株式会社PLAN-B ご担当者
オウンドメディア、SaasプロダクトでAmplitude無料トライアル版を検証
ー Amplitude無料トライアル版を導入したコンテンツ・サービスを教えてください。
弊社オウンドメディア「PINTO!」、SaaSのSEO対策プロダクト「SEARCH WRITE」、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Cast Me!」に導入しています。
私自身のベースはエンジニアであり開発も担当していますが、さらにプロダクトからオウンドメディアまで広範囲にわたるデータ活用支援推進を担当しています。
当初は米国の英文テック記事を読んで使い方を習得
ー Amplitude無料トライアル版を導入していただいたきっかけを教えてください。
弊社の現マーケティング部長からの紹介で登録し、使い始めました。
私は普段Google Analytics(以下、GA)はじめ他の分析ツールを使っていて、Amplitudeはユーザートラッキングサービスの認識から入りました。ユーザートラッキングサービスでは、GAのユニバーサル・アナリティクスを導入していましたが、プロダクトでそれほど活用できていませんでした。
Business Intelligence(以下、BI)やダッシュボードのツールでは、Tableau(タブロー)やMetabase(メタベース)を使っていました。
2020年はじめ頃、Amplitudeは日本語資料があまりありませんでしたが、私自身はマーケ領域のわかるエンジニアという仕事柄、海外ツールを使用することが多かったのでハードルはありませんでした。米国Amplitude公式の”Getting Started”や”Best Practice”・”Data Taxonomy Playbook”・”Custom formulas”の記事を読んで自分の知識に当てはめながら、概要の理解に努めました。
データの民主化を推進し、サービスをグロースしたい
ー 導入時、データ活用に関する課題はありましたか?
当時はCast Me!ができたばかり、SEARCH WRITEはローンチして1年未満だったので、KPIやKGIといった目標管理が売上や解約率といった遅行指標を主に管理されており、最終目標の数字を追っている状態でした。
一方、実際にサービスをグロースするには、効果・仮説検証等ハイレベルなアクションが必要であり、システム側のデータベースからユーザー分析を行っていました。例えば会員登録までのファネルや、重要と考える機能を顧客の何割が使用しているのかという利用率などです。
当時は選択と集中を行っておらず、手当たり次第なところがありました。
そこで私が音頭を取り、データの民主化を推進しました。ただGAは少し扱いづらく、画面を開いてから見たいものにたどり着くまでのステップ数が多過ぎることも。またGAはマーケティング寄りなので、プロダクト改善を担当する開発チームやUXデザイナーにとっては距離があるように思えました。
Amplitudeならデータの専門家でなくともすぐに使える
ー Amplitude無料トライアル版を選んだ理由を教えてください。
GAに比べると、Amplitude無料トライアル版は可視化までのステップ数が少ないので、ユーザー分析・可視化経験のない技術エンジニアにもハードルの低いツールだと思いました。
例えば、ウェブページで送った情報がどのように画面上でデータ蓄積されるのか明確なので、開発がしやすいです。弊社の開発は週ごとのリリースなのですが、ユーザー概念とログデータのイベントがあることをエンジニアに説明するとすぐ理解してグラフを出せるため、距離の近さが良い点でした。
データのスペシャリストではない人達でもできそうなツールがAmplitudeにはありますね。
Amplitudeのチャート作成画面は、自分が知るBIツール等と比べると非常に独自性があります。SQLの場合、抽出項目・条件を決めグルーピングして集計する構造ですが、Amplitudeの画面はSQLを書く感覚に近くエンジニアライクで、抽出項目・条件・グルーピングというのが見たら一発でわかるようになっています。
メタデータ管理画面でもイベントとプロパティの関連性が一目でわかるので、データ構造に親和性の高いエンジニアにも距離が近く、説明すれば大体理解してもらえます。
データ構造がシンプルなので、やりたいことさえ明確にすれば、タクソノミー設計を行い、エンジニア自身で実装可能でした。Amplitudeは導入ハードルが低いのでは、と感じています。 エンジニアに限らず、UXデザイナーもプロダクトマネージャーもダッシュボードを見ています。各チーム3~5人くらいです。
Amplitudeでユーザー行動分析し、プロダクトを改修
ー どのように行動分析ツールAmplitudeを活用されていますか?
