
デジタル時代において、企業が持続的に成長するためには、データの効果的な活用が欠かせません。しかし、多くの企業が技術や人材の不足により、データ分析に思いのほか時間とコストを費やし、迅速な意思決定ができずにいます。
このような中、大手小売業のA社はデータドリブン経営を強化するため、新たなソリューションとしてAmplitudeの導入を決断しました。
本記事では、Amplitudeの導入がどのようにして業務効率化を促進し、具体的なビジネス成果を生み出したのか、その成功のプロセスを詳しく紹介します。
課題
- データの抽出から集計までのプロセスに時間がかかっていた
- 顧客の行動を深く理解できていなかった
効果
- データ抽出時間を8時間→1時間に大幅削減
- ユーザーがどのように購買行動に至るのかといった顧客行動プロセスの分析が可能になった
目次
1.Amplitudeの導入メリット
2.分析工数削減を実現した事例
3.高度な分析により成果を上げた事例
4.データドリブンな組織作りに成功した事例

背景・課題
A社は、年商数百億規模、国内に複数の店舗を持ち、ファッションやインテリア、雑貨などを取り扱う大手小売企業です。
元々は実店舗での販売が中心でしたが、近年では公式オンラインストアに注力しており、オンラインで注文した商品を店舗で受け取れるサービスを展開するなど、オムニチャネル戦略に取り組んでいます。
A社が直面していた最大の課題の一つは、データの抽出から集計までのプロセスにありました。社内では、データを分析するために必要な情報を抽出する際、SQLのスキルが求められいましたが、SQLを使いこなせる人材は限られており、データの抽出から集計まで非常に時間がかかる状況でした。

特に、多数のプロジェクトが同時進行する中で、こうした作業の遅れが、迅速な仮説検証や施策の改善を妨げていました。
また、顧客行動の理解不足も深刻な課題でした。
A社は様々なマーケティングキャンペーンを展開していましたが、これらのキャンペーンがどの程度ユーザーの継続率に貢献しているのかなど、詳細な分析ができていない状況でした。
そのため、前回の施策の検証が不十分なまま、次の施策を実行するような悪循環に陥っていました。
Amplitude導入による成果
A社は上記の課題を解決するために、Amplitudeを導入しました。Amplitude導入の決め手となったのは、SQL等のコードが不要でありながら、簡単な操作で直感的にデータ分析ができる点です。
A社は、分析担当者だけではなく、各サービス担当者が自らサービス改善に繋がる分析を行う組織を目指し、Amplitudeを導入しました。
データ抽出時間を8時間→1時間に削減
Amplitudeを利用することで、データ抽出にかかる時間が劇的に短縮され、専門的なSQLの知識を持たない社員でも簡単に必要なデータにアクセスできるようになりました。
これまで、1施策あたり、データ抽出から集計までに約8時間かかっていましたが、Amplitudeを使うことによって約1時間まで削減することができました。

これによって、年間182時間(年間計画施策26本×短縮時間7時間)の削減見込みとなりました。
この時間の削減によって余裕の生まれた工数は、深掘り分析に活用できるようになり、この結果、マーケティング戦略の改善や新たな施策の開発に注力できるようになりました。
購買行動に至るユーザー行動の特徴が把握できた
Amplitudeの強力な分析機能を活用することで、「ユーザーがどのように購買行動に至るのか」といった顧客行動のプロセスを、詳細に分析することが可能になりました。
例えば、下記はキャンペーンページを閲覧した後の購入率を示したチャートです。

キャンペーンごとの購入率を調べると、「プレゼントキャンペーン」(紫色のバー)の購入率が最も高いことが分かります。
一方で、下記はキャンペーン参加者のうち、翌月以降に再度購入(再購入率)したユーザーの割合を集計したチャートです。

当月に購入したユーザーをMonth 0(100%)とします。その後、1か月後以降に購入したユーザーをMonth 1、2か月後以降に購入したユーザーをMonth 2、3か月後以降に購入したユーザーをMonth 3として、それぞれユーザーの割合を示しています。
この結果を見ると、「新生活応援キャンペーン」参加者(緑色のバー)の割合が最も高いことが分かります。つまり、4つのキャンペーンの中では、「新生活応援キャンペーン」に参加したユーザーの再購入率(継続率)が最も高いことを示しています。
これらの結果から、複数の仮説を立て、Amplitudeで効果検証を行いました。

複数の仮説を高速で検証した結果、特定カテゴリのクロスセル効果について示唆を得ることができました。
例えば、「キッチン用品を購入したユーザーの多くが、次回の購入で食器類を選択する傾向がある」ことが分かったため、「セット割引やおすすめセットを促進することで、さらなる売上増加が見込めるのでは」といった施策の方針を立てることにつながりました。
このような分析を通して、Amplitudeが他の分析ツールと比べて優れている点としては、「自由度の高さ」が挙げられます。今回ご紹介した事例のように、探索的な分析ができるため、データの中から予期しない相関関係やトレンドを発見することができ、仮説を立てるうえで非常に有用です。
また、思いついた仮説は、数クリックで調べることができるため、複数の仮説を素早く検証することができ、データに裏付けされた意思決定を加速させます。
Amplitudeを活用した分析事例をもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
💡ファッションEC:購入ユーザーの行動を深掘分析し、CVRを150%改善
💡金融アプリ:ユーザーの離脱要因を深掘り分析しUI/UX改善することでCVRを6.7pt改善
今後の展望
全社への展開
Amplitudeを使った分析手順や、分析例をまとめたマニュアルを全社にも展開し、全社員が一定のクオリティで簡単にデータ分析ができる体制を整備する予定です。
なお、Amplitudeでは、テキストや画像を挿入することができるレポート機能もあるため、この機能を使ってマニュアルを作成し、展開していきます。
実店舗のデータの充実化
現在A社では、オンラインストアのデータを中心に分析を行っていますが、今後は店舗のPOSデータや、マーケティングオートメーションのデータをAmplitudeに連携し横断的な分析にも取り組む予定としています。
これによって、顧客が店舗での購買に至るまでの全体的なジャーニーを可視化し、離脱ポイントなどを特定することができるようになる想定です。

最後に
Amplitudeは「SQLが書けなくても使える操作性」と「本格的な分析力」を兼ね備えており、現場の担当者が自分で仮説を立てて分析、施策ができる環境を作ることができます。
UIを見たい、操作感やできる分析について知りたいとお声を多くいただきましたので、登録不要で体験いただけるデモをご用意しました。(所要時間3分程度でサクッと体験いただけますのでぜひ試してみてください)
またDearOneでは、Amplitudeをはじめとする先進的な分析ツールの導入から運用までをサポートし、深掘り分析による示唆の提供や、データを活かしたマーケティング戦略の構築をご支援しています。
「データ分析に時間がかかって施策改善が追いつかない」
「社内に分析を広げたいが、ツールの使いこなしに不安がある」
そんなお悩みをお持ちの方は、お気軽にぜひ一度ご相談ください。