グロースマーケティングの施策実行に、なくてはならないのがエンゲージメントツール。
今回はBrazeさんに具体的な活用事例などをお伺いしました。
ユーザーとのコミュニケーションはどのように行うとよいのでしょうか
コミュニケーションの具体的な方法を説明します。例えばモバイルに対するコミュニケーションの手法には、いくつかの王道のパターンがあります。
1つ目はプッシュ通知。よくメディア系サイトなどがニュースを送ってきますね。画面上に大きく表示されるものです。これは一番ユーザーに対して強いインパクトを与えるコミュニケーションで、かつ、印象も強いものです。ただ、一方で、頻度が高過ぎるとユーザーは不快に感じる場合があります。不快に感じた方は通知をオフにしてしまうので、そこでコミュケーションが遮断されてしまいます。したがって、この方法は重要なエンゲージメントを今すぐ取りたいという瞬間にしか使いません。
2つ目にアプリ内メッセージがあります。アプリを立ち上げたら、「あなたに50ポイントのクーポンプレゼント」という方法で、ソフトに通知を送る形式です。
3つ目は、SMSやEメールを使用する方法です。Eメールは一方的で、とりあえず送りました見てくださいね、という方法。SMSはリアルタイム性はあるけれども、インタラクティブではないので、いわば送りっぱなしの方法です。
Brazeは、過去の経験をもとに、何のチャネルを、どのタイミングで使ったらよいかといったことを皆さんに情報提供することが可能です。
我々の一番の強みは、各種SDKを自前で開発し提供していることです。先ほどのフィードバックループで蓄積できるのもこのSDKが非常に強力だからです。SDKを通じて配信されたメッセージ結果が、SDKを通じてBraze内に戻るのです。エンゲージメントの結果をもとにお客様のプロファイルが常に、今のライブ (旬な) 状態にアップデートされることよりよいエンゲージメントを行う上ので非常に重要な情報の源泉となります。
真の「カスタマーエンゲージメントプラットフォーム(CEP)」とは
Brazeは、MA(マーケティングオートメーション)と何が違うの、と聞かれることがあります。我々は、企業のグロース戦略を支え、新たな価値体験の創造と収益の向上の推進支援するCEPです。
顧客エンゲージメントに優れた企業は、顧客生涯価値が高く、顧客獲得コストが低いため、長期的で資本効率の高いビジネスの成長を実現します。企業は、プライバシーを尊重しながら、あらゆるチャネルを駆使し、顧客に貴重なメッセージングエクスペリエンスを提供することにより、効果的な顧客エンゲージメントを実践しています。前項でご紹介した事例からもご理解いただけるかと思いますが、過去ではなく、今、リアルの顧客データを活用した顧客エンゲージメントテクノロジーを使用して、顧客の状況を理解し解釈し、迅速かつ効果的にアクションされています。これが私たちの考える顧客エンゲージメントです。
私たちはエンゲージメント構築を大前提として企業の収益をグロースにつなげていきたいと考えています。そのために、まさにこの瞬間のライブペルソナをちゃんと理解して、心地いいエンゲージメントを行っていくことで収益が自動的に還流してくる仕組みをつくっていくことが大事だと思うのです。
Braze自体は、もちろんテクノロジーは持っていますが、それだけにとどまらず、グロースマーケターの育成講座、またそれを支える企業様とのコラボレーション、なども今後取り組みとして考えています。それが実現すれば、マーケターさん自体の地位の向上にもなりますし、一方、消費者はブランドとの接点をさらに潤沢に持つことができるようになるので、新しい価値体験を得ることができると思っています。
今後、Brazeとしてやりたいことは何ですか
Brazeが目指すのは、繰り返しになりますが、「ブランドと人をBraze(融合)する」ということです。つまり、企業のグロース戦略を強力に後押しする、新たな価値体験の創造と収益の向上に貢献することです。リアルタイム性を担保した統合型CEPによって、いままで何が売れたのかという過去のデータ分析によるペルソナでは無く、顧客の“いま”という一瞬(モーメント)を捉えて、どのような価値体験を提供すればよいか、どのようなサービスを提供すべきか、というリアル志向型のエンゲージメントの推進に努めたいです。
新しい生活様式が求められる中、ビジネスも変化しています。例えば、対面の価値が激変しました。すでに多くのブランドがデジタルと実店舗の区別をしない対面の融合を重視した、新しいデジタル化の推進が急速に進んでいます。 そのため、今後は、俊敏かつパーソナライズされたメッセージを最適なチャネルで届ける ことがより求められるようになるでしょう。その人が置かれている状況や場所に応じて、心に響かせるメッセージを瞬時に送らなくてはなりません。
従来は、対面による接客で実現していた質の高いコミュニケーション。そのためにはリアルタイム性を担保することが不可欠で、統計データや位置情報などのリアルタイムデータを掛け合わせ、高速処理が可能なストリーム・プロセッシング技術を駆使する必要があります。企業は、瞬時に分析と起こすべきアクションを判断できるCEPを選ぶことがポイントになると思います。消費者にどのようなカスタマージャーニーを歩んでもらい、ブランドに対するエンゲージメントを高めてもらうかは、各ブランドのもつ営業のノウハウなどを組み合わせて最適な施策を打つ必要があります。
そのためには、マーケターの方だけでなく営業、インサイドセールス、カスタマーサクセス 、コンタクトセンター 、エンジニア、商品開発のご担当者など、分野を超えて同じ目標を持つ『グロースチーム』のように連携する事が効果的だと考えます。
「グロースチーム」とは、横断型組織やバーチャル部門横断チームのようなイメージです。縦割り型は、商品企画、マーケティング、製造、カスタマーサポートと部署が分かれているため、顧客のペルソナも部署の数だけ存在することもあるでしょう。それを防ぐため懸命にデータを分析して施策を練ろうとしても、タイムラグがどうしても発生してしまいます。組織変革せずとも、まずは、バーチャルなグロースチームとして、違う部署が同じ目標を持ち、顧客中心に敏速にアクションすることも意義があると考えます。
また、まだ構想段階ですが、テクノロジーとグロース戦略を軸にしたグロースマーケターの人材育成に貢献できればと思っております。
Braze株式会社
代表取締役社長 菊地 真之氏
15年以上、エンタープライズビジネスアプリケーション分野にてデジタルトランスフォーメーション支援と事業収益の拡大に尽力。2008年にSAPジャパンに入社し事業開発部門を経て、通信・メディア営業本部、戦略顧客営業本部にて営業担当として従事。2014年よりアドビにて、デジタルエクスペリエンス事業本部にて戦略顧客部門の本部長として日本企業のDX推進を支援。2018年からワークデイにて執行役員 営業統括を務めた後、2020年11月よりBraze日本法人代表に就任。
2回に渡って行われた、Brazeさんのインタビューいかがでしたか?グロースマーケティングに欠かせない最先端のエンゲージメントツールを、今後も色々と編集部がご紹介していきます。お楽しみに!