例えば、特定のお客様に言われて機能実装したものの、他の80%のお客様には使われなかったというケースがあるので、Amplitudeでユーザーの行動分析をします。結果の良し悪しが見通せない開発は先に現状を計測・分析してから改修方針を決めています。
SEARCH WRITEの場合は、「自社キーワード分析」の絞り込み条件入力欄に、「新規ユーザー」と「既存ユーザー」では何を入力するのか、ユーザーの行動分析データをもとに改善案を検討しました。またUX改善の一環で、ある機能を無くすか動線を変えるかのような意思決定を行動分析から検討しています。
システム側のデータベースで取得できるものもある一方、ユーザー画面側でしか取得できないものもあるので、例えばボタンが押された回数とボタンが一回押された時に送られるキーワード数なども取得したりします。
グロース実現のための組織の在り方
弊社では開発(エンジニアやデザイナー)と事業(営業やCSなど)は組織構造的には別ですが、実際は共に開発を行うマトリックス組織です。最近はOKRで遅行指標を分解し、先行指標のある部分の改善をチームで見たりしています。
1年半ほど前から、Amplitude活用も含めて、もっと先行指標を見ることを推進し、売上やチャーンレートのような遅行指標をを見ても週単位のアクションはできず、グロース実現にはつながらないとチームに伝えています。
プロタグト改善にはまず自らの施策の指標を見直すことが重要であると思っています。
チームで、ユーザー行動データを見ながらOODAループを回す
Amplitudeはユーザー側のトラッキングサービスなので、それとは別にシステム側のデータやCRMデータなど四方八方のデータを整理しています。
四半期や月次では数値とダッシュボードを追って、上層部に出せるデータの整理を行っています。週次では先行指標レベルで、Amplitudeでリリースの線を設定し、自分たちのアクションを反映させながら変遷を見ています。
ダッシュボードの5W1Hを明確に整理させた上で、サイクルごとにダッシュボード管理を行っています。
データの民主化にAmplitudeは最適なツール
Amplitude虎の巻の話は大変参考になりました。SaaSでは特にそうですが、やはりリテンションが大事であることが改めてわかりました。
データ民主化の観点からも、Amplitudeはチャートが出るのでわかりやすい上に、ユーザーの行動ログがリアルタイムで見れて共有しやすいのがメリットです。
タクソノミー設計の運用
ー Amplitude無料トライアル版を検証するための先行指標(タクソノミー設計)はどうされましたか?
Amplitude画面ではメタデータ管理やデータのガバナンスは出来るのですが、一方で設計したデータや施策目的を管理する機能はないので、自身でデータタクソノミーシートを作成し、プロダクトでの実装前に、タクソノミーをプロダクトごとにエクセルシートに入力し、運用しています。
今後は先行指標を見ながらプロダクトを改善することに集中し、その結果売上が上がって、という社内でファクトを固める方向を目指します。そして将来的には有料版も検討したいと思います。
AmplitudeのROIを検討する
ー Amplitude有料版を導入するのは、どの様なタイミングなのでしょうか?
SEARCH WRITEもCast Me!もまだ成熟したフェーズではないので、単月黒字化の観点からは、最近やっとできた部分とまだまだのフェーズが多く混在しています。会社としては有料版レベルを入れても、支払ったコスト以上の価値を感じられないのでは、という立ち位置です。自分としてはあればいいと思いますが、使いこなせる人材がそれほどいないのも現状です。
ノーススターメトリックをお勧め機能がありますが、社内にその指標をマニュアル分析できる人材がいなければ、合っているのかどうか確認できないし、工数の削減レベルもわからないと思います。つまり、Amplitude側で行えることを、少なくとも自分たちでできるようになってからでなければ、正しく運用できない上にコストメリットも感じられないと考えています。
例えばSQLで3か月かかっていたことをAmplitudeなら1〜2日でできるといった実績を積み上げたい。それに加えて、分析の結果売上がどれだけ向上したのかも大切です。
Amplitudeの意外な活用方法
ー 御社でのユニークなAmplitude活用法について教えて頂けますか。
SaaSではユーザーからのサポート問い合わせが多いのですが、その中で多いのが「ログインできない」などで、「入った後に○○が表示されない」もよくあります。その原因究明にサポートエンジニアがシステム側だけ調べてもわからないことがあります。
その際にAmplitudeのユーザーデータとサービスのユーザーIDを紐づけ、そのユーザーが実際に画面上でどんな操作をしたのかAmplitude側で調査をすることもあります。
カスタマーサポート業務でAmplitudeが活躍
ー Amplitudeでその原因を調べられるということですか?
そうですね。それにブラウザやデバイス情報もあるので、ユーザーがどの環境でどんな操作をしたのか確かめられます。
またユーザー検索画面から、URLに紐づいたユーザーIDを入力すると、Amplitudeの画面上でユーザー画面を開くことができます。URLがわかっているため、弊社が入れているSalesforce等の顧客管理画面からAmplitudeに飛べるので、実際に顧客から問い合わせがあった際には、その画面からAmplitudeのユーザー画面にリンクさせて活用しています。
また弊社では可視化ツールのMetabaseを使用していますが、顧客分析のダッシュボード(レポート)にURLを載せているので、そのURLをクリックしたらAmplitudeのユーザーの操作画面を出すことができます。
カスタマーサポートが調査を掛ける際にもAmplitudeを活用することにより、返信や対応が迅速になりました。
Amplitudeの場合はデータタクソノミーで設計したイベントは全て蓄積されているので、ユーザーの画面上の操作といった行動履歴を一番細かく蓄積されています。
システム側にも同様の細かい履歴はありますが、システム側と通信した時しか記録しないので、通信しない操作に関してはAmplitude側にしか蓄積されませんので両方を上手く見る形で活用しています。