• トップ
  • ナレッジ
  • フェムテック関連やマイルズなどヘルスケアアプリについて【アプリ研究会】vol.5

フェムテック関連やマイルズなどヘルスケアアプリについて【アプリ研究会】vol.5

2022.01.13

第5回のテーマは「ヘルスケアアプリ」。ニーズが高まっている現在の状況を把握するとともに、今後の展望を予測します。

アプリ研究会

アクティブ数の平均値が激増しているヘルスケアアプリ

三石 あけましておめでとうございます! 今回のテーマは「ヘルスケアのアプリ」ですね。まずはいつも通り、森田くんが僕たちDearOneのアプリ分析市場サービス「SmaRepo」をもとにまとめてくれた資料の報告からお願いします。

SmaRepo

森田 はい、今回もいろいろと調べてきました!

三石 ヘルスケア関連のアプリと言っても、いろいろな種類があるよね?

森田 健康関連のアプリで考えると、種類は大きく分けて3つに分かれますね。Google FitやFiNCなどが有名な「健康全般管理系」。そして、走った距離などを記録する「歩数管理系」。これはナイキやアディダスなどスポーツブランドが運営しているものが有名ですね。
最後に、体重計などと連動している「機器連携系」です。これらのアプリを調べたところ、次の3点がわかりました。

三石 3点、お願いします。

アプリ研究会2

森田 1点目は、コロナ禍ということもあってか、ヘルスケア関連アプリのアクティブ数が平均で見ても右肩上がりになっていました。2点目は、食事管理系やランニング系のアプリは1か月あたりの利用回数が他のアプリと比べて多いことが目立ちました。最後に3点目は、「機器連携系」アプリが朝一での利用率がアップしていました。

健康関連アプリのMAU推移

三石 上はMAU(Monthly Active Users/月間アクティブユーザー数)の平均値ですね(※12アプリを対象に算出)。2年近くで、こんなに伸びているんだ。

森田 はい、2019年12月時点ではアクティブ数が約37万でしたが、21年10月は約52万にまで伸びています。特に「歩数管理系」の起動回数が多くて、月に複数回利用する人が多い傾向がわかりました。

小笠原 僕も以前はナイキのアプリを使っていました。でも、課金したほうが集中すると思って、今は年間4,280円(税込)のASICS Runkeeper Go™を使っています。ナイキも課金するトレーナープログラムがありますけど、ちょっと僕には合わなくて。

森田 歩数管理系のアプリでは、スギ薬局のスギサポwalkの継続の割合がダントツで高かったですね。他のアプリは30%台がほとんどでしたが、なんとスギサポwalkの継続率は68%。利用方法が違うとはいえ、飛びぬけていました。

細川 毎月、SmaRepoを見ていると、スギ薬局のオウンドアプリの継続率が異常に高いんですよね。ドラッグストア全体の継続率が高い中でも、とくにスギ薬局は目立っています。おそらくですが、運用面で不定期に割引率の高いクーポン配信(15%offクーポンなど)が配信されていることが一つの要因になっているのではないでしょうか。またお得なクーポン配信に加え、これまた日常的に使える「スギサポwalk」の取り組みが、MAUに寄与している可能性もあるのではないかと僕は考えています。

三石 我が社DearOneでも、細川さんが中心となってドラッグストアのアプリをたくさん担当していますよね。全部でいくつぐらい担当したか覚えてる?

細川 17個ぐらいですね。

三石 すごい!「ドラッグストアアプリといえばDearOne」という状況ですね。

注目を集める「フェムテック」の領域

三石 ヘルスケアは領域が広いですよね。森田くんが共有してくれた「健康管理系」の他に、フィットネスクラブが利用促進のためにつくるアプリもあって。

細川 僕は1か月前からジョイフィットというジムに通い出したんですけど、そこもアプリがあるんですね。

三石 使い心地はどうですか?

細川 「前回は何のメニューをやったかな?」と忘れてしまうことがよくあるのですが、その日にやったメニューを入力できて、週単位で累計されたデータが出るので、そこはいいですね。入口にあるQRコードをアプリで読むとロックが解除されて、入退場が記録されているので、リアルタイムで「今、ジムに何人いるか」がわかります。コロナの観点からもつくり込まれている印象です。

アプリ研究会3

三石 なるほど。ちなみに、日本とアメリカでフィットネス産業に対してどれだけの人がお金を払っているかを調べたデータによると、アメリカは20%に対して日本は3%台だそうです。日本のフィットネスはまだまだ伸びしろがありそうですよね。

細川 そう思います。

三石 ヘルスケア領域は他にも、病気を予防するためのアプリ、さらに最近は“Female(女性)”と“Technology”を掛け合わせて生まれた、女性特有の健康課題を解消する「Femtech(フェムテック)」系のアプリもあります。

小嶋 「フェムテック」って、最近よく聞きますね。

三石 フェムテックはスタートアップでいろいろ出てきていて、前澤友作さんの前澤ファンドが出資したmederi株式会社 CEOの坂梨亜里咲さんは資金調達でスポットライトを浴びています。

