデータがなければ絶対に気づけなくて、調査すらしなかったと。だから、単純にスポーツ施設だからスポーツ系飲料増やして補充を頑張ろう、という先入観を持っていたら相当な機会損失ですよね。

三石 確かに。

河野 そのままでは「甘いものを飲みながら雑談を楽しみたい」という保護者のニーズを満たせなかった。松田さんは「機械は先入観も固定観念も偏見も持たない」と言っていて、僕はそこがとても好きでした。

三石 データドリブンですね。

徹底したデータドリブンで、自販機の設置場所から商品の配置までを管理

自動販売機2

河野 そうなんです、松田さんはめちゃくちゃデータドリブンの人。我々DearOneが今、いろいろな国内企業に「データドリブンでいきましょう」と一生懸命提案しているじゃないですか。そこで当たっている壁をこの方が解説してくれているのですが、コカ・コーラ ボトラーズではデータ分析ツールを営業担当者が100%使うという状況まで来ているそうです。

三石 それは凄いですね。

河野 最初はビジネスデベロッパーの経験が頼りだったけど、今ではツール利用が100%になっていると。さらに、ここからポイントで、導入直後こそビジネスデベロッパーが新しいツールを使うのは面倒と抵抗感があったが、粘り強く説得した、松田さんが頑張ったと。これ、まさに我々が直面する課題ですよね。

三石 よくあるケースですね。

河野 それでも松田さんが頑張れた理由は、集めたデータから見えてきたものに絶対の自信があったし、確信があったからです。何度も何度も働きかけて粘り強く説得して、結果として、データから導き出された売上増の効果を認めてくれたと。まさに先ほどのミルクティーの話で、最近では顧客側から「これを改善できるデータない?」と言ってきてくれるそうです。

三石 このコカ・コーラ ボトラーズジャパンの事例は素晴らしいですね。僕たちも「データ活用の4Step」としてデータを①ためる、②整える、③分析する、④使うの4つのステップを踏むことでデータを最大限活用する大事さを説いていますが、松田さんはしっかりと体現されていますね。

データ活用の4step

三石 やはり得たデータをもとに、どの商品を自販機に入れるかを考えておられるんでしょうね。

河野 もちろんそれもそうですし、商品の並び順、どこに配置するかまで。さらに言えば、自販機自体をどこに設置するかまで考えるそうです。

三石 設置のところからも含めてですか?

河野 AIでカバーエリアを数億グリッドに分割して設置地点を予測するそうです。たとえば、路地裏だから人が集まらなさそうな自販機でも、データで見ると、イベントなどで週末に人が集まっていることがわかったりして。こうした人間が見落としがちなデータも、「データで見ると明らかで、機械は見落とさない」と。いや、これは感動しました。

三石 素晴らしいですね。最初の河野さんのまとめたスライドに「コカ・コーラの年間売上収益約8,000億円のうち24%が自動販売機からの収益」とあったように、自販機は販売チャネルとしては最重要ですよね。

河野 そうですね、8,000億のうちの24%だから約2,000億ですね。

三石 今までの設置計画は、このエリアはこういう世帯年収で、こういう客層で、ビジネス層が何%など、いわゆる伝統的なリサーチでやっているイメージが強かったんですけど、データドリブンがかなり徹底しているってとこなんですね。

河野 そうなんです。この松田さんがそうした、ということですよね。

DXを成功させるカギは経営層だけでなく、「人事部」にもあり!

人事

三石 データドリブンと言っても、結局、松田さんのリーダーシップというところが……。

河野 そこに僕は感動したんですけど、逆に“ハードル”だと思いました。要するにこういう人がいないとできなかったわけですから。記事の前段に松田さんのことを指して、「データの扱い方を心得た人材が社内のハブになる」とあって。

三石 このニュースでもいつも出てくる「DX人材をどうするべきか問題」のところですね。今回は外部から実績豊富なエースを投入したという話で。

河野 松田さんの経歴としてはセブン&アイとニッセンを渡り歩かれていて。この記事は、国内企業はみんな参考にしてほしいと思いました。

三石 そうですね。結局、DXは“人”の問題が出てくるんですけど、この記事を見てくださる方に対して、そこを解決する“ヒント”はどんなものがありますかね? やっぱり、CDOなど、凄い人を取らなければダメということになりますか?

河野 いえ、そこに関しては僕なりのメッセージがあります。そもそも、CDOなどは限られていて、そんなに人数がいませんよね。松田さんにしてもGoogle Developer Expertは国内で6人しかいないと書いてありましたし。そこを取り合おうとしてもDXは進まないと思います。

三石 では、どうすればよいでしょうか。

河野 どこの会社でも、だいたい社内にデジタル系が好きな社員っているんですよ。飲食店経営企業でも、凄いデジタル好きなのに厨房で働いていますという人もいて。経営陣はその従業員の特性をちゃんと見抜いて、現場からいち早く本社に上げることです。そこで「自分の好きを生かせ、開放してくれ」と、そういうチャンスを与えるべきだと僕は思っています。

三石 なるほど。そうなってくると、そういう人を発掘していく目利きが必要で、経営判断ということですかね。

河野 そうですね。もちろん募集もするでしょうけど、そういう人って周りにそれが伝わっているケースが多いんですよ。「あいつ、デジタルオタクなんですよ」ってなったりして。その辺をきちんと補足して、白羽の矢を立ててほしいなと思います。実際に僕は何社かそういう会社を見たこともあって、本社に呼んで才能が開花したケースを知っているので、アリだと思います。

三石 そうなると、人事部も重要ですよね。

河野 重要ですね。

三石 大企業の場合は直属の上司だけでなく、人事部も適正を把握する機能があるので、そこにスポットライトを当てると。

河野 確かに、大企業だったら人事データで導き出せそうですよね。そこを狙い打ちで指名する。まだまだその企業が営んでいるコアコンピタンスから外れると評価されないことが多いですけど、やっぱり“専用のミッション”を与えることが重要で、それをクリアしたら同じように評価される環境を用意してあげることでしょうね。

三石 めちゃくちゃいいですね。

河野 やっぱり“好き”が、一番効果が上がると僕は思っています。

三石 そうですよね。そう考えると、DX人材を発掘しようとしたら、ビジネスサイドだけじゃなく人事側がそのアンテナを立てる必要がありますよね。

河野 それは間違いない。

三石 面白いですね。DXのニュースというと「俺たち人事は関係ない」となりがちですけど、じつはDXは人事がかなり関係していると。そう考えると、DearOneも人事向けの啓蒙も今後やるといいかもしれないですね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

DXへの取り組みは、適切な人材配置がポイントになる。そのため、経営層だけでなく、「人事部」も重要な役割を担っていることを認識する必要がある。

河野 それで言うと、以前紹介したアサヒさんの記事で人材を4象限に区切っているのはめちゃくちゃ参考になると思います。下の記事、改めて人事部の皆さんに見てほしいですね。

三石 確かに! 今回も勉強になりました。ありがとうございました!

―――次回の【DXニュース】で取り上げるニュースは「継続率98%のクラフトビールサブスク 客がやめないアプリ設計術」。河野さんが解説していきます。お楽しみに!

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