Netflixの良さは「学習回数」に秘密がある?【アプリ研究会】vol.4

2021.12.07

第4回のテーマは、前回に引き続き、「動画のサブスク」。DearOneとNetflixの活動に共通する点とは――?

人気動画サブスクの検索のしやすさを比較!Netflixで検索したことがない人多数?

三石 アプリ研究会の第4回のテーマは、前回に引き続き、「動画サブスク」です。ここからは方向性を変えて、UIUX、デザインの話をしましょう!デザインユニットリーダーの橋井さん、よろしくお願いします!

橋井 はい! 今回は作品の検索の仕方というところに絞って、Amazonプライム・ビデオ、Netflix、FODの3つのアプリを比較してみました

動画配信アプリ

みなさんは、動画を探すときにどういう風に探しますか? 

塚田 僕はAmazonプライム・ビデオを使っていて、見たいものが明確だからテキストで検索しますね。

赤木 Netflixは完全にオススメからしか見なくて、検索機能を使ったことがないかも。Amazonプライムは見つからないから検索をかける。

松本 Netflixは、思わず見たくなる作品がレコメンドされるんですよね。

塚田 Amazonプライム・ビデオもレコメンドいいと思うけど。

小嶋 いや、レベルが違う。使っているデータと使い方が違うから。前回でも話した通り、世代情報を使わないで視聴履歴の行動履歴だけでレコメンドしているから、見ている人が同じ趣味のレコメンドになっていて。

松本 そう、だから同じ趣味の友達から「それが面白かったなら、これも見てごらんよ」と言われている感じ

三石 レコメンドと検索以外では、ツイッターで「イカゲーム凄いぞ!」とか、みんながつぶやいていて話題になっているから見ることも多いかな。僕は「愛の不時着」も「梨泰院クラス」も全部そう。

ささき NETFLIXもAmazonプライム・ビデオも前回視聴した内容に基づいてサジェストしてくれるのですが、私はそのサジェストとは別に、「filmarks」というアプリで見たい映画などの情報を集めて気になったものを視聴しています。filmarksはそれぞれの作品がなんのサブスク動画サービスで配信されているのかがすぐに分かるので、映画好きな利用者は多いかも。

三石 なるほどね! 確かにピンポイントで観たいものがあるなら、どのサブスクで観られるかすぐにわかるサービスがあると便利だね。

塚田 僕はNetflixのレコメンドを垂れ流しです。

三石 Netflixは気持ちよく溶け込むように、最初から思考停止して「これ見ればいいや」って思えるようなデザインになっているということなんですね。

サムネイルを視聴者ごとにパーソナライズ化し、ファーストビューで引き込むNetflix

アプリ研究会

橋井 私が3つのアプリに感じたのは、AmazonプライムやFODは検索しやすいUIなんですけど、Netflixはレコメンドに特化しているところがあり、スマホに最適化されていない感じもして、探しづらいと感じました。

小笠原 Netflixは「探させないこと」が目的なんじゃないですか。

三石 僕もそう思った。さっきの話で、自分で検索して深くいじっていくんじゃなく、レコメンドされた作品を見ておけばいいやと思わせたいんじゃないかな。

橋井 ファーストビューで吸い込まれちゃう戦略ですね。

三石 意図的にそうしているのかもね。あと、Netflixはサムネイル画像のトーンが統一されているよね。Amazonプライムはごちゃついてるけど、Netflixは顔や文字の配置、基本的な型があるから見やすい。

小嶋 Netflixのサムネイルは人ごとにパーソナライズされているんですよ。

三石 そう、それ聞いてびっくりした!

松本 え、そうなんですか!? サムネイルがすぐに変わると思ってたんですよ。分析のタグ付けが変わったからということ?

赤木 「あなたにはこのサムネイルがヒットする」と。

三石 そこの出し方は超重要だから、「1つの作品=1つのサムネイル」じゃなく、複数のバリエーションで出し分けるということは、トリガーさせることにめちゃくちゃ注力しているということ。そこまでできないよね。

小嶋 圧倒的ですね。他のアプリは普通の画像ですから。

三石 アプリ同好会じゃなくて、Netflix同好会になってきた(笑)。

動画の視聴は、「ピクチャインピクチャ」に「2倍速」が当たり前の時代!?

三石 マクロ的な話をすると、1日の限られた時間の中で、以前は「水曜9時はテレビでドラマを見よう」とかあったけど、今はみんなどういう感じ?

