第2回は、各メンバーがユーザーの立場からアプリを使ってみて、実感したこと、改善希望点などを、好き勝手に話してみました!
Spotify・Apple・Amazonでうるっと感動!?

三石 みなさんから「最近、このアプリがめちゃくちゃ来てる!」「この体験に感動したので披露したい!」というものを教えてほしいです。何かある方はいますか⁉
赤木 はい。じつは僕、Spotifyで泣いたことがあって……。
三石 Spotifyで泣いた!? それはこの記事のタイトルにできるかもしれない(笑)。
赤木 Spotifyは年末に「1年の振り返り」のプレイリストが出てくるんですね。僕はたまたまその年が辛い1年だったから、「これ、あの辛かった時期に聴いていた曲だ!」と思ったら、ダーッて涙が出てきたんです(笑)。
小嶋 わかります。ああいうの、めちゃくちゃ感動します。
赤木 データ視点で考えると、1人ひとりの視聴データどれだけのシナリオを作ってるんだろうなと。膨大なデータから1人ひとりに最適化したコンテンツで送れるテクノロジー基盤って何なんだろうと、想像がつきません。
三石 なるほど。単純に音楽再生というところを超えて、顧客体験を追求したspotifyならではですね。同様の体験で、僕はApple信者なんですけど、iPhoneの写真アプリにウィジェットがあって、写真アルバムをタッチしなくても、そこに自動で過去の写真などが表示されるんですね。
河野 出てきますね。
三石 最近出てきたのは2年前に河野さんと佐々木さんと行ったアメリカ出張の写真で、「懐かしいなぁ。あれから2年になるんだ」と感慨深くて。それは「写真を見る」行為じゃなく、トータルでエクスペリエンスを提供しているから、Appleならではの“価値”を提供していて素晴らしいと思います。
ささき わかります。私はAmazon Photosで同じことがあって、「2016年の今日」みたいな写真が出てきて、友達と飲み会をしてる写真を見ると、心がワーッとなって。
赤木 そういう風に、目的がただ「音楽を聴く」「写真を見る」じゃなくなってきているのは“そのプラスアルファがないと勝てない”からでしょうね。
三石 確かに、そうかもしれませんね。
日本のアプリは、“完璧主義”が原因で世界に遅れをとっている!?
河野 これはただの愚痴なんですけど。YouTubeって以前は横にすると全画面で見られたのが、最近はチャットが画面右側半分を占めて、サイズが半分になった動画が左側に……というUIの改悪があって。もう日々ストレスです(笑)。
三石 変えてみて、不評が多かったら元に戻すんですかね?
河野 それを期待しているんですよ。SNS界隈の評判も良くないから戻るかなと。僕だけABテストの対象だったら嫌だけど(笑)。
濱田 iOS15のSafariのUIも、かなり批判されてましたね。
三石 下にURLが入る仕様だよね。
濱田 実際にAppleに「使いづらい」とクレームがたくさんあったみたいで、以前のものと新しいもののどちらかを自分で選択できるようになりましたね。
三石 「戻れる」という逃げ道を用意しておくのはいいですね。
河野 僕が最初にYouTubeのことを言っておいてアレですけど、すごい怒るお客さんがいるじゃないですか。1回失敗したら終わりじゃなくて「戻しましょう」でいいと思うんですよね。
三石 それは日本にはびこる“完璧主義”じゃないですか。
河野 本当にそう! だから世界から遅れを取っているわけで。
小笠原 でも、少しずつ変わってきてる気もしますけどね、「とりあえず出しましょう」というお客様も増えてきていますよ。
三石 その話で思い出したんですけど、アプリ改善のサイクルが日本のアプリで一番早いのはメルカリで、8日に1回変えているらしいですね。そのあたりはクライアントによってポリシーが違うと思うんですけど、早く改善してもいいじゃないですか。
河野 いいですよね。僕らもなるべくそうしています。
三石 DearOneはそれを応援する立場ですけど、どうしたらクライアントに「完璧ではなくてもとりあえず出して、早いサイクルで改善する」という流れを許容してもらうことができますかね?
