後払いサービスで話題のBNPL!〜需要と展望〜【DXニュース】vol.13

2022.01.25

今回のプレゼンターは、国内外のリテールテックを10年以上見続けてきた株式会社DearOne CEOの河野さん。DXニュース第13回は、『「後払い決済」が1兆円規模に 若年層が支持、EC拡大が追い風』を取り上げて解説します。それでは、はじめましょう!

PayPalに3,000億円で買収された、後払いサービスの「ペイディ」

BNPL

三石所長(当時。以下、三石) 「DXニュース」第13回です! ニュースプレゼンターは、前回に引き続き、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!

三石 今月の1本目は、『「後払い決済」が1兆円規模に 若年層が支持、EC拡大が追い風』ですね。ついに来ましたね、今話題のBNPL

河野 話題になってますよね。まずは僕なりの視点から注目ポイントをまとめましたので、ご覧ください。

後払い決済

河野 まず、BNPLとはBuy Now Pay Laterの略で、つまり「後払い」ですと。そもそも後払いなんて昔からあると思うし、クレジットカードがまさにそれじゃないですか。でも、アメリカではクレジットカードを持てない人がたくさんいるんですね。

三石 結構多いらしいですね。NTTドコモベンチャーズの飯野さんも、以前BNPLのサービスの1つ「Affirm(アファーム)」について紹介してくれたんですよ。

(編集部注・NTTドコモベンチャーズの飯野さんの記事については、こちらの記事 をチェックしてみてください!)

河野 そうなんですよ。なのでマーケットが大きくて、「クレジットカードはないけど後払いしたいよ」という人達がターゲットなんです。後払いのペイディがPayPalに3,000億で買収されましたけど、あれがどこでマネタイズしていたかというと、企業側からの手数料とかではなく、延滞料なんです。

三石 延滞料?

河野 要するに「1カ月後に払います」という後払いで決済する仕組みなんですけど、その期日に引き落とせないと延滞料、つまり利息が発生し、それがペイディの収入源だったんです。

三石 怖いですね!

河野 怖いですよね! しかも、ユーザーからのクレームが半端ないらしいんですね。だから、ペイディ側も事業運営上どうなの?というとこがあったらしいんですよね。実際に要職の人も何人も抜けちゃうみたいなこともあったらしく、IPOができないかもしれないという危機感を感じたそうで。

三石 なるほど、その時にPayPalという救世主が現れたわけですね。

分割払いでも「利息/手数料なし」!?

オンライン決済

河野 そうなんです。かつて、アメリカで起きていたBNPLというのはそういう市場だったんですね。その市場がメルペイスマート払いやSmartpayなどが出てきて、さらに深まっていっています。Smartpayというのは、通常クレジットカードで分割払いにすると、分割の手数料や利息がかかるところを、それらが一切なしで分割できるというものです。

三石 それ、もうメリットしかないじゃないですか!

河野 そうなんです。僕も最初は「後払いって何だ?」と思ったんですけど、20万円のソファも1回払いでは買えないけど、3回の利息手数料なしの分割払いなら買えるという人が出てきますよね。そうすると、アメリカのデータではコンバージョンで20%以上アップするらしいです。かつ、ちょっと高いものを買えちゃうわけだから購買単価も上がって、単価が30~50%アップしていると。なので、企業側にもかなりメリットがあるそうですよ。

三石 素朴な疑問としては、クレジットカードのビジネスモデルのお家芸を奪いにいっているわけじゃないですか。

河野 そうですね。

三石 それで手数料の収入もなしとなると、彼らにとってはホラーだと思うんですよ。「そのビジネスモデルで成立するの?」という話になるじゃないですか。

河野 ええ。ただ、企業側に転嫁しているんです。まず前提として、BNPLで先行したペイディなどは「クレジットカードを持てない人」がターゲットだったわけですが、Smartpayは「クレジットカードを持っている人」がターゲットなんですね。だから、国民の60%がクレジットカードを持っていると言われる日本にも、こんなにも早期に進出しているわけです。

三石 日本とアメリカでは、ターゲットが全く違うんですね。

河野 そうです。そして、クレジットカードを多くの人が持っている日本でなぜSmartpayが使われるかというと「分割手数料や手間がないから」です。核心のビジネスモデルは、クレジットカードの企業側の手数料がだいたい3.5%ぐらいで、そこに2%乗せるらしいです。

三石 え、5.5を売り主に? どういうことですか?

