
株式会社DearOneは、株式会社ココナラ様が運営するスキルマーケット「ココナラ」に行動分析ツール「Amplitude」を導入いただいております。
今回は、マーケットプレイス事業本部でマネージャーを経験したのち、現在はマーケティング部部長を務める清水様と、マーケティング部でデータ分析領域を担当される伊藤様に、ツール導入の背景やツールによってデータの民主化をどのように実現しどのような変化を起こすことができたのか、その成功要因やノウハウを伺いました。
課題:
- データ分析を担当する人材が限られ、分析業務が集中していた
- 分析依頼に対してデータ抽出・共有に時間がかかり、意思決定が遅れていた
- 各部署が自らデータを活用できないため、迅速な改善施策が打ちづらかった
効果:
- 各部署が自発的にデータを閲覧・活用するようになり、分析依頼が激減
- 常時分析できる社員が全体の30%に拡大し分析にかかっていた7日間が短縮され、意思決定スピードが劇的に向上
- データ分析チームが基本的な分析業務から解放され「攻めの分析」に集中可能に
展望:
- 現場担当者がAmplitudeを使って分析から施策実行、検証までを自己完結できる体制の構築
- PDCAサイクルを高速化し、施策の実行数を大幅に増やしていく
- 分析レベルをさらに引き上げるための専門的なサポートや勉強会を強化
個人の知識やスキルをオンラインで自由に売買できるスキルマーケット「ココナラ」
導入前の課題と背景。素早い社内浸透のポイント

DearOne 麻野|
ココナラ様には、データの民主化を目的に2024年9月よりAmplitudeを導入いただいております。御社のサービス概要とお二人の担当される領域をお聞かせください。
ココナラ 清水様|
ココナラは、個人の知識やスキル、経験をオンライン上で気軽に売買できるスキルマーケットです。デザイン制作やビジネス相談、動画制作などから占いまで、幅広い分野で個人の強みを活かせるプラットフォームを提供しています。私はプロダクトマネージャー職からマーケティング領域の強化を図るためマーケティング部部長を任されまして、データ分析を専門とする伊藤と二人で2024年6月よりAmplitude導入と整備を行っています。
DearOne 麻野|
ありがとうございます。Amplitude導入に至った背景をお伺いしてもいいですか?
ココナラ 清水様|
マーケティング部ではデータ活用が課題になっており、データの民主化が急務でした。これは分析チームあるあるだと思いますが、各部署から分析依頼が来るので分析結果を出すのに時間がかかっていました。粒度の細かい分析自体も難しいですしファネルなどを時系列に並べるとクエリもすごく長くなり、データ返却に1週間ほどかかっていました。そのような分析が気軽に行えない環境が会社の意志決定をセーブしてしまっており、伊藤のようなデータ人材も本来の業務に時間を割けなくなっていました。
ココナラ 伊藤様|
データを扱える人が限られていると、データアナリティクスチームの仕事が「データを抽出するだけ」のようになってしまうんですよね。本当に自分たちがすべき「複雑な攻めの分析」に集中するために、ツールを導入して、データアナリティクスチームが本来やるべき業務に集中できるようにしたらもっとビジネスをドライブすることができると考えていたところ、清水がAmplitudeの導入を推し進めてくれました。
ココナラ 清水様|
本来アナリストやマーケターは、データを見た上で「多分ここが刺さるんじゃないか」「こういうニーズがあるんじゃないか」などデータに直接出ない部分の分析に時間を使ってほしいです。インサイトを考えて打ち手を打つのが本来の仕事であり、データを集計するのはその手前の段階です。そこを効率化したらそれぞれが更に専門性を高めていけるという考え方ですね。
DearOne 麻野|
ツールは最初からAmplitudeに決められていたのですか?
ココナラ 清水様|
他社での事例なども見ながら、私たちのアクションログのデータベースにたまっているデータを活用できるAmplitudeかMixpanelかの二択までには絞っていました。最終的には分析の型が多く、サポート体勢が充実しているという点でAmplitudeに決めました。結局、ツールも参考書と一緒で使い倒せるかが全てじゃないですか。どちらのツールをボロボロになるまで使えるかと考え、サポートの品質はかなり重視しました。
DearOne 麻野|
本格的な導入からは半年ほどしか経過していませんが、社内での普及や反応など、初動はいかがでしたでしょうか。
ココナラ 伊藤様|
まず準備ができた段階で、経営・管理職層や実際に使うパワーユーザーの候補を中心に説明会を開いて、その後は一般ユーザー候補の人たちに説明会をする二段構えで普及を進めました。1回あたり10〜20人が参加していましたが、ユーザー数は社員数200人程のうち、30%にあたる60人ぐらいまで一気に広がりました。
DearOne 麻野|
かなりの人数に使われているのですね。どうして最初から皆さん前向きだったのでしょうか。
ココナラ 伊藤様|
データを強く求めていた人が多かったんだと思います。みんな自分の仕事がどういう成果に繋がっているのか、ユーザーにどう利用されているのかにはかなり興味を持っています。今まではそれを知るために別のBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)がありましたが、そのツールは会社の経営数値も格納しているので権限を絞って運用しなければいけませんでした。それに比べてAmplitudeは行動ログなので特に権限の縛りもなく全体に開放しています。そのおかげで色々な人たちが、自分も使ってみたいと手をあげてくれたのだと思います。
DearOne 麻野|
エバンジェリストではないですが伊藤さんのような方がハブを作っていく企業さんはやはりツールの普及速度が早いですよね。Amplitudeの定着までの構想は事前にどの程度組み立てていたのでしょうか。
ココナラ 伊藤様|
最初は、社内のパワーユーザーやエバンジェリスト的な人をこちらで指名して、その人に意識的に広げてもらうことを想定していました。もちろん実際にそう動いてくれる人もいる一方で、全く想定しなかった人たちが自分の興味で動いてくれていたんです。そういうデータを求めている人が一定数いて、Amplitudeを導入したことでデータを見られるようになり、自発的に色々な発見をしてくれるということが今起きていますね。
データを使い慣れている人間からすると既にわかっていることもありますが、気付いていなかった情報の格差も見えてきますので、Slackチャンネルで発見を共有したりしています。