ササキ フェムテック系だと、生理日予測などの健康管理アプリ「ルナルナは」は多くの女性が使っていますね。

松本 他には、基礎体温を測る体温計と連動しているアプリが多いと聞きます。昔は毎日測って紙に書いていたのが今はアプリになっていて、私もアプリに体温計の音を聞かせると音で体温を検知して、日記に自動で記録するのを見たことがあります。不便だったものが便利になって、続かないものをいかに続かせるかがフェムテックには生かされているんじゃないかと思います。

アプリ研究会3

伸びしろが大きいヘルスケアアプリの領域

小嶋 病気を事前に防ぐ予防診断に関する市場って、めちゃくちゃ伸びているんですよね。コロナの影響、ウェアラブルの進化など、いくつか要因はあって、2027年で13兆円規模になると言われています。

濱田 デジタルヘルスケアの市場がそもそもなぜこんなに注目されているのかというと、新たに薬を1つ開発するにはトータルで数千億円かかると言われているなかで、2010年頃から医療業界でつくられるようになったデジタルアプリの開発費用は数億円のレベルで、費用対効果を見たときにアプリはコストが安くて効果が高いとわかったからです。業界全体で盛り上がっている背景があります。

アプリ研究会4

三石 さらにこれから日本は高齢化していくから伸びしろもありますよね。たとえばAppleもデバイスはユーザー数の限界が来ているから、健康の領域をポテンシャルの宝庫と捉えて、そっちを攻めていたり。

小嶋 GAFAがこの領域を取っちゃうんじゃないか問題はありますよね。アップルウォッチなどウェアラブルを今はみんな何かしらつけていると思うんですけど、そこで取得した心拍数などのデータをもとに予防医療に役立てられますから。他にも、中国のグッドドクターは保険会社ですけど、トータルで顧客のエンゲージメントを獲得しています。

赤木 グッドドクターは近年ヒットしたビジネス書『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』(日経BP社)でも取り上げられていますね。ものすごい顧客体験を意識した事例でした。1人ひとり、いろいろな側面から行動解析して、営業とユーザーのやり取り、全てがデータドリブンになっていて、圧倒的なパーソナライズを実施していました。一番進んでいる事例だと思います。

小嶋 ウェアラブル、僕はアップルウォッチを使っていたんですけど、充電がすぐに切れてしまうので断念しました。今使っているのは、5千円ほどで買えて充電は1週間に1回でいいシャオミの「Miスマートバンド」。睡眠データを全部取ってくれて、レム睡眠/ノンレム睡眠を可視化して、深い睡眠が足りなかったなどがわかるから、何が原因か考えて改善することができるんです。

赤木 僕もアップルウォッチやめました。何となくiPhoneをやめてアンドロイドにしたかったから。ただ、アップルウォッチを使っていたときは結構走っていましたね。

三石 僕は今もアップルウォッチ使っています。走るのが好きだから使っているのと、「あと少しです、がんばって」などのアテンションがあるし、心拍数もとってくれるから。

歩数系管理アプリで注目のMilesと位置情報の話

三石 歩数管理系でいうと、最近話題になっている、移動でポイントが貯まる「Miles(マイルズ)」を使っている人はいますか? 日経トレンディの「2022年ヒット予測ランキング」でも、1位を取ったことで最近話題になりましたね。

濱田 休日にたくさん歩くのでインストールしたんですけど、常時、位置情報をオンにしないといけないから、スマホのバッテリーが先に切れそうになるんですよね。バッテリー的に厳しかったです。

小嶋 位置情報、電池消耗問題は昔からDearOneも常に戦ってきましたね。お店の前に来たらクーポンが届くという体験を提供するために、ユーザーは常に位置情報を提供し続けて、電池を消費して。でも、今はその波が去って、「GPSで常時捕捉するのは違うよね」という流れになってきていると思います。

三石 そこは諦めたということ? OSがよくなって電池が減らないのかと思っていました。

濱田 むしろOS側の制限が強くなっていて、許諾というよりも仕組み的にやりづらくなっていますね。昔が簡単だったわけではありませんが。

河野 GPSで位置情報を常時捕捉するのって、いつも何かしら課題がつきまとうんですよ。ユーザーにしたら位置情報を伝える行為ってリスクがあることだから、リターンがないと使いません。マイルズは、ポイント付与でそこをクリアしました。OSがよくなってもバッテリーは減るから、位置情報系のアプリを普及させるのは難しいんですけど、マイルズはそれをマーケティングで成功させているのが凄いですよね。経営陣も著名な方を配置して、ブランディングもして。

河野恭久

ササキ 同じようなサービスがANAからも出ますよね。ほぼマイルズと同じ仕組みで。

河野 「ANA Pocket」ね。日経トレンドではマイルズと同じ系統のアプリとして分類されていました。マイルズは「あなたが歩いてくれたからCO2が削減できた」のように、良いことをした気分になるメッセージが来るところもいいですよね。SNSでは多くの人が「何歩歩いた」と投稿していて、うまいなと思います。

三石 マイルズは「何マイル貯まった」とプッシュがこまめに来ますよね。そのアテンションもいいですよね。

 ――次回の第6回でも、引き続き「ヘルスケアアプリ」をテーマに掘り下げていきます!

ナレッジランキング

Recommended