アプリ研究会2

赤木 テレビを観るのは……ニュースぐらいですね。テレビを流していて面白いのがなかったらNetflixを流しちゃう感じ。どっちも、テレビのチャンネルの1個ぐらいの感覚ですね。

松本 少し前に、スマホの利用行動調査に関する講演を聞いたのですが、今の若者はテレビでバラエティ流しながら手元ではスマホでYouTubeを見るって言ってましたね。

三石「ダブルスクリーン」ね。人生で休まるときがないね。

松本 さらにラジオを聴きながらの「トリプルスクリーン」も。あとはAmazonプライムで映画「ラ・ラ・ランド」を初めて見た人が「何これ、ミュージカル?」と言いながら、映画の評判をネットでググったり。そういう話が印象的でした。

三石 それで言うと、最近僕がやっているのは、YouTubeをスマホの小窓で観ながら、Facebookをチェックすること。

濱田「ピクチャインピクチャ」ですね。

塚田 僕もそれしかしない。YouTubeもNetflixもAmazonプライムも。基本何かしながら、右上に小さく映して。

松本 私もAmazonプライム・ビデオやNetflixを流しながら、キャンディクラッシュ(※パズルゲーム)を……。

三石 みんな忙しい(笑)。

小嶋 僕は「倍速」で観ますね。YouTubeは絶対2倍速。中田あっちゃんのYouTubeは2倍速じゃないと違和感がある。会社の動画を観るときも、2倍速で見たいからリアルタイムで参加したくない時があります(笑)。

三石 うーん……みんな視聴の仕方がすごく進化してるけど、体に悪くないのかな(笑)?

DearOneとNetflixの活動どちらにも通じる「学習回数」を増やす動き

三石 Netflixはアプリプッシュ来るよね。みんなはどういうトリガー、タッチポイントでアプリを開く?

赤木 Netflixはプッシュ来ないですよ。

三石 あれ、そう? 見るときと見ないときの差が激しい人にだけ来るのかな。

濱田 メールは来ますね。

小嶋 Netflixは切り口をめちゃくちゃ変えてきますよね。たとえば、シリーズものを最後まで見ないと、「あなたの地域はこういうの見てますよ」とか、その人に何が刺さるか、ひたすら当てに来る。

三石 それはGrowth Marketingでよく話している「学習回数」の話に通じるね。学習回数はサービスを世の中に出す回数で、出しては学習して改善を重ねていくプロセスのこと。たとえば、「いろいろなワードを小嶋さんに当てた結果、このワードに反応するな」と学習して、最適化していく。

小嶋 お知らせで視聴してもらおうじゃなくて、「小嶋はシーズン2を訴求すると反応するユーザー」とラベリングされていれば、シーズン2が挙がるたびにお知らせをしてくる。他にも、「森田はミーハーな何かに反応する」とか(笑)。

森田 失礼ですよ(笑)!

小嶋 どの企業も学習回数を増やすために、Netflixのように数千万円かけてツールをつくれればいいけど、それをやるのは無理。だからこそDearOneが提供する「Amplitude」のようなサービスがあります。DearOneがやっていることは、要は「Netflixがやっているようなことを一般企業でもできるようにしよう」という活動だから、通じる部分がありますね。

(※編集部注:「Amplitude」は、アプリやWebなどのオンラインデータと、店舗POSなどのオフラインデータ全てを統合して顧客の行動分析を簡単に行える分析ツール。専門的なデータサイエンティストがいない環境下であったとしても、マーケターやプロマネ自身が簡単な操作で直感的に、そして短時間にデータ分析が可能です!)

三石 うまく繋げたね(笑)。

小嶋 ありがとうございます(笑)。実際にクライアントの現場で分析サポートをする機会もありますけど、やっぱり「属性」ほど当てにならないものはないと僕も実感しています。だから、Netflixの「行動分析」の話を聞いて、やっぱりそうだよねと思いました。

三石 DearOneのクライアントで、先進的に行動分析に取り組んでいるところもある?

塚田 某鉄道会社は、駅にビーコンをつけて、ロケーションで出し分けたり、クーポンの利用に応じたプッシュなど、取り組み始めていますね。

赤木 ただ、行動分析をして、そこにいきついたとしても、どうしてもコンテンツの話にぶち当たる企業も多いですね。

三石 そうだよね、出すネタがそんなにないから。今まで話してきた動画サブスクはその真逆で、コンテンツが死ぬほどあって、探しきれないから出し分けが重要となる。

赤木 パーソナライゼーションが重要なのはどの企業でも否定できない。けれど、「そのためにコンテンツをめちゃくちゃつくりますか?」と聞いて、それに耐える体力がある企業がどれぐらいいるでしょうか。そこは今後の課題でしょうね。

――次回は師走で忙しい方にもぜひ見ていただきたい「ヘルスケア」に関するアプリについて皆で話し合います。ぜひお楽しみに!

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