ココナラ 清水様|
最初の3か月間で一気に普及したので、業務上も簡単な分析依頼がだいぶ減ってスピードが上がりました。プロダクトページを直したいというときに、「仮説を入れてCVRがこう変わるのでとりあえずABテストをやってみましょう」というような意思決定が、今まで分析だけで1週間かかっていたところを数クリックでできるようになり、かなり効率化されました。
DearOne 麻野|
かなり劇的な変化ですね。
ココナラ 清水様|
各部署の人間がセグメントとファネルを作れるようになるだけでもかなり大きいですよね。正直、セッションのIDなどと紐付けて、ユニークのクエリで期間指定してスプレッドシートでやろうとすると大変じゃないですか。そこの部分が簡単にできるようなっただけでも大きいと思います。ただレベル0から1までは思ったよりもスムーズに行ったものの、レベル1から上に行くのは難しいなという感覚があるのでそこは次の課題です。
DearOne 麻野|
基本の活用から応用編へのステップアップが難しいということでしょうか。
ココナラ 清水様|
全体のマクロの数字を簡単に見ることはできるようになっても、そのデータを戦略的なビジネスに繋げていくまでには至っていないなと感じています。そうなるとAmplitudeの活用がデータ人材に偏ってしまい、デザイナーやエンジニアは使わなくなってしまいます。全員が完璧にデータを使いこなす必要性があるかという議論も必要で、本来使える人がより専門性を磨き、他のメンバーは「データの話がわかるようになる」という濃淡が組織として健全なのかなと思います。少なくとも、現在いるユニークユーザーの分析依頼をこれまで通りこなそうと思うと、5〜6人のデータ人材が必要で、そう考えるとそれだけでも現状のAmplitudeの活用度で価値が出せていると感じています。
Amplitudeのダッシュボードが共通言語として機能。データ民主化がもたらした社内の変化
DearOne 佐々木|
導入初期のことについてより詳しくお聞きしたいです。Amplitudeを最初から使いこなしてもらうのは大変だったかと思いますが、皆さんどのように使われているのでしょうか。
ココナラ 伊藤様|
チームで勉強会をした際は、事前に数値を見たいユースケースを上げておいてもらい、私のほうで実例を作って一緒に使い方を確認していったので、実感をもって習得してもらうことができたと思います。例えば、「この機能を使っている人の人数を知りたいならこうやってチャートを作れますよ」と実際にやって見せると「おお〜! もうできたんだ!」という感じで反応が良かったです。そこから少しずつステップアップしていって、ジャーニー機能*1 やユーザーセグメント機能*2 など応用的な機能を見せたところ、より大きな驚きが生まれていきました。ですので、まずはやっぱり利用ニーズに合わせて説明していくことは大事だと思います。
*1 ユーザーがある特定のアクションに至るまでにどのような行動パターンを辿ったかを可視化する分析機能
*2 ユーザーの属性や行動に応じてグループ分け(セグメント)できる機能
DearOne 佐々木|
そうしてAmplitudeによるデータ民主化が進んだ結果、各チームでデータ分析を専門としていなかった方々はいま具体的にどのような活用をされているのでしょうか。