河野 たとえば家具のニトリのECサイトで顧客がクレジットで決済すると、ニトリ側がクレジット手数料3.5%をVISAなどに払いますよね。Smartpayを利用した場合は、さらに2%の手数料がかかります。

三石 そうなるとニトリはSmartpayを後ろに隠したいわけですよね。クレジットのほうが手数料を抜かれないから、できる限りクレジットにしたいと。でも、先ほどの話にあった通り、Smartpayを前に出したほうがトータルの売り上げが増えるということですか?

河野 その通りです。先ほどの話で、「コンバージョン20%増、単価が30%増」するわけですから。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

売り手側は顧客がSmartpayを利用すると手数料がクレジットカードにさらに上乗せされるため負担が増えるが、それでもトータルの売上は伸びる可能性がある。

Shopifyへの導入が決定したSmartpay

三石 なるほど。日本の飲食店ではまだ「現金しかダメ」というところがたくさんあるじゃないですか。あれってクレジットの手数料を抜かれたくないから顧客に不便を強いていながら続けているわけですよね。

河野 そうですね。

三石 そこの日本独特のケチくささというか、金銭に敏感なところのハードルを越えるかどうかがポイントですね。

河野 全くその通りです。Smartpayに転職した我らの友人の大坪直哉さんとも話したとところ、そこが「課題」とおっしゃっていました。だから、コンバージョンや購買単価がアップするという点をいかにちゃんと証明して導入するかというところですね。

三石 なるほど。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

手数料に敏感な日本の飲食店などにも導入するためには超えるべきハードルがあり、コンバージョンや購買単価がアップすることを証明する必要がある。

河野 でも、僕は後払いの需要は本当にあるなと思いました。最近、うちの社員が新しいダウンジャケットを買ったんですけど、15万円ですよ。凄いじゃないですか。それを一括で買えない人は世の中にたぶんたくさんいて、でも、5万円×3回で、手数料と利息なしだったら、ちゃんと働いてていれば買える人もいますよね。だから「今まで買えなかった人が買う」という世界はあると思います。

三石 そうですね。僕が思ったのは、中間で代理業は利率が少ないけど、自社で製造と販売をやっているユニクロさんなどは利益率がいいと思うので、そういうところは後払いを導入しやすいでしょうね。

河野 本当にそうだと思います。なので、彼らのSmartpayの戦略としてはプラットフォーマーと組んだほうが話は早くて、実際にShopifyともう連携が決まったらしいです。だからShopifyのお店はSmartpayの分割が使えるという。

三石 これは来ましたね! Shopifyに行っちゃったらやばいですね。素晴らしい、先駆けてるなあ。

河野 そうなんですよ。もうちょっと深掘りした情報としては、分割ができると犯罪の温床にもなるという事例があるらしくて、たとえば高額の家電を買って分割にして、1回目だけ払って転売しちゃって、後は払わないという。そうすると3分の1の価格で転売しちゃって大儲けできるから。

三石 やばいですね。

河野 ただ、もちろんクレジットカードがひも付くので二度とできないんですけど。現在はペイディのセキュリティ担当だった人がSmartpayに転職しているらしくて、やっぱりまだそういう課題は残っているらしいです。だから家電やアパレルなどの転売しやすいものは慎重にならなきゃいけないですね。

三石 それ、めちゃくちゃ面白いですね。そういう犯罪行為はもちろんNGですが、正当な転売はしやすくなるかもしれませんね。今、若い世代はメルカリが当たり前で、1回買ったらずっと自分のものではなく、所有したい期間が終わったら売るというサイクルになってますよね。

河野 そうですよね。

三石 つまり、今は商品を個人が販売するハードルが低くなっているから、若者も後払いを使いやすいと思いました。

河野 その通りですね。後で売ればいいとわかれば、手を出しやすくなりますよね。

三石 「せどり」ができますね。限定の高額なスニーカーを普通の若者は買えないけれど、このBNPLで正当に買ってすぐに売る子は出てくるでしょうね。そうすると、利ざやで稼げるかもしれない。そういう人がたくさん出てきそうですね。面白い。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

BNPLを使って「せどり」をして、稼ぐ若者がたくさん出てくるかもしれない。

河野 今回はたまたまSmartpayの大坪さんとお会いできたから深掘りできました。

三石 本当ですね。ありがとうございます、勉強になりました!

―――次回の【DXニュース】で取り上げるニュースは「知ってた? 自販機70万台からデータ収集、“選んでいる時間”も計測 コカ・コーラ ボトラーズジャパンがもはや“テック企業”だった」。河野さんが解説していきます。お楽しみに!

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