今回のテーマは、前回に引き続き「2022年以降のアプリ業界の未来」について語っていきます。今後のアプリはどのような進化を遂げるのでしょうか? 不特定多数とつながれて大きなメリット・デメリットを生じているSNSは、どう変わっていくのでしょうか? DearOneメンバーが、今後のアプリに対しての考えを語り尽くします。
5Gを活かしたリッチな体験ができるアプリに期待!
濱田 2022年は「今あるものをベースにしてこうしたほうがいい」という世界とは別に、「新しいもの」が生まれていく可能性があると感じます。たとえば、新たな通信規格の5G。これまでは環境の整備が進んでおらず、あまり良さを実感できていませんでしたが、これからはインフラが整って4Gでは無理だった体験をアプリでもできるようになるかもしれないなぁと考えています。
三石 それも面白い視点ですね!具体的にどんな体験を期待しますか?
濱田 たとえば動画を使ったリッチな体験ですね。今まではARはアプリ自体にモデルのデータを組み込んでダウンロードしてから立ち上げる必要があったものが、5Gになったらそんなことはせずに一瞬でARを見ることができるようになったり。今までは夢物語だったものが現実化していくんじゃないかと。
時代の変化に即するなど、ユーザー体験を大切にしたアプリをつくっていきたい
三石 確かにブレイクスルーがほしいところですね。続いて、女性の視点もほしいですね。ササキさん、どうですか?
ササキ コロナ対策が当たり前の世の中になってるので、コロナを前提にしてアプリを検討していくことがもっと増えていくんじゃないかなと思います。あとは、今は子どもたちもスマホをいっぱい使うので、子ども向けに特化したものがどんどん出て、それによってUIも多様化してくるんじゃないかなとも思いますね。
三石 確かに、子どもたちの層も意識してアプリのUIを考えた方がいいよね。松本さんはどう思う?
松本 私はこの会に参加したことで思ったことがあります。それは「もっと無邪気なユーザー目線を忘れない提案をお客さんにする必要があるんじゃないか」ということ。
三石 なるほど!
松本 データが最初からたくさん見える状態だったりすると、先入観が強くなっていって、どんどん玄人寄りの考えになっちゃう。前回の小嶋さんの話にもあった通り、1ユーザーとして「これって気持ちいいな」という感覚を忘れないようにしたいなと。「そもそも私はそういうことがやりたくてこの会社に入ったんだ!」と改めて思いました!
三石 それは非常に重要な視点で、手段とクリエイティブですよね。手段や環境だけではなく、ユーザー体験や企画が重要で、むしろそっちありきで手段を考えるべきということ。マーケティングの話になってしまうけど、インフラや手段は後でよくて、やりたいことを先に突き詰めるのが大事。僕も本当にそう思います。
じゃあ、最後に森田くんはどう?
LINEとアプリ、今後重点を置くべきはどちらか? 「今後も使い分けされていく」と予想
森田 最近、お客さんと話している内容と、ニュースで見た内容が真逆だったのが気になっていて……。
三石 どういうことだろう?
森田 この会でも前から指摘されている「LINEとアプリのどっちを強化していくのか?」問題です。
たとえば僕が担当させてもらってるLindtさんは、「最近、LINEよりアプリが好調だからアプリに力を入れていきたい」と言ってくださったんです。
三石 素晴らしいね!
森田 でも、昨日見たニュースだと、東急ストアはアプリを終了してLINEを強化していくと。真逆ですよね。
僕達DearOneは「LINEとアプリのユーザーは層が違うから」と説明していく必要はもちろんあると思いますが、このあたりは2022年以降にどうなっていくのかなと気になっています。
三石 まさにその通りで、今後はさらに「LINEとアプリのどちらに力を入れていくか」が課題になってくるでしょうね。今までは「オウンドメディアが重要ですよね」というのが根幹にありましたが、そこがどうなっていくのか。最近は飲食店でもLINEで注文ができるLINEミニアプリを導入するところが増えてますよね。
小嶋 そうですね。お店で席についてもメニューがなくて、LINEのQRコードを読んで、そこからメニューが出てきて注文できて。退店後も来店に応じたクーポンが届くという体験が出てきていますね。
でも、特に大手の飲食店に求められるのは“それ以上”の顧客体験、サービスだと思います。LINEでできるところはLINEでやって、それ以上のところはアプリと使い分けがされていくのかなと、僕は予想していますね。
三石 なるほどね、ありがとうございます!
