インターネットが一般的となった社会では、サイト上の顧客データを収集することで大きな成果を出しやすくなります。特に認知拡大です。集客、コンバージョンへと繋がるWeb広告は、売上増大の大きな役割を担っていると言っても過言ではないでしょう。
しかし実際には、それぞれの広告がコンバージョンへどの程度貢献をしているのかを把握しなければ、そこから改善を施すことは困難です。
今回の記事では、コンバージョンに至るまでにクリックされた広告の貢献度をデータに基づいて判断する、データドリブンアトリビューション(DDA)について紹介します。
データドリブンアトリビューションは、デジタルの発展に伴い購入経路が複雑化した社会で必要な考え方ですので、ぜひ参考にしてみてください。
データドリブンアトリビューションとは
データドリブンアトリビューションとは、「データドリブン」と「アトリビューション」を合わせた言葉です。データドリブンとは「データ分析結果に基づいて意思決定を行う業務プロセス」のことを指しています。情報化社会において、顧客が情報に触れる機会が増え、ニーズが多様化したことでデータに基づいた客観的な分析・判断・意思決定、すなわちデータドリブンが必要となったのです。
データドリブンについては「データドリブンとは?データドリブンマーケティングとは?」の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
アトリビューションとはWebサイトで商品購入や、問い合わせ、予約などのコンバージョン(成果)に至るまでのプロセスの中で、どのクリックが最もコンバージョンに貢献したのかを評価する枠組みのことです。Webサイトでコンバージョンを計測する際、コンバージョン前の最後に行われたクリック(ラストクリック)だけが評価される傾向にあります。しかし実際には、コンバージョンに至るまでにいくつもクリックされていることがほとんどですので、最初にクリックされたもの、途中でクリックされたもの、全てのクリックがあってコンバージョンに至っているため、それらを正当に評価しようというものです。
データドリブンアトリビューション(DDA)では、顧客がコンバージョンに至ったプロセスに基づいて、貢献度を割り当てます。これまでに蓄積された顧客データを活用し、どのキーワード、広告、キャンペーンがコンバージョンに貢献しているのかを分析し、最も貢献度の高かったのかを判断します。
例えば、マーケティングツールの導入を検討している人が「マーケティングツールおすすめ」「MAおすすめ」「〇〇(特定の商品名)」で検索を行い、最終的には最後の「〇〇(特定の商品名)」で広告をクリックし、導入を決定したとします。この時、ラストクリックモデルを利用していると「〇〇(特定の商品名)」というキーワードに貢献度が振り分けられ、ファーストクリックモデルを利用していると「マーケティングツールおすすめ」に貢献度が振り分けられます。
しかし実際には、「MAおすすめ」で導入することを決め、本プロダクトページからサービスを利用するために商品名で検索をした場合、「MAおすすめ」の方がコンバージョンに貢献している可能性があるのです。このようなファーストでもラストでもない中間地点での貢献度も正当に計測するためには、過去の検索ワードも分析の対象としているデータドリブンアトリビューションが必要となります。
テンポラリーアトリビューションとの違い
よくデータドリブンアトリビューションと混同される「テンポラリーアトリビューション」というものがあります。テンポラリーアトリビューションは時間の制約がある、短期間に実施されるキャンペーンのアトリビューションのモデルです。
アトリビューションを活用する期間をカスタマイズできるため、期間限定の広告、キャンペーンなど主にリターゲティングを行う際のパフォーマンスを計測することができます。
Google AdWordsアトリビューションモデル
Googleが提供するAdWordsではデータドリブンアトリビューションを含む、下記6つのアトリビューションモデルを使用することができます。
・ラストクリックアトリビューション
コンバージョン経路で最後にクリックされた広告・キーワードだけに貢献度が割り当てられます。
・ファーストクリックアトリビューション
コンバージョン経路で最初にクリックされた広告・キーワードにだけ貢献度が割り当てられます。
・線形アトリビューション
コンバージョン経路で発生したクリック全てに均等に貢献度を割り当てられます。
・減衰アトリビューション
コンバージョンまでの時間が短いクリックほど多くの貢献度が割り当てられます。
