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三重県のローカルスーパー「スーパーサンシ」のDX戦略!【DXニュース】vol.12

2021.12.27

今回取り上げるニュースは、「EC売上比率は2割!会員制の導入とアプリでネットスーパーを黒字化、高収益化したスーパーサンシのDX戦略」を取り上げます。それでは、はじめましょう!

ローカルスーパーがネットスーパーで勝つために押さえるべき「4つのポイント」

三石所長(当時。以下、三石) 「DXニュース」第12回です! ニュースプレゼンターは、前回に引き続き、リテールテックを10年以上見続けてきたCEOの河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野) よろしくお願いします!

三石 今月のラスト3本目は、「EC売上比率は2割!会員制の導入とアプリでネットスーパーを黒字化、高収益化したスーパーサンシのDX戦略」ですね!

河野 はい、この記事はちょっと面白いです。三重県で食品スーパーを13店舗展開する、スーパーサンシという会社で、1975年から宅配事業をはじめたそうです。相当早いですよね。その頃からECに着手した、ネットスーパーのパイオニアの会社です。

三石 へー、初めて聞きました!

河野 まずは僕なりの視点から注目ポイントをまとめましたので、ご覧ください。

「スーパーサンシのDX戦略」注目ポイント

河野 今回は記事に出てくる、スーパーサンシ常務取締役・高倉照和さんのお話がとても面白かったのでピックアップしました。ローカルスーパーがネットスーパーを黒字化して高収益を上げるためにはオセロゲームで言う“四隅”を押さえないといけない、ということで、4つのポイントを挙げています。

三石 4つのポイント、気になりますね。

河野 1つ目は「自社配送」を挙げています。ネットスーパーは売れれば売れるほど配送コストがかさむビジネスなので、これをいかに下げるかが利益を生む最大のポイントだと。言われれば当たり前なんですけど、とても説得力がありました。外部委託しちゃうと必ず赤字になるそうです。

三石 言い切ってますねー。

河野 はい、自社で配送網を築く必要があると。この記事を見ると「人力か!」とツッコみたくなるところもあるんですが、注文から箱詰め、配送まで5時間で行い、専用トラックで1日50件配送しているそうです。

三石 なるほど。

河野 2つ目は「会員制」の導入を挙げられています。サンシの宅配サービスは2つあり、その都度利用できる単発コースと、利用し放題の月額制のコースが用意されているのです。単発コースで月に複数回購入すると、その度に送料がかかります。
一方、月額制に加入すれば、何度宅配サービスを利用しても送料は変わりません。つまり、たくさん利用した方がお買い得になるので、結果的に買い物の頻度も上がるということでした。​

三石 確かに、何回買っても送料が固定なら頻繁に使うようになりますよね。

スーパーが顧客の家に鍵付きロッカーを設置

河野 3つ目が衝撃だったんですけど、会員宅への「鍵付きロッカーの設置」。今はどの物流業者も再配達のコストが大変と言いますが、ロッカーによってそれがなくなると。さらに1件あたりの配送時間が手渡しよりも短く、効率的で、ロッカーを設置すると競合に乗り換えることがまずないそうです。だから「ネットスーパーは『先取り総取り』が大事」と言っています。

三石 なるほど。スーパーはいろいろあっても、ロッカーに配送してくれるとなったら確かにずっと使いますよね。その発想が面白いですね。

河野 そうですよね。そして、最後の4つ目は「スマホアプリの自社開発」です。これは記事を読むと、我々の「ModuleApps」のようなサービスでもいいのかなと思いました。要は、現場の声を元に商品PR、コンテンツ、デザインを更新すると。具体的には、よく買う商品が検索結果の上位に表示されるとか、1人1人に合ったUIの変更などですね。三重県で13店舗だけど、ここまでやっているのがかなり進んでいらっしゃるなと。

三石 素晴らしいですね。やっぱり、こちらの取締役の方のように、熱狂的なDXの旗振りがいるんですね。

河野 そうなんですよ。本当にそれがポイントだなと思いました、高倉さんが推奨されて、旗振りとしてドライブしているなと。やっぱり強烈なリーダーがいるんですよね。

三石 なるほど。やっぱり強いDXをちゃんと進めている人は丸投げじゃなく、自社の中でヘッドがちゃんと仕切ってますね。以前、僕がGrowth Summit 2021で対談したゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)のCIO/CMOの志賀智之さんも熱狂的にやり抜いているから、会社に根付いて、業界の先に行っていると思いましたしね。DXをそれぞれのテリトリーで進めるためには、リーダーシップが重要だなと改めて感じましたね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

DXを推進している企業は、経営陣が現場に丸投げではなく、強烈なリーダーシップを発揮するヘッドがいる。

配送業界は正攻法や方程式が確立されていない

三石 1つめのポイントの「自社配送」がめちゃくちゃ興味深いです。今、スタートアップでもここのラストワンマイルのスタートアップが出てきていますね。

僕の知り合いでダブルフロンティアという会社のスタートアップが、最初はスーパーのライフさんの配達に特化してやっていて。今、地方のスーパーに行脚しはじめているんですよ。これは自社でやるよりも、地域密着型お買い物代行サービス「ツイデイ」に任せちゃったほうがいいと。

三石 こういう業務分解をして外部委託しているケースに対して、サンシの高倉さんの「配送は自社でやらないと赤字だよ」というのを読むと、配送の世界はまだまだ正攻法や方程式が確立されていない状態なんだなと思いました。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

配送業界の正攻法や方程式はまだ確立されておらず、さまざまな試行錯誤が行われている。

河野 まさに、その狭間で、正解がないからこれが記事になっていたんですよね。都心と違って、三重県にはおそらくそういう配送を請け負ってくれる会社がないから自社でやるけど大手の配送を使ってたら赤字だよ、というメッセージですよね。

三石 今後は「配送はドローンで」という話が出てくるじゃないですか。ドローンで空飛ぶ配送みたいなところはエリア的に、山梨県の小菅村 とか、何カ所かではじまっていますよね。三重県とか地方の人手不足、効率性を考えたときにドローンじゃないかと思っていて。

河野 もしかしたらサンシの高倉さん、狙っている可能性ありますね。

スペースの活用で、新たなビジネスが生まれる

三石 鍵付きロッカーもやり抜いてますよね。こんなことは普通、スーパーのテリトリーじゃありませんよ。ヤマトのPUDOとか、ロッカーが流行ってきていますよね。僕は最近、メルカリでいらなくなったものを売っているんですけど、発送するときは近所のスーパーライフにあるPUDOに行って、QRコードをかざすだけでロッカーに預けることができて、集荷してくれるんですよ。

三石 これは逆も然りで、スーパーで買ったものがそこに収納されるピックアップの拠点にもなるので、スペースの活用としていろいろなバリエーションが出てきていますね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

今後はスペースの活用として、鍵付きロッカーのようなビジネスが次々に生まれる。

河野 伝票を書かずにスマホのQRだけで使えるのは便利ですね。

三石 最近、新築で建てられる戸建てはポストではなく鍵付きのロッカーにしているところが多いですよね。それをサンシさんが代わりにやっているのは凄い話です。ヤクルトとか、昔はポストみたいなものあったじゃないですか。その発想ですよね。

河野 あれですね、まさに。それを設置してしまえば、競合他社に乗り換えることはないと。「先取り総取り」だからこその戦略を取った、というところが頭いいですね。

三石 装置ビジネスですね。セコムも一回入れると、よほどのことがない限り、アルソックに変えないと思うんですよ。装置って強いですよね。今回も面白いニュースでした、ありがとうございました!

―――次回の【DXニュース】でも、河野さんが最新のニュースを取り上げ、解説してくれます。お楽しみに!

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