• トップ
  • ナレッジ
  • 4か月かかるデータ解析がAIで大幅短縮可能に! 「Augments-Analytics」【海外Hot Info】vol.1

4か月かかるデータ解析がAIで大幅短縮可能に! 「Augments-Analytics」【海外Hot Info】vol.1

2021.10.11

―――世界各国の先進的な取り組みから、旬で“GROWTH”につながりそうな企業・サービスをご紹介する「海外Hot Info」。10年以上デジタルマーケティングに携わってきたGROWTH INNOVATION LABの三石所長(当時)が、その知見をもとに海外のデジタルマーケティングのトレンドについて切り込みます。

記念すべき第1回は、スタートアップの全面的支援を行っているベンチャー・キャピタル「NTTドコモ・ベンチャーズ」のシリコンバレー支店 井上 正裕さん、Incubation担当 加納 出亜さんに今アメリカでHotな「Augments-Analytics(オーギュメンテッドアナリティクス/拡張分析)」についてのお話を伺いました!

5G時代に求められる先進技術へのグローバル投資を加速するNTTドコモベンチャーズ

三石所長(当時。以下、三石) 今日はお時間頂きありがとうございます。まずは、NTTドコモベンチャーズ様の紹介と、お2人の自己紹介を簡単にお願いできますでしょうか。

加納 出亜さん(以下、加納さん) はい、こちらこそよろしくお願いいたします。NTTドコモ・ベンチャーズでは、スタートアップの投資だけでなく、育成機会や協業機会の提供やコワーキングスペースの提供などのIncubation支援も行っており、有望なベンチャー企業のさらなる成長をあと押ししています。一連の営みを通して、将来に向けたビジネス、ライフスタイルの変化を追いかけています。

NTTドコモ・ベンチャーズ
加納 出亜さん
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ
Incubation担当Director
2019年よりNTTドコモ・ベンチャーズにて、主にスタートアップ企業の成長支援および事業会社との協業創出支援をリード。それまでは株式会社NTTドコモにて、様々なサービスの立ち上げに参画、iモード系サービスの企画導入、LTE(4G)立ち上げ時のサービスデザイン、APIエコノミーとしてのdocomo Developer supoort導入、自治体と連携した社会課題解決サービスの創出などを主にテクノロジ観点から一貫して担当。

井上 正裕さん(以下、井上さん) NTTドコモ・ベンチャーズでは国内だけでなく、欧米へのグローバル投資にも力を入れております。その海外拠点として、シリコンバレー支店があるのです。私は現在、そのシリコンバレー支店の方に勤務しています。

NTTドコモ・ベンチャーズ出資事例
井上 正裕さん
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ シリコンバレー支店
 Business Development&Investment担当Manager     
株式会社NTTドコモでシステムエンジニアとして3年勤務後、アメリカのカリフォルニアに渡りEvernoteのマーケティング&パートナーシップデータアナリスト/コミュニティマーケターとして1年     活動後、     株式会社NTTドコモ・ベンチャーズにジョイン。インキュベーションマネージャとしてスタートアップの支援の傍ら、自身もスタートアップにデータアナリストとしてジョインしデータ解析を軸にGrowthを支援。現在は再びカリフォルニアに渡米して現職。

データアナリストが大量解雇!データ活用の真の効率化を目指すシリコンバレー

三石 ありがとうございます。それでは単刀直入に、「Augments-Analytics」とはどういったものを指すのか、教えていただけますか?

井上さん 「Augments-Analytics」とは、簡単に言うとデータ解析のツールです。たとえば、ビジネスに反映させたいビッグデータを人間が処理するのではなく、生データからAIが処理してくれるツールなんです。取得した様々なデータの前処理が不要なため、今アメリカでは、非常に流行ってきています。

三石 最高のテーマですね! DearOneでも業務上、生データを解析することがあるので、大変さがよくわかります。企画や契約がうまく進んでも、データが散らかっていたり解析に時間がかかったりと、なかなかスタートラインに立てないケースがありますよね。

井上さん 実は、アメリカも同じような課題を抱えていまして。特に去年はコロナ禍で、データアナリストを大量に解雇する動きがあったんです。『What may be the factors behind data science layoffs?  』という記事があるんですが、そこには「データアナリストは実はあまり貢献していないから、最初に解雇されている」という主旨のことが書かれていました。下記に一部引用しますね。