ココナラ 伊藤様|
例えば、企画チームがいたとしたら、ある機能を変えたいときに、そもそも現状でどの程度使われているのかという基本的な使われ度合いを調べると思いますが、企画担当者自身がその数字をぱっと知ることができるようになったという感じですね。都度分析チームに聞かなくても良くなり企画までのスピードが上がりました。
使われる度合いをダッシュボード化して、プロジェクトごとに1つのダッシュボードを作っている人たちもいて、そのチームの人からは「ダッシュボードを見ながら、現状使われ方がこのぐらいだとか、パネルチャートを見ながらここで離脱する人が多いとか、そういう共通言語として使えるようになった」と言われたのが印象的でした。
ココナラ 清水様|
社長も含め、「この数字どうなの?」 と気になったらミーティング時にすぐに見られるようになったのは大きいですね。意思決定が分析を待って1週間かかるなんて、正直なところ、現場のスピード感や勢いが損なわれてしまいますよね。持ち帰りタスクが増えると勢いも無くなりますし、その場で解決できることはやはり良いことですよね。数値で見えるので説得力もありますし。
DearOne 佐々木|
データ分析ツールを共通言語のように活用されているというのはキーワードですね。新しく説得や共有のための資料を作る前に同じダッシュボードで確認してビジネスを先に進めていけると。
ココナラ 伊藤様|
メンバー全員が同じデータを同じタイミングで見られるのもとても好評でした。以前は機能開発の意義を全員が完璧に理解する間もないまま作業をするようなこともあったかもしれませんが、今はデータから課題を見出だせるので、何を改善するために作っているのか腑に落ちる部分が今までよりも強くなったんじゃないかなと思います。
データ民主化のその先、Amplitude活用の展望

DearOne 麻野|
データの民主化がスムーズに進み、社内の皆さんのビジネスも加速したわけですが、これからの展望をお教えください。
ココナラ 伊藤様|
Amplitude導入以前は、データ活用といっても問題が起きている箇所を発見して止血をするような守りの分析しかできていませんでした。今は基本的なデータ集計のような業務はほぼなくなりましたので、今後どうしたらいいか、ビジネスをグロースさせる鍵はどこにあるのかを調べる攻めの分析を中心に行っていきたいです。
DearOne 麻野|
本来マーケターやデータアナリストが専念したい攻めの分析、キーワードですね。
ココナラ 伊藤様|
攻めの分析ができるような機能をもっともっとAmplitudeでも使っていきたいなと思っています。今後は現場担当者の人たちがAmplitudeだけで分析から施策まで完結するということを実現したいと思い事例を作っています。PDCAを高速で回し、施策のやりたいことリストが積み上がって、それが多すぎて回せない嬉しい悲鳴が出るような状態にしたいですね。
DearOne 佐々木|
そのために向けてDearOneに期待するサポートはなにかありますでしょうか。
ココナラ 伊藤様|
もう少しレベルの高い分析をやりたいけれどAmplitudeをちょっと使いこなせていない、一段上のステップに上がりたい人たちがいます。そういう人たちに向けた勉強会があるとすごく嬉しいです。僕と清水も勉強会は開きますが、DearOneさんにやっていただければより正確に説明していただけますし、接点が増えることでその人たちがDearOneさんに直接質問するようになるともっと良くなっていくと思います。
DearOne 麻野|
例えば我々の方でこういうちょっと高度な分析をするときに、どういう形であれば分析できますよと操作説明する一段レベル高い操作説明会もできますし、あとは皆さんに課題をお渡しして、それに対して皆さんの形でアプローチして分析のアプローチをしていただいて、その分析結果を共有いただいて発表いただくとそういうワークショップ形式でやるケースも可能です。仮説検証型の分析から探索的な分析に入っていくような応用的なフェーズもサポートさせていただければと思います。
ココナラ 清水様|
引き続きよろしくお願いします。

目次
1.Amplitudeの導入メリット
2.分析工数削減を実現した事例
3.高度な分析により成果を上げた事例
4.データドリブンな組織作りに成功した事例