小嶋 実際は、大きなハードルがありますよね。
「アプリの細かい改善は2段階で行うべき」「エンジニア的には問題ない」
三石 どんなハードルがありますか?
小笠原 たとえば、ユーザーがスーパーでアプリを起動してバーコードを表示してレジに並んでいたけど、レジ前で突然、強制アップデートがかかってしまって使えなかった、みたいなことが頻発するのは避けたいですよね。
三石 確かに!
小笠原 その観点で言うと、細かなUX改善は強制アップデートせずに、大きなシステム改善は大きなタームの中でやるほうがトラブルは起こりづらいです。だから、どうしてもしなければいけない強制アップデートと、細かなUI改善の2段階で考えるべきだと感じています。
三石 これは実践の示唆に富んだ発言ですね。
小嶋 ただ、今の話で1点だけ言うと、僕らが開発したものだと、強制アップデート時でもバーコード表示ができるようなアプリもありますよね。
小笠原 そうでした。強制アップデートとは少し異なるのですが、規約同意ダイアログに、バーコードを表示する機能を開発してリリースされたお客様もいらっしゃいますね。それを応用すれば強制アップデートの時にバーコード出すことも、技術的には可能ですよね?
でも、エンジニア側からすると、バージョンが無限に増えてしまうのは実際のところ、どうなんでしょうか?
濱田 エンジニアサイドから見ると「ソースコードは1つ」だから、最新のものはこれという観点で見ているので、問題ないですね。それよりもカスタマーサポートのほうが大変だと思います。お客様の細かいバージョンアップの履歴を把握していないと的確なサポートができないと思うので。
三石 なるほど。これはすごいな。DearOneでしか語れない話ですね(笑)。UIUXデザインを担当している橋井さんの話も聞きたいのですが、最近のデザインの方向性など、思うところがあればお願いします。
「親指だけで操作できるデザイン性が求められている」

橋井 デザインの変化でいうと、アプリが誕生してからスマートフォンが大型化して、ユーザーの手の届く範囲が限られるようになったので、なるべくボタンを置く位置を下に置こう、という流れになりましたね。
河野 そうですね。
橋井 操作しやすい=ユーザビリティに繋がる、という考え方になっているので、頻繁に利用するナビゲーションや重要なコンテンツは下に置くようになっています。あとは最近で言うと、親指が届く画面の下半分だけでもある程度の操作ができるようなアプリもあります。
小笠原 それが嫌すぎて全画面が親指で届くiPhone12ミニを使う人もいますよね。
三石 親指だけで操作できるアプリの具体的な名前って挙げられますか?
橋井 たとえば、Pinterestですね。タイムラインにいろいろなデザインが出てくるんですけど、タップして拡大して見た後は下にスワイプするだけで元に戻せますし、横にスワイプすれば次のデザインを見ることができるので、親指だけでいけます。
小嶋 そもそも、こういう気持ちいいUIを提供することに「お金をかけられるか」という問題がまずはありますね。たとえば、弊社DearOneが提供する公式アプリ開発サービス「ModuleApps(モジュールアップス)」ではそこにこだわりたいと思っています。
三石 ModuleAppsのお話、ぜひお願いします。
橋井 やりたいイメージとしてはディズニーリゾートのアプリで、オープニングのアニメーション映像から素晴らしいんですよね。
三石 さすがのディズニーですね。
橋井 その後、ディズニーランドかディズニーシーを選択してタップすると、上から俯瞰したマップが広がって、直感的にスライドして動かせることがわかります。でも、いきなりここからはじめるとわかりづらいから、最初にアニメーションからはじめるというところが良くて。
三石 うんうん。
橋井 DearOneのModuleAppsも、お知らせやクーポンをタップしたら、ふわっとモーションからはじまるようなことが実現できれば、ユーザー体験も上がるし、クライアントに喜んでもらえるかなと思って、今、いろいろと試しています。
三石 なるほど。楽しみですね! さて、第2回もまだまだ話は続いていきそうですが、このあたりにしておきましょう。第3回もご期待ください!
―次回は、動画サブスクリプションサービスなどをテーマにお話する予定です。お楽しみに!