僕はアプリとはちょっと別の視点になってしまうかもしれませんが、松本さんの考え方と近くて、テクノロジーで満たされている時代だからこそコンテンツに注目が集まっていくだろうなと思います。
小笠原 中身が大事ということですね。
三石 そう。今はYouTubeやTikTokなど発信できるプラットフォームが多数あるなかで、企業としてのブランドをどうつくっていくかに皆頭を悩ませているところだと思う。
そこでどう“使い分け”をしていくかも重要でありながら、いかにユーザーに喜ばれる企画、体験、コンテンツになっているかがより重要になると思う。僕達DearOneは、そこをちゃんとビジネスにしていきたいなと考えています。
今後のキャッシュレス決済はどうなる? リング型キャッシュレス決済「EVRING(エブリング)」に注目!
赤木 これはそんなに注目すべきなのか判断するのが難しいですが、僕はキャッシュレスの動きが気になります。PayPalがペイディを買収するなど、海外勢がまた日本に進出してこようとする動きが去年はちらほらありましたよね。今、国内ではPayPayがトップで、ついでd払い、楽天ペイが追っている構図の中で海外勢がどう絡んでくるのかは注目しています。
河野 ちなみに、僕はQR決済を使いません!なぜかというと、15年以上前のガラケーの頃から非接触で決済してきた自分からすると完全に“デグレ(※品質が以前より悪くなること)”だから。
「なんで今になってQRがそんなに取り上げられているんだろう」と思っています!
三石 なるほど。ちなみに、河野さんはキャッシュレス決済は何を使っているんですか?
河野 iDですが、これから流行ると思っているのはEVRING(エブリング)。財布からカードを取り出さなくても、指輪を端末でタッチするだけで決済が完了します。
赤木 あー、これはちょっと気になりますね!!
河野 ただ現状はVisaのタッチ決済対応マークがある店舗でしか使用できず、しかもホテルやガソリンスタンドなど使えないところも多いからまだ流行らないかも。でも、ちゃんと改良していけば流行るんじゃないかと思っています!
月間アクティブ率81%! 入居者専用アプリ「Gokinjo」のように狭いコミュニティならではのサービスが増えるかも?
三石 エブリングはじめ、今後のキャッシュレス決済の動きにも注目ですね。では最後に、河野さんの「2022 アプリ展望」をお願いします!!
河野 ズバリ、SNSのコミュニティ範囲が狭まると思います。これは実際に事例があって、東京都板橋区にあるマンションだけのアプリ「GOKINJO」というものがあって、特定のマンション入居者しかログインできないんですね。そのアプリの「情報交換」では「どこどの公園がいい」「あっちのクリーニング屋のほうがいい」といった感じで、掲示板として利用されているんです。
三石 へー、面白いですね!
河野 他にも、「この時間に子ども見てほしい」とお願いする「お助け」、「このおもちゃがいらなくなったから譲りたい」と譲り合う「お譲り」の3つの機能があるんです。かなり便利ですよね。MAU率(月間アクティブ率)はじつに81%です!
一同 おぉ~!! すごい人気だ!!
河野 つまり、そのマンションにいる人達はみんな使っていて、8割が毎月「Gokinjo」アプリを使っているんですよ。
こういう事例を見ると、これからコミュニティが狭くなっていくこともあるだろうと思うので、僕らも「DX for マンション」として事業をやるべきですね!!
三石 なるほど、いいですね! こうして見てみると、僕らも今後開発していくべき分野のアプリがまだまだありますね。次回も、皆さんのアプリ情報や意見を聞いていきたいです。
では、今回のアプリ研究会はこのあたりでお開きにしましょう。ありがとうございました!
―次回の「アプリ研究会」も、お楽しみに!
(メンバーの所属・肩書きは収録時のものです)