“Many say data science now isn’t an essential function, and that is where a lot of data scientists have been some of the first ones to get laid off.”
(多くの人が、データサイエンスは今や必須の機能ではないと言います。そこでは、多くのデータサイエンティストが最初に解雇された人の1人です。)
“especially at this time unless you exhibit key skills and talent which is directly plugged into value creation.”
(特に現時点では、価値創造に直接つながる重要なスキルと才能を発揮しない限り、雇用の安定を保証するものではないということです。)
(記事『What may be the factors behind data science layoffs? 』より一部抜粋)

そこで、私の方で「データアナリスト不要論の背景にある課題」をまとめてみました。

【データアナリスト不要論の背景にある課題】

1. 人間の仮説ベースのアプローチであるため試行錯誤のデータ解析を前提としており時間を要する

2. 解析作業に時間がかかると、ビジネス環境が変化し解析結果が役に立たないことが多々ある

3. 仮説ベースのアプローチでは人の恣意的なデータ選択と解析が行われ一部のインサイト発見しかできていない

井上さん データアナリストは「儲かる職業」として学生にも人気の職業だったんですが、コロナ禍で実態を精査した結果、「実はデータアナリストは時間をかけている割に、ビジネスに貢献できていない」ということが分かってしまったんです。アメリカはかなりビジネスに対してドラスティックかつ合理的なので、「本質的に何が必要なのか」を見定めたんでしょうね。

三石 アメリカはそんなことになっていたんですね。

≪三石所長(当時)`s Memo≫

コロナ禍を経てアメリカではデータ活用の効率化が注目されるようになった

井上さん 人力でのデータ解析には限界があるし、工数もかかりすぎる。     データ活用先進国である     アメリカとしては、「もっとデータをうまく使わねば」という機運が高まったんです。そこで注目されたのが、「Augments-Analytics」です。

データ解析をAIが代行してくれる「Augments-Analytics」。ビジネスのポテンシャルも最大化してくれる

井上さん 「Augments-Analytics」は、簡単に言うとAIがデータ解析を効率化してくれる仕組みです。これまでのデータ解析には、下記のように多くの段階が必要でした。

1.仮説構築
2.データ探索
3.データ前処理
4.解析
5.戦略検討
6.実行
7.ROI確認

しかし「Augments-Analytics」を使えば、全7段階のうち最初の4段階である

・仮説構築
・データ探索
・データ前処理
・解析

をAIが主で実行してくれます。

三石 これはすごいですね。DearOneでもデータ解析に4~5か月かかって、すり合わせが最終的に終わったのが始動から約10か月後、なんてこともありました。

井上さん そうですね。データ解析って、仮説構築してデータ探索して、前処理したあとにようやく解析しますよね。でもそれで求める答えが出なかった場合、また仮説構築からやり直す。そこに3~4か月かかるパターンがあります。でもその3~4か月かかる作業を、「Augments-Analytics」はAIが全部やってくれるんです。そして、その後の

・戦略検討
・実行
・ROI確認

だけを人間がやればいい、というのが今の大きなトレンドですね。

三石 素晴らしい…!

≪三石所長(当時)`s Memo≫

「Augments-Analytics」を使うことで、データ解析の工数が大幅に減る

井上さん しかも面白いのが、AIに任せると全部のデータを探索したうえで計算してくれるので、データの取りこぼしがないんですよね。人間がやると、「このデータはきっとCV(コンバージョン)に寄与する」などと当たりをつけて分析するので、かなり取りこぼしがでてしまいます。

たとえば、 最近アメリカのスタートアップ各社が提供する     「Augments-Analytics」は、全てのデータを解析してくれるので、データの母数が大きくなります。大きいデータから答えを出せるので、ビジネスのポテンシャルを最大化できるといわれているんですね。

三石 なるほど。ということは、アメリカでは「Augments-Analytics」の会社が成長したんですか?

井上さん そうですね、2020年は特に「Augments-Analytics」系の会社に投資がかなり集中しました。

―――次回の【海外Hot Info】では、引き続きNTTドコモベンチャーズ様に「Augments-Analytics」が急成長した背景や、日本のデータ解析が今後どのように変革するのかをお聞きします。ぜひお楽しみに!

ナレッジランキング

Recommended