・接点アトリビューション
コンバージョン経路のラストクリックとファーストクリックに40%ずつ割り当てられ、残りの20%をそれ以外の広告・キーワードに対して均等に貢献度が割り当てます。
・データドリブンアトリビューション
コンバージョンアクションの過去のデータ分析結果に基づいて、正当に貢献度が割り当てられます。
上記6つのアトリビューションの中でも、機械学習を用い、過去の大量に蓄積されたデータ分析によって貢献度が割り当てられるデータドリブンアトリビューションが推奨されています。
データドリブンアトリビューションの仕組み
データドリブンアトリビューションは、広告主のコンバージョンデータを利用して、コンバージョンに至る全体のプロセスにおける、各広告、キャンペーンなどに具体的な貢献度を割り振ります。
分析することでコンバージョンに至った経路、至らなかった経路を理解することができます。コンバージョンに至るパターンがわかれば広告の戦略にも役立てることが可能で、さらに大きな成果を上げられるようになるでしょう。
先程の例であれば、実際の貢献度は中間クリックの「MAおすすめ」が最も高いにも関わらず、ラストクリックを利用していれば「直接商品名を検索して導入を決めてくれた」となってしまい、この広告に注力してしまいます。しかし、実際にはそのクリックはそこまで貢献度が高くなく、どれだけ改善を試みても大きな成果には繋がりにくい、無駄な努力に終わってしまうということが起こるのです。
データドリブンアトリビューションに必要なデータ量
データドリブンアトリビューションでは貢献度を正確に割り出すために過去のデータを含めて分析をするため、ある一定以上のデータ量が必要です。利用するためには、一般的な目安として、過去30日間でGoogle検索において15,000回以上クリックされていることが必須となります。
さらに、各コンバージョンに600回以上のコンバージョンが必要です。
データドリブンアトリビューションを利用するために必要最小限なデータ量が集まると、Google広告で表示されるようになります。十分なデータ量が集まるまでは、選択肢として表示されない仕組みとなっています。
また、データドリブンアトリビューションを利用中でも、過去30日以内のクリックが10,000回未満、もしくは各コンバージョン数が400回未満になると、警告が表示され、その後も必要最小限なデータ量に達しなければ、データドリブンアトリビューションを継続利用できなくなるので注意が必要です。
データドリブンアトリビューションのメリット
データドリブンアトリビューションを活用することのメリットは主に以下の3つです。
・成約率の高いキーワード、広告、キャンペーンの把握
・データに基づいて分析することで入札単価が最適化が可能
・複数のデバイス間でのデータ分析が可能
成約率の高いキーワード、広告、キャンペーンの把握
ラストクリックアトリビューションであれば最後にクリックされた広告やキーワードに、ファーストクリックアトリビューションであれば最初にクリックされた広告やキーワードに貢献度が振り分けられますが、実際にはどれも正確な貢献度は測ることはできません。しかしデータドリブンアトリビューションでは、機械学習を活用してデータを分析するため、それが可能となり、貢献度の高いキーワードや広告を把握することで、ビジネスをさらに大きくするための戦略を考えることができます。
データに基づいて分析することで入札単価の最適化が可能
データドリブンアトリビューションでは、客観的な判断素材となるデータに基づいて分析をしていることで、広告の入札単価を最適化することができます。
複数のデバイス間でのデータ分析が可能
インターネットの普及によって顧客は複数のデバイスで製品やサービス・企業に到達するようになりました。そのため企業側はさまざまなデバイスでタッチポイントを作ることが重要です。データドリブンアトリビューションでは、デバイスをまたいだ計測が可能で、例えばラストクリックがパソコン上でも、その前にスマートフォン上でタッチポイントが介在していれば、正当に評価され貢献度が振り分けられます。
まとめ
データドリブンアトリビューションとは、データの分析結果を基にビジネスの意思決定を行う業務プロセスの「データドリブン」と、コンバージョンに至る中で最も貢献度の高いクリックを測るための枠組み「アトリビューション」を合わせた言葉です。
データドリブンアトリビューションは顧客行動に即した分析が可能で、今後ますます顧客の購入経路が複雑となる現代において必要な考